性暴力・レイプ被害者 @傾聴
あれだ、なんだ、それだ、傾聴力の向上のためと思い講演にいったわけだが、ヘビーだった。想像を絶する。まあ当然そうなる予感はしてたけどね。
想像力のボリュームをmaxにしなくても当然ヘビーなのだけど、ボクの想像程度で共感を言葉にするとセカンドレイプになる可能性もあるので口を慎むことにするよ。実際にブログ時代にはなにげなく言った言葉で「じゃ、毒兄もごつい男に囲まれて無理やりケツにツッコまれてみれば解るんじゃない」と怒りとともに言われたことがあったし。
いまなら被害者の本人の痛みが他者が解るはずはないことは解る。
「解る」なんて他者のエゴ、他者自身の満足にすぎないってこともわかるしね。共感しようとするってのは、その「しようとすること」には意味はあるのだろうけど、、、
ところで、文字どおりセカンド“レイプ”なんだけど、被害者にむかって「油断があったんじゃないの」とか「そんな格好をするほうが悪い」とか「夜道を一人であるく方にも責任がある」とか「ホントにいやだったら最後まで抵抗できるはず」とか「強姦願望があるんでしょ」なんてモロ責める言葉は“レイプ”でしかない。それ以外にも、よかれと思って言ったのに、っていう「大丈夫、よくなりますよ」とか「早く忘れたほうがいい」「がんばって、しっかり」「命が助かってよかったね」ってのも被害者にとってはそれが出来ないしそれで納得できないから傷ついているっていう言葉なわけで、十分“レイプ”になるんだよな、これが。
特に傾聴なんてやっちゃってる人は気をつけたほうがいい。というより、そんな言葉によるセカンドレイプなんか当然細心の注意をもって傾聴をしているとは思うのだけどさ。ま、念には念をってとこだな。
さて本題。
話をしてくれたのは、性暴力救援センターの代表の方。
で、その「性暴力救援センター」ってのは何?ってことになるのだけど、文字とおり性暴力の被害者の救援を行うところで「とにかく被害にあったらここに電話をしてください。すべての面で支援します」といったところ。
これが政府主導でセンターの設置をおこなっているのだけど、意外と意外、かなり歴史が浅いの。
2010年にモデル事業が開始で、2012年度に設立の「手引き」発行で、2014~2016年で整備の交付金がでるようになったわけさ。
名古屋は第二日赤で「なごみ」って名前のセンターがあるんだけど、まだ設立から2年8ヶ月しかたってない。
じゃそれまで被害にあった人は、どうしていたかっていうと、泣き寝入りじゃなければ警察に申し出る、ってことしかなかったわけだが、これが実際にはなかなか困難ってのは容易に想像がつくよね。
被害者本人の恥ずかしいなどの感情的な部分はもちろんのこと、へたしたら被害者に落ち度とか「スキを見せた」だとかのセカンドレイプが当たり前のように言われたり、、無慈悲な取り調べや、じゃ立件するということで、証拠取りのに身体検査なんかまで含めれば、、、ねぇ、、悪いけど悪い想像しかできないんじゃない。警察がメンタル面まで考えて仕事をしていることはないし、警察もそこを求められると仕事にならないわけで、、、、さ。
じゃ、警察じゃない誰かに相談できるかというと、やっぱ、なかなか出来ないわけで、恥ずかしい、とか、自分が我慢すればいい、とか、思い出したくない、とかなのはやっぱりそうだと感じると話されたの。
それに加害者が家族なんかだと「お兄ちゃんがそんなことするわけない」「誰にも言わないように」「早く忘れなさい」って、本人の傷じゃなくて完全に「お家」の世間体を気にしての犯罪の隠匿がみえているではないかい?
で、とにかく被害者の立場にたって対応するところが必要ってことかどうかは解らないが、やっとそうした機関(センター)ができたわけ。
さてさて、一口に性暴力っていうけど、どういうこと、ってなるわな。
いわゆるレイプや強制わいせつの他、子どもを対象にした性虐待やDVとしての性暴力のこと。強要したら夫婦間だって性暴力になるわけで、じゃあどういうことかってのは法治国家として「刑法」で定められているんだけど、
刑法176条:強制わいせつ
・暴行・脅迫で行ったもので、痴漢も含まれる。
・被害者が13歳未満の場合は、暴行や脅迫がなくても犯罪となる。
刑法177条:強制性交等罪
・13歳以上の女性に対して、暴行・脅迫を手段として性交するもの。
・13歳未満であれば手段を問わす性交等(口腔・膣・肛門)行為があれば犯罪となる。
ってことなんだけど、ちょっとまてよ。13歳未満であれば手段を問わず、、ということは13歳以上であれば手段を問えばOKなんかい???ということになるだな、これが。13歳以上であれば「同意」があれば違法ではないらしい。13ということは中学生以上???ってことだ。講演でも話されたけど、そうした場になってしまったときパニクってフリーズをしてしまったり、命の危険を感じて自分から脱いてしまったりしてしまう。例えば13歳がそうしてしまってもおかしくないよね。で、自分から脱いだから「同意」になるのか?って話なわけだ。いやいや14歳でも15歳でも16歳、、歳に関係なさそうだけど若ければ若いほどいろいろ解らないってのは道理じゃない? だって「力関係」をもって行われる性暴力が多いってことだもん。
実際、全ての性暴力において加害者との面識があるのが女性で83%ってんだから、いわゆる暗闇で突然レイプってのより数字としてはかなり多いわけだ。
で、知っている人ってのは、配偶者や元配偶者をはじめとして交際相手とか上司とか取引先の相手とかなんだって。社会的な肩書がある人もけっこういるってのは以前聴いたことがある。
さっきの13歳で顔見知りで力関係で上となると、いろいろといると思うけど、まあ社会的な立場とか将来的こととかいろいろな脅され方したりするのは容易に想像がつくよね。
はたして力関係で「同意してない」という後での証言が成り立つのか、しかも家庭内の虐待なんかも含めてだからねぇ。
あとはね、睡眠薬を盛られるとかで意識が朦朧としている間の犯行だと、覚えてないってこともあるってこと。
元にもどるけど名古屋だと「なごみ」なんかの支援センターがやってるのは「性暴力被害者の総合支援システム」ってやつで、とにかく各方面と連携をとってるの。各科の医者や警察、弁護士、心理的支援者、、、関係するありとあらゆる連携を構築しているらしい。
で、支援の内容を整理すると大きく2つだな。細かくは3つでいいのかな。
被害者本人のケアと社会的な処置。
本人のケアも大きく2つあって、身体的ケアとメンタルケア。
社会的ケアってのは犯罪事件としての扱い。
さすがに法治の政府主導ってことで警察や弁護士とも連携しているってことで立件や裁判なんかは外せないな。さっき書いた警察の限界もあるわけで、逆に警察からセンターに連絡があってセンターが中心になってケアすることも多いらしい。警察では困難ないわゆる「証拠」の採取なんかも任されるんだって。センターには検査キットなんてものもあるってことだった。緊急避妊や外傷の手当なんかの身体的ケアと同時に証拠集めとかね。
どうもねぇ、被害者本人の特にメンタルばかりに目がいってしまう傾聴者としては、証拠の採取っていわゆるね、身体に付着した残留物の採取みたいことで、それはセカンドレイプじゃないの?と感じてしまうけど、犯罪者は罰せねばならないからな。法治国家としては。
それにね、時間がたつと被害者も自分ばかりが苦しんでいるという感覚になり、加害者が罰せられ苦しむことで気が楽(まではいかないと思うが)気が多少はましになる、ってこともあるらしい。
そんなことで気が済まないでしょ、とボク個人としては思えてしまうんだけど、まあそんな気持ちもわからないでもない。
社会的なものは傾聴者として、まあ分野外なので本人のケアのほうが気になるよね。
身体的ケアとは実際に暴力を振るわれれば振るわれた部分の傷のケア。そして性感染症と妊娠。まあこの辺も傾聴ではなんともならない。技術的なアドバイスはできるかもしれないが、傾聴ではないしね。
メンタルのほうとしてはトラウマというか、PTSDという心的外傷後ストレス障害だな。これが傾聴の本命といったとこか???
さて、とても深く傷つきPTSDを抱えてしまった被害者をまえにして傾聴者として何ができるか?ってことになるんだけど、PTSDを抱えてしまったケアは、臨床心理士までふくめて日本には出来る人がほとんどいない、とはっきり言われました、はい^^;。まあ、この辺りは異論もあるでしょうが、とりあえず講演者ははっきり言ったという事実なので伝えるね。
でもさ、40年たってもPTSDに苦しめられているとか、乖離性多重人格とか、自殺未遂とかフラッシュバックによる再体験とか、強い警戒認知と気分の陰性変化、、もうすでに何を言っているのか解らない症状だから傾聴ではむりでも仕方ない。
で、誰がケアするの?ってことになるんだけど、
性暴力被害者支援看護職・精神看護専門看護師(米国ANCC認定)ってのがあるらしい。特別な教育や研修をうけて認定された性暴力被害PTSD専門ってこと。
具体的な対応も、一程度の専門研修をうけた「性暴力被害者支援看護職」って人が行い、緊急医療支援や心と身体の回復にむけた寄り添いサポートをする看護師や助産師。
「なごみ」として最初に電話を取るのもこの「性暴力被害者支援看護職」って方で、最初の電話の対応も相当難しいことは簡単に想像できるよね。
つまりね、そのへんの傾聴者や一般素人ができることはない。ってことが言いたいってのはめちゃ伝わってきたの。まあ現実に被害者に対応している人がいうんだから、そうなのかもしれないな。
でもね、ひとつだけできることがあって、
もし性暴力被害者に会うようなことがあったら、性暴力救援センター(名古屋なら「なごみ」835-0753・各県にひとつあるらしい)に繋ぐこと。
特に被害にあって72時間以内なら緊急避妊ピルという後出しの避妊薬が効くということで、被害者にはとにもかくにも一刻もはやく連絡してもらうように話す。もちろんここでの物の言い方もとってもデリケートだと思うのだけどね。センターは24時間体制で受信できるシステムになっているから時間は関係なくだ。
緊急でなくて、かなり時間が経ってから電話してくる被害者もかなりいるようで、PTSDでずっと苦しめられることが多々ある。そうした人も電話受付しているから、やっぱり繋ぐことを覚えていることにする。
素人判断で「時間が解決する」ということはないと考えたほういいというイメージだね。もちろん自身で回復する人もいるだろうから、そうした人のうち自分で話せるまで回復した人の傾聴の対象になるのだろうけど、経過時間に関係なくヘビーなPTSDは臨床心理士でも無理っていうんだから、やっぱり専門職の領域かもしれない。
もちろん傾聴者じゃなくても、そうした「性暴力救援センター」があるってのを覚えておくと、もし万が一性暴力被害者に出会った時ときにあたふたしなくてすむかもね。
それに、警察でもなく家族でもなく友人に相談するケースが一番多そうなので、そんな相談されたときは「性暴力救援センター」を勧めるのがいいのかもしれない。
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