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note×standfm【Bricolage-3】塹壕の中のたんぽぽ

皆様、如何お過ごしでしょうか?

5月も中旬から下旬へと入って参りましたが、そんな中、どの様な書籍をお手に取っておりますでしょうか?

先日、岩波文庫のTweetをいつもの様に見ておりましたら、
フランスの社会学者、文化人類学者のマルセル・モースの誕生日という
Tweetを拝見致しました。
今から150年前の1872年5月10日がその日だったそうでございます。
余談ではございますが・・・モースは「自殺論」でも有名なフランスの社会
学者、エミール・デュルケームの甥でもございます。

マルセル・モース/Wikipedia


モースは贈与論で次の様に書いてございます。

交際するためには、まず槍から手を離さなければならない。

「贈与論」マルセル/ モース

──── 贈与社会をアップデートする一つのファクトとして、武装解除を提唱しております。つまりお互いを尊重し認め合い、配慮をすることだろうと私は誤読致しました。
モースの語る贈与義務としての贈与であり、義務に反することは絶対に許せないという構造を作り出すことで秩序を保っていたという側面もあり、森の霊でもあるハウを循環させておくことが必要だったのだと思います。

また文脈は違いますが、イギリスの人類学者のティム・インゴルド「人類学とは何か」で次の様に語っております。

知識は武装し、智慧は武装解除する。

人類学とは何か/ティム・インゴルド


──── 共に生きる(共生)、共に創る(共創)、共に話す(共話)中で、
自分が勝手に知覚して固定的に認識を下している世界や、他者との境界線はそもそも存在せず、ただ、淡くぼやけて相互浸透をしているものだと思います。

人間は、どこで生きているのであれ、そしてどの様に生きているのであれ、常にエネルゲイア的に人間になりつつあるのであるのだと思います。
そして、自己生成自己組織化を常に部分の総和を超えてフィードバック
しているいる様に思います。

世界劇場で演じる私もまた一人の私であり、一方で自分自身の
生の脚本家あるいは小説家なのかも知れません。

私は、今日も自らの意志表象としての世界劇場で自ら書いた脚本の
役柄を演じながら、ペルソナを被り耽落しておりました。世阿弥の言う様に、時々、離見の見として、観客席から自分自身をメタ認知したいと思います。

【前回の記事】

【直近のBricolage配信】


              
              * * *




さて・・・前置きはこのあたりにしまして。。。

今回も、standfmで音声配信をしております【Bricolage】配信から
「塹壕の中のたんぽぽ」をお届けして参りたいと思います。

【Bricolage】配信とは?
この配信は・・・私が書籍を読んでいて出会う、様々な言葉やエクリチュールされたもの、ランガージュ、エピステーメーを非予定調和的にブリコラージュをしてお届けする配信でございます。

今回のタイトルは「塹壕の中のたんぽぽ」でございます。

塹壕?とたんぽぽ?という印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。
言葉と言葉を並べた時の違和感や不協和音の様なものを感じて頂ければと思います・・・


皆様は、イギリスのウィンストン・チャーチルが海軍大臣時代に考案した
塹壕掘削機のエピソードをご存知でしょうか?

ウィンストン・チャーチル/Wikipedia


海軍大臣だったウィンストン・チャーチルが考案したとされる、
塹壕掘削機ですが、そのアイディアを考案出来たのは、チャーチル自身が
開かれたマインドを持っていたからだとも言われております。
様々な事柄に興味を持ちながら、常にアンテナを張りながら情報を集めることで、陸上の専門家が考えつかない様なアイディアを閃いたとも言われてございます。

カルチベーター No.6/Wikipedia



──── 塹壕ですが・・・戦争の際に敵の砲撃から身を守るために陣地の周りに掘る穴または溝のことです。兵士は塹壕に入って敵の攻撃を防ぎ、穴の中から火器で攻撃を行うこともありましたが・・・
屋根のない自然の穴ですので雨が降ると水溜りができます。

Wikipedia

塹壕足という言葉を聞いたこともある方もいらっしゃると思いますが、
水溜りの中に何日も隠れているので、その足が如何に不衛生な状況に
晒されるかはご想像の通りでございます。

──── ある日、この塹壕の中でたんぽぽを見つけた兵士がおりました。
彼の名前は・・・クロード・レヴィ=ストロースです。

クロード・レヴィ=ストロース/Wikipedia


クロード・レビィ=ストロースはフランスの文化人類学者、民俗学者です。構造主義の祖とも言われていてジャック・ラカンやロラン・バルト、ミシェル・フーコーなんかと一緒に1960年から1980年代あたりに現代思想としての構造主義を担った人物の一人として紹介されることも多いと思います。

神話学にも精通していて、100歳を超える長寿としても知られています。2008年の100歳の誕生日には当時のフランス大統領のサルコジさんも、
レヴィ・ストロースの私邸を訪れたことも有名ですよね。

著書も「悲しき熱帯」「野生の思考」などがございますが、アマゾンへの
参与観察からフランスへ帰国した1939年にフランス軍に召集されてドイツ・フランス国境のマジノ線の塹壕に送り込まれるというお話です。


マジノ線/Wikipedia



──── 送り込まれた場所は主だった戦闘は無い地域だったそうですが、
レヴィ=ストロースは、ぼうっと景色を眺めているときに、塹壕の中にたんぽぽが咲いているのを発見したそうです。

Wikipedia


たんぽぽの花を見たときにその美しい秩序(コスモス)に気がついたそうです。そしてここから着想を得て、「構造」というものに向き合うことになったようでございます。

余談ではございますが・・・
古代ギリシャの哲学者ピタゴラスは、宇宙秩序ある調和のとれたシステムと捉えて、「コスモス」と名付けたそうでございます。


ピタゴラス/Wikipedia


──── 自然が作り出す秩序と人間の思考の作り上げる秩序には連続性があるとことを考えた訳でございます。

私はこの話を聞いた時にマトリョーシカを思い出しました。
人間の思考は自然が作り出したと捉えると、宇宙全体の運動の中で地球が誕生して、生命が発生し、そして生命からが作られ、そこに精神が宿る
という構造だとも考えられると思います。


「人間の精神」と「たんぽぽの秩序」立った花を考えますと、
そこには連続性があるようで、両者が分断されてしまっているような、
非連続性を感じる様な気もしております。
この連続、非連続を捉えようとしたのがレヴィ=ストロース構造主義の出発点だとも言われております。



                * * *


──── ここからは毎度の宣伝でございます。

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ブリア・サヴァラン教授/Wikipedia


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