団栗工房

森林ボランティアを機に始めた草木染めの備忘録が中心。自然の恵みを生かし、個人でできる環…

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森林ボランティアを機に始めた草木染めの備忘録が中心。自然の恵みを生かし、個人でできる環境にやさしい染色を目指します。同好の方のご参考にもなれば。 理科などを題材にアニメーション動画も制作しています。 https://www.youtube.com/@kari3494

最近の記事

#14 藍乾燥葉の残渣を使ったバケツ染め

#11で藍の生葉の残渣や残った染液を使ったバケツ染めを取り上げましたが、乾燥葉でも同じように残渣や残った液を使えるのではないかと思い、試してみました。また乾燥葉の搾りかすは生葉に比べて成分が濃縮されている分、より濃色に染めることができるのではないかとも考えました。 #11と同様、15Lのポリバケツに、記事#12,#13のグルコース建ての染色テストなどの藍の搾りかすと、一度使った染色液を溜めていきました。液中の消石灰はほぼ飽和し沈殿して少し底がざらつくくらいになっており、3日

    • #13 藍乾燥葉のグルコース建てレシピ

      前記事#12では、藍乾燥葉の抽出・還元を煮沸によって高温で行ない、またL-アスコルビン酸を加えることで、ハイドロより安全なグルコース(ブドウ糖)による化学建てをより短時間で行う方法を検討しました。 今回は行事やグループの集まりでも使える実用的なレシピを考えてみました。 ただしこの方法は試行錯誤の中で比較的よかったというものですので必須のものではなく、確実に再現できるかどうかもまだ不明ですが、一つの例として参考にしていただき、分量や時間などを状況に合わせて適宜調整していただけ

      • #12 藍乾燥葉のグルコース建ての検討(煮沸による抽出・還元)

        1.ねらい記事#4では、化学薬品のいわゆるハイドロの代わりとして比較的安全なグルコース(ブドウ糖)を還元剤として用いた木綿の藍染めについて、先行研究1)を参考として検証した。 そこでは粉砕した乾燥藍葉を40℃の温湯で練ってから水で分散させ、調整剤を加えた。そして1)で適切な調整剤の量とされたものに近い形で染色が可能であることを確かめた。 今回は、より簡単に短時間で行なえるよう、煮沸して抽出した後、比較的高温で還元までを行ない、#4のように温湯で練った物と染色力やその変化を比較

        • #11 藍の生葉の残渣を使ったバケツ染め

          タデアイの生葉の季節も終わりました。使った後の染色液や、アイの生葉の搾りかすはまだ色が出そうなのでそのまま捨てるに忍びなく、この夏、その活路を探ってみました。 15Lのポリバケツに、記事#8、#9、#10の染色テストなどの藍の搾りかすと、グルコース建てで一度使った染色液を溜めていき、木灰の灰汁も2Lほど加えて10L以上にしました。グループの活動時の搾りかすも加えました。 その時々のpHや消石灰の解け残り方、試し染めした具合などを見ながら、アルカリ剤の消石灰、還元剤のグルコー

        #14 藍乾燥葉の残渣を使ったバケツ染め

          #10 藍生葉の時短編グルコース建てレシピ

          前記事#9で、ハイドロを使わずにグルコース(ブドウ糖)によって藍の生葉を化学建て(還元)し、より安全に、植物繊維の木綿も染められる方法を考えました。L-アスコルビン酸(ビタミンC)を加えることで少し時間を短縮することができましたが、それでも3時間前後の放置時間が必要で、行事やグループの集まりで行うには難しさがあります。 今回は、湯を加えて染色液の温度を上げることで反応速度を上げ、より時間の短縮を図りました。 1.木綿の藍生葉染め(ブドウ糖建て・時短)の手順(染色液約1Lあた

          #10 藍生葉の時短編グルコース建てレシピ

          #9 藍生葉のゆっくり編・ちょっと時短編グルコース建てレシピ

          前記事#8のテストで、藍の生葉染めにおいても、ハイドロでなくグルコース(ブドウ糖)を使った化学建てによって、ある程度の染色力を出せることがわかったので、ここでは晒の半手拭いを使い、もう少し実用的なレシピを考えてみました。 ここに記した時間や分量は必須ではなく、いろいろな条件で結果は変わってくると思うので、実際に染められる場合は、染まり具合を確かめながら(乾くと色はかなり薄い印象になることも加味)、それぞれの状況に合わせて調整していただけたらと思います。 1.グルコースを使っ

          #9 藍生葉のゆっくり編・ちょっと時短編グルコース建てレシピ

          #8 グルコース(ブドウ糖)を還元剤として藍の生葉で木綿を染めてみた

          1.はじめにタデアイが育ってきて、藍の生葉染めの季節になった。生葉染めは生の葉が収穫できる夏ならではの方法なので、ぜひこの季節にやってみたい。 記事#4では乾燥藍葉を染料として、一般に使われてはいるが人体への刺激性がある化学薬品のハイドロの代わりに、より安全なグルコース(ブドウ糖)で藍を建てる(還元する)ことを試みた。 今回は藍の生葉を染料として使い、グルコース建てができるか試してみた。 2.試験方法2.1.準備物 染料:タデアイ生葉 布:無処理の木綿晒 各約4cm角

          #8 グルコース(ブドウ糖)を還元剤として藍の生葉で木綿を染めてみた

          #7 タデアイの挿し芽

          藍染めに使うタデアイは、比較的丈夫な植物だと思うが、自分が自家栽培で種から育てると、何か方法や条件が悪いのか、発芽してうまく育つものが少ない。 そこで、少し育ったものから挿し穂を切り取って、水に差しておくと数日で発根する。 挿し穂でなくても、なんと葉を生藍染めなどに使った後の茎だけでもOK。 これを土に植えると大抵元気に育ってくれるのでありがたい。2020年にタデアイの栽培を始めてから毎回このような方法を使っている。 (タイトル画像は写真1の挿し穂で補植して2日後、202

          #7 タデアイの挿し芽

          #6 梅の収穫と「梅ジュース」

          日本列島も次々に梅雨に入り、梅の実も熟してきたので収穫した。 これは、2009年に仕事のお客さんからご自宅の庭の梅の実をたくさんいただいて、そのなかから蒔いたのが育ったもの。昨年頃から使えるほどに収穫でき、今年は2kgほど採れた。 簡単な方法として、ガラス瓶で「梅ジュース」を作る。材料は、 梅の実 1kg に対して 酢   1リットル 氷砂糖  300g これを一緒に漬けてひと月ほどで飲めるようになり、何年も持つ。ちょっと酸っぱめだが水や牛乳などで5~10倍に薄めると、さっ

          #6 梅の収穫と「梅ジュース」

          #5 アカメガシワ染め~木綿の下地処理や鉄媒染液の濃度を変えてみた~

          1.アカメガシワ染めについて秋から冬にかけて黄葉、落葉するアカメガシワは鉄媒染により黒を染める材料として知られており、また、落ちた葉も使えて、乾燥しておくと長期間染料として使うことができる。これを使って、木綿の下地処理の方法や、鉄媒染液の濃度を変え、どのように染まるか調べてみた。 2.方法2.1.試料 2.1.1.試験布 木綿晒(下地処理を5種と、追加で無処理のもの) 2.1.2.染料 アカメガシワ(落葉する前の緑から黄色の葉を大阪北部で2021年11月~12月に採

          #5 アカメガシワ染め~木綿の下地処理や鉄媒染液の濃度を変えてみた~

          #4 ハイドロの代わりにグルコース(ブドウ糖)を使った木綿の藍染めの検証

          1.より安全な藍化学建てについて藍を使った草木染めはよく親しまれているが、前記事でも触れたように、木綿を染めるためには、絹など色素の前駆体が結び付きやすい動物性の繊維と異なり、一旦不溶性の色素となったインジゴを還元して、水溶性の物質にすることが必要である。そのため、藍染めを行うプロの方は「発酵建て」と言われる方法をとるが、簡便な方法としては、染料店などで市販されているハイドロ(ハイドロサルファイトナトリウム)と言われる薬剤を還元剤として使用する。しかし、ハイドロは強アルカリ条

          #4 ハイドロの代わりにグルコース(ブドウ糖)を使った木綿の藍染めの検証

          #3 藍の電子レンジ乾燥葉を使った『生葉』染めによる絹の染色

          1.『生葉』染めについて生の藍(タデアイ)を使った生葉染めは比較的簡単で、家庭で行われることもあるが、生葉を収穫できる夏に限られる。藍は多くの他の植物と違い、自然乾燥させた材料はそのままで染色に使うことができないからである。 生葉染めは、生の藍を絞ることで色素の前駆体(インジカン)が葉の中の酵素と反応して無色のインドキシルになり、その液に布を浸してから空気酸化することで不溶性の色素(インジゴ)として発色する。しかし乾燥葉では、細胞が壊れる過程で前駆体と酵素が反応してすぐにイ

          #3 藍の電子レンジ乾燥葉を使った『生葉』染めによる絹の染色

          #2 キクイモ染めの比較

          昨年10月下旬にキクイモを使い、2つの方法で染めた結果を比較してみた。 1.方法パイプに斜めに巻付けて縮める「嵐絞り」で、A、Bの染液を順に使い、2種類を交差する方向に染めた。 A.・材料:花が終わりかけ頃の花(花ガラを含む)・茎・葉 計50g   ・収穫後4,5日経ち、ほぼ乾燥していた。   ・水で4回煮出し、染液を合わせた。 B.・材料:花が終わった後の茎葉計400g   ・染色当日採取した。   ・水で2回煮出し、染液を合わせた。 AB共通   ・豆乳で下地処理した晒

          #2 キクイモ染めの比較

          #1 満開のキクイモ染め

          自家栽培のキクイモの花が10月上旬に満開となり、花と、茎と葉の上のほうを刈り取って草木染めをした。 採ってきたキクイモ約300gを刻み、約10倍の重量(3L)の水に入れて沸騰後20分煮て抽出し、ざるで液を漉して別容器に移した後、2回目は2Lの水を入れて同様に抽出、2回分を合わせた。 染液を分け、0.3%のミョウバン(アルミ)と、ストーブ灰の10倍希釈の灰汁(灰を10日以上10倍容積の水に入れておいた液)の2種類の媒染をした。1種類に対し、染色と媒染を50~60℃で20分ず

          #1 満開のキクイモ染め