見出し画像

ブロッコリーのほんとの気持ち

私は冬が旬の野菜なのですが、なんとなく夏の野菜だと思っている人も多いみたいですね。

青々とした緑色がそう思わせるのかもしれませんし、はたまた夏の入道雲のようにモコモコとした頭がそう思わせるのかもしれません。

そんな私の頭はよく見ると小さな私がたくさん集まってできています。遠くから見るとわかりづらいですが、頭の一部分を切りとって見てみると、それは完全に小さな私です。姿形はおんなじで、まるで縮小コピーをしたみたいです。そしてその小さな私もやっぱり、さらに小さな私でできています。

まるで子供の頃に絵本で読んだスイミーみたいですよね。小さい魚のスイミー達が集まって大きな魚になったみたいに、今の私も、小さい私がたくさん集まってできているのです。

そういえば、ハワイのモアナルアガーデンというところには、私にそっくりな、とっても大きな気になる木があるそうですよ。

そんな私には、実は「小さな幸せ」なんていう言葉がつけられているのですが、たしかに5〜6月の新緑の時期になると、私の頭の裏側で小さいアオムシ達が、よく幸せそうにお昼寝をしています。

私の葉っぱをいっぱい食べてお腹いっぱいになったのでしょう。それで眠くなってしまい、そのまま寝てしまうのでしょうね。でも、そのアオムシ達も可哀想なもので、あまりにも気持ちよく昼寝しているものだから、私が収穫されたことにも気がつかないで、そのまま、台所までついて行ってしまうのです。

だからみんな、目を覚ました時はタイムスリップでもしてしまったのかのようにキョトンとしていますよ。

それはそうですよね、さっきまで気持ち良くお昼寝してたはずなのに、気がついた時には危うく包丁で真っ二つにされるところですからね。

天国から地獄に真っ逆さまとはこのことですね。人生、あっ、虫生油断は禁物です。

私はもともと食べられるのが目的で生まれてきたようなものですから、切られたり、茹でられたりしてもいいんですけど、アオムシ達はこれからモンシロチョウになって空を飛んだり、花の蜜を吸いにいったりする予定でしょうから、真っ二つにされたりしたらたまったもんじゃないですよね。

だからせめて、見つけたら庭やベランダに逃してあげて欲しいのですが、グチャって潰されちゃうアオムシもいたりして、ちょっとかわいそうなんです。

まぁ、私は別に潰されたりしても良いんですけどね。ちゃんと食べてさえしてくれれば。イタリアの南の方なんかではクタクタになるまで茹でられて、フォークでぐちゃぐちゃに潰されて、パスタに絡められたりしてますし。

まあ欲を言えば、頭だけじゃなくて茎の部分までちゃんと食べて欲しいですね。たしかに少し皮が厚いけど、剥けばちゃんと美味しく食べれますし、葉っぱも茹でたり炒めたりすると結構おいしいんですよ。こう見えても私たくさん栄養詰まってますから残さずに食べて欲しいですね。

なかでもやっぱり子供たちに食べてもらえると嬉しいですよ。子供たちが「おいしい」って言ってくれと生まれてきてよかったなって思います。そりゃ、私も人の子、じゃなかった土の子ですからね。

まぁ、みんなおんなじ土の上で生きてるのですからね、これからも仲良くしていきましょう。


この記事が参加している募集

私の推しキャラ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?