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2016年3月の記事一覧
『紙の動物園』ケン・リュウ◆SF100冊ノック#24◆
■1 あらすじ
15本の短編。それぞれは特に強い繋がりを持たないが、少し分類をすることは出来そう。中国系アメリカ人の著者のバックグラウンドを強く感じさせるのは、1,3,14,15の四作。2,9,11は宇宙移民を描いている三作だが、むしろ「不死テクノロジー」をめぐる作品として10,11が近い。自分の好きな3作品のあらすじを挙げる。
1「紙の動物園」は、折り紙に生命を吹き込むことが出来る
『月は無慈悲な夜の女王』ロバート・ハインライン◆SF100冊ノック#23◆
■1 あらすじ 西暦2075年。月にはいくつかの都市と大勢の住人が住んでいる。かつての植民地のように、ここで生産された食物は射出機で地球に送られている。機械技師のマニーは、月の政庁の地下にある計算機の修理を頼まれ、その人工知能が一種の自我を持っていることを発見する。人工知能―”マイク”―は故障していたのではなく、ユーモアを知りたいと考えていたのだ。
マイクと仲良くなったマニーは、あるとき
『ファウンデーション』アイザック・アシモフ◆SF100冊ノック#22◆
■1 あらすじ 一万二千年の栄華を誇った銀河帝国もついに衰退の兆しを見せていた。一人の青年が帝国の首都を訪れる。未来を予知する「心理歴史学」の権威、セルダンの元で研究を行うために。しかし、セルダンは驚くべき結論―「500年後に銀河帝国は崩壊する」ことを示し、帝国から睨まれる。「500年後の崩壊の後、宇宙は3万年もの暗黒時代を迎えるだろう。しかし、もし我々が準備をすれば―つまり、我々の文明を記し
もっとみる『宇宙飛行士オモン・ラー』ヴィクトル・ペレーヴィン◆SF100冊ノック#21◆
■1 あらすじ ソヴィエト・ロシアに生まれた少年オモンは、親友ミチョークと共に、いつか宇宙ロケットに乗ることを夢見る少年だった。ソヴィエトの輝かしい発展。しかし冷戦は激しさを増し始める。文中の「7月15日の会議により戦前となった」という語は、プラハの春―チェコ事件で、共産主義国家と西側の争いがまた明確化した場面だろう。
オモンとミチョークは宇宙への強いあこがれを語り、飛行機学校へ入学する。し
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』フィリップ・K・ディック◆SF100冊ノック#20◆
■1 あらすじ 未来。地球は戦争によって荒廃し、太陽も刺さない放射能の灰が降る死の大地となっていた。賞金稼ぎのリック・デッカードは、主人を殺して火星からやってくる逃亡アンドロイドを殺す刑事。でかい賞金首を殺して、本物の動物を飼うことを夢見てる―もうペットが電気羊とバレるのに脅えたくはない。
アンドロイドを人間を見分けるためには、共感する力を測定するフォークト・カンプフ検査しかない。アンドロイドは
『ヴァーチャル・ガール』エイミー・トムスン◆SF100冊ノック#19◆
■1 あらすじ 一度AIに滅ぼされかけた世界。高性能なAIやロボットを作ることは強く禁じられていた。有名企業の息子ながら、AI開発に没頭するアーノルドは、父から逃げ出し、田舎町で一人研究を続けていた。彼はついに、禁じられた女性ロボット、マギーを作り出した。彼の理想が結実したマギーは、ついにその目を明ける。
世界の持つ圧倒的な情報量に戸惑いながらも、
『ロボット(R.U.R)』カレル・チャペック◆SF100冊ノック#17◆
■1 あらすじ 「ロッサム・ユニバーサル・ロボット」の工場は、絶海の孤島にある。ここでは高性能のロボットを製造し、世界中へと販売している。注文は途切れることなく、一日1万5000体ものロボットが生産される。「ロボットの人権」を守ろうと、世間知らずのヘレナは島を訪れたが、工場の従業員たちは彼女をひと目みて恋に落ちる。結局社長のハリーと結婚するヘレナ。
それから10年の月日が流れた。増えすぎ
『われはロボット』アイザック・アシモフ◆SF100冊ノック#18◆
■1 あらすじ
一人のジャーナリストが、ロボット心理学の第一人者、スーザン・キャルヴィン博士にインタビューをしている。既に80歳を超える彼女は、ロボットの誕生から発展と伴に歩み、それを目に焼き付けてきた。彼女が語る驚くべき9つの物語。それはロボットと人間の出会いであり、つながりであり、また矛盾や対立の物語でもあった。
9つの物語は大きく3部に分けられるだろう。1〜4章までは、未だプロ
『かめくん』北野勇作◆SF100冊ノック#16◆
■1 あらすじ これはかめくんのお話しです。かめくんは、ある日そのアパートにやってきた。かめくんは図書館が好き。かめくんはフォークリフトの運転が得意。かめくんは、カメ形のマシンを操作して戦う。かめくんは銭湯にあこがれてる。かめくんは猫が好き。かめくんは昔の記憶を忘れている。かめくんの甲羅は宇宙だ。かめくんは―そういう風に作られた。
あの、みんな知ってるけど、何が起きているかは誰も知らない「戦
『フランケンシュタイン』メアリー・シェリー◆SF100冊ノック#15◆
■1 あらすじ 北極圏を航海する探検家ウォルトンが遭難者を助ける。ヴィクター・フランケンシュタインと名乗るその男は、かつて自分の作り上げた人造人間が引き起こした悲劇について彼に語り始める。
ジュネーヴに育ったヴィクターは、幼いころから学問に興味を持ち、やがて大学で自然科学を学ぶ。鋭い観察と研究の末、無機物に命を宿すことに成功したフランケンシュタイン博士だったが、出来上がったのは醜い怪物だっ
『屍者の帝国』伊藤計劃×円城塔 ◆SF100冊ノック#14◆
■1 あらすじ 19世紀大英帝国―死体に霊素を注入し、プラグインを読みこませることで、ロボットのように、あるいはコンピューターのように用いる技術の発達した、今とは異なる世界。医学部生ワトソンは、ある日英国の軍事探偵へとスカウトされる。最新の「屍者」フライデーを伴い、向かう先はアフガニスタン。追うのは、「屍者の王」とも呼ばれる革命家、アレクセイ・カラマーゾフ―
現実・虚構の人物・歴史が入り乱れ
『ブラッドミュージック』グレッグ・ベア ◆SF100冊ノック#13◆
■あらすじ 現代、あるいは近未来のアメリカ。バイオ・エレクトロニクスの時代が来た。カリフォルニアでは、シリコン・ヴァレーの次の時代として、エンザイム(酵素)・ヴァレーでのバイオ・チップの生産が盛んだ。ヴァージル・ウラムもそうした研究員の一人だが、彼はいつか独立するため、個人的な研究を進めていた。それは―一つ一つが思考するような細胞。
その研究が上司にばれてしまい首になるウラム。研究結果も全て
『南極点のピアピア動画』野尻抱介◆SF100冊ノック#12◆
■あらすじ
月への探査機を製作している研究者の省一はがっくり肩を落とした。月に大きな隕石が衝突し、デブリ(宇宙ゴミ)が舞い上がった結果、世界中の月面プロジェクトは一時凍結となってしまう。グチをこぼしていたら、彼女も愛想をつかして部屋を出て行ってしまい、踏んだり蹴ったりだ。だが一つの光明が見える。隕石衝突で生じたガスの対流を推進力に用いれば、友人の「ピアピア工場」で作った自作ロケットで宇宙に行け
『ダールグレン』サミュエル・ディレイニー ◆SF100冊ノック#11◆
■1 あらすじ アメリカのどこか―ベローナという小さな町。何かが起こったのは確かなのだけれど、それが何なのかは誰にも説明出来ない。そこではどんな奇妙なことでも起こりうるという。怪物のホログラフィを身にまとうならず者たちの姿―空に唐突に出現したふたつ目の月―毎日の日付も曜日もばらばらの新聞が配られ、時間も混乱していく。
男には記憶が無かった。気がつけば、彼もベローナへ向かっていた。プリズムが結