ゆっくり歩くことで生まれる心の余裕
「どうしてそんなに歩くのが遅いわけ⁉︎」
歩くのが遅い私は、歩くのが早い妻によく言われます。
一緒に家を出たはずなのに、だいぶ前を歩く妻が、私が追いつくのを待ってよく言うセリフです。
「みんなが歩くの早いんじゃない?」とお決まりの反論をして、歩くスピードを頑なに変えないマイペースな私。
正確に言うと私は歩くのが遅いわけではありません。
ゆっくり歩いているのです。
もともと歩くのが遅い人間だったのかどうかは今となってはわからないのですが、5年ほど前に禅に出会ってから私は意識してゆっくり歩くようになりました。
というのも、ストレスを溜め込みやすかった私は、その体質をなんとか変えようと、禅にすがったのです。
家で座禅をするようなり、出勤途中にある図書館で禅の本を毎周のように借り、禅の考え方を生活に取り入れるようにしました。
といっても、大袈裟なことはなにもありません。
靴を脱いだら揃えるとか、掃除をするとか、よく噛んで食べるとか、身近な事に対しての意識を少し変えるだけでできるようなことです。
そのうちの一つがゆっくり歩くという事でした。
いつもより少しだけ時間に余裕を持って家を出て、いつもより少しだけゆっくり歩いて駅に向かう。
そして余裕があればいつもより少しだけゆっくり呼吸をする。
はじめは意識してやらないとできなかったのですが、続けていくうちにだんだんそれが自然になってきました。
そうすると、今日はなんかイラついてるなとか、体が疲れてるなといったことが、頭で自覚できるようになってくるのです。
この自覚ができるか、出来ないかが重要なところで、あらかじめ自分の状態がわかっていると、人に対しての態度や口調に気を配る事ができるからです。
例えば職場の人間に対して、冷たい態度をとってしまったり、キツい言い方をしてしまった後で、「あぁ、自分は今日はなんかイラついてるんだな」と思っても、言ってしまった言葉はもう元には戻せません。
ですが、はじめから今日はなんだかイラついてるなと自分で自覚していれば、口から言葉が出る前に、一瞬頭で言葉を選ぶ余裕が生まれます。
この一瞬の余裕がないと、後になって冷静になった時に、「あんな言い方しなければよかったのになぁ」とか、「そんなにきつく言う事でもなかったなぁ」といった後悔が押し寄せてくるのです。
テレビやネットなどでは、歩くのが遅い人は病気になりやすいとか、収入が低いとかあまり良い印象を持たれていないようです。
私も妻に「時間は有限なんだよ!」とよく言われますが、限りある時間だからこそ、ゆったりと、たっぷりと使いたいなと私は思っています。
余談ですが、たまには早く歩いてみようと思い、仕事の行き帰りに早歩きをしてみたところ、二日後に見事、筋肉痛になりました。
どうやら体には適度な負荷が必要なようです。
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