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考える力(将棋、脳科学、AI)

〇著者

 羽生 善治(棋士)、茂木健一郎(脳科学者)

〇ジャンル

 将棋、脳科学

〇感想

・コンピュータと将棋、人間とコンピュータの違い、将棋の文化的側面、努力の続け方などを棋士と脳科学者の対談から見つけていくのが面白い

・数年前から、AIが私たちの生活に影響を与えるようになったが、特に将棋や囲碁はその動きが早かった。したがって、両者を取り巻く環境の変化のあり様は、一般社会のある種モデルケースになりそうだなと感じた。

・科学的な考察のみならず、羽生さんの棋士としての経験に基づく話も非常に興味深かった


〇印象に残ったこと

・「注意」とは、脳の中のある活動に資源を割り当てること

・目を見開いている状態や真っ暗闇は思考の集中に適していない

・1つのことに長時間集中し続ける、棋士の脳の使い方は現代では新鮮

・棋譜はモニター上で見ても頭に残らないので、重要な対局は実際に手を動かして並べる

・コンピュータになくて人間にあるのは「恐怖心」のようなもので、それが同時に「美意識」をも生んでいる

・将棋に闘争心は必要ない

・将棋は自力でなんとかするのではなく、相手にマイナスの手を指してもらって、均衡が崩れるのを待つ

・コンピュータを敵視していたら今の将棋では勝てない。自分の感性や直感も大事にしつつ、ハイブリッド型が理想

・将棋の充実感や嬉しさはスポーツのような爆発的なものではなく、にじみ出てくる感じ

・コンピュータの指し方は勝利一直線のまっしぐら

・人間の本質は「逸脱」。だからミスをするのは非常に人間らしいこと。

・将棋も俳句や短歌のように、どこまでコンパクトにしたら面白さを保ち続けられるのかという方向で進化したゲーム

・対局中に手を読んでいるときは雑巾を絞る感じ。アイデアみたいなものはリラックスしている、あまり緊張していないときの方が出やすい。

・難しい問題に対して、じっくり時間をかけて考えるのは、脳にとっては最も充実した時間

・純粋に考えることをせずに、過去例の参照ばかりに時間をかけてしまうのが情報化社会の悪い面

・時間の感覚や、考えている意識があるうちは、さほど集中していない。ギリギリの瀬戸際にならないと、フロー状態には入れない。

・集中しているときの方が、不完全燃焼のときよりも疲れを感じない

・努力し続けるには、何かを見つける環境をつくることと、無理しないこと


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