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対話の力を考える。【読書記録#23】【『ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術』熊平美香】

「コミュニケーションが不足している。」

最近職場でキーワードとして挙がっている、コミュニケーション不足。
仕事・作業内容にもよると思うが、コミュニケーションはほとんどの仕事で必要な能力となっている。

コミュニケーションといっても、その内容は多岐に渡り、つかみどころのない言葉だなぁとつくづく思う。

その中でも、今回読んだ本は「対話」にフォーカスしている。
普段言われている「コミュニケーション不足」は対話不足なのではないかというところもあったので、ヒントが得られるとよいなという期待もある。

本書では対話を「ありたい未来を自分たちの手で創り出す行為」に欠かせない手段として捉えている。「自分たち」というところがポイントで、どれほど有能な人でも一人で世の中を変えるのは難しい。自分と異なる専門性を持つ人や、違う強味を持つ人と協働することこそが、大きな成果につながると筆者は述べる。

ではそういった対話にはどのような視点が必要なのだろうか。
本書では「メタ認知」「評価判断の保留」「傾聴」「学習と変容」「リアルタイム・リフレクション」の5つを基礎力として挙げている。

「メタ認知」
自分が認知していることを俯瞰して認知すること。自分の考えがどこからやってきたのか、内面を見つめ直すことが対話の要となる。

「評価判断の保留」
自分の意見を持っていたとしても、その意見を横に置き、他者の意見に耳を傾けることが対話において必要。自分の評価を出す前に相手の考えを受け止める姿勢が必要だ。

「傾聴」
上記2つは自分の価値判断に目を向けていたが、他者の価値判断に目を向ける。他者の考えがどこからやってきたのか、相手のメンタルモデルを理解する。ただし、ここで相手のメンタルモデルに賛同する必要はない。あくまでもひとつの意見として学ぶことができればそれでよい。

「学習と変容」
対話を通して何を学んだのか、自分の考えにどのような変化が起きたのかを明らかにする。対話は相手の見ている世界を学び、新しいものの見方を手に入れる営みである。

「リアルタイム・リフレクション」
自分の内面に起きていることをリアルタイムに内省することで、対話からの学びがより深いものとなる。

以上5つの基礎力が対話に必要だと本書で述べられている。
本書ではこの基礎力をどのように用いていくのかを説明しているので、気になる人は手に取ってみてほしい。

適切に対話をすることで、新たな知見を得られるという考え自体は受け入れられるべきものである一方、概念を捉えたり、実践に移したりすることが非常に難しく感じられる。

本書で述べられていることは数ある対話方法のひとつであると思うので、引き続きいろんな本を読んで、対話に対する理解を深めていきたい。

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