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シンクタンク勤務. メディカルAI学会公認資格. 国内AIデータ分析コンペに参加:…

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シンクタンク勤務. メディカルAI学会公認資格. 国内AIデータ分析コンペに参加:Nishika Aランク(金1銀1銅2)SIGNATE Expert(金1銅3). python,AI教材制作. MBTI;INTB(論理学者)

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最近の記事

ChatGPTはWebのボケたJPEGである

はじめに映画化もされた「あなたの人生の物語」(映画化時のタイトルは「メッセージ」でした。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ)などの作品で知られるSF小説家であるテッド・チャン氏が最近著しく話題のChatGPTに関する解説をNEW YORKER誌に寄せました。 適切ではないかもしれない、としながらもChatGPTを非可逆画像圧縮であるJPEGに喩えた内容となっています。個人的にはAIの本質をついているような気もしました。 とても素晴らしい内容ですのでDeepLで翻訳し、若干おかしな訳に

    • 日本メディカルAI学会公認資格試験、二週間の格闘記

      はじめにAI、人工知能の技術に関連した資格といえば、一般社団法人日本ディープラーニング協会のG検定やE資格があります。E資格は試験問題を見たことがありますが、とても難しい。私はとにかく資格試験というものが苦手なんです。なぜなら勉強しないといけないから。勉強嫌いです。昔から。何かの目的のために勉強するのが苦手なんです。なので、これらの資格は元々受験する気がまるでなかったのですが、ここで紹介するメディカルAI学会認定資格の試験はできるかも、と思ったのです。 この資格試験は、主に数

      • レトロな音声認識技術in1990

        はじめに音声認識技術と言えば、今日つまり2022年時点ではもうディープラーニング技術が中心となっています。 でも、1990年代、まだ日本がなんとなく元気で企業でもそれなりに研究開発費を遣っていた頃、音声認識の研究は当然やられていました。もちろん、当時はニューラルネットワークが産声を上げはじめた頃でしかなく、ディープラーニング技術で行われるようになるのは、まだ先の話(と言っても2000年に入ってからすぐですが)でした。 さて、1990年に入社したばかりの私に音声認識の仕事が舞い

        • ディープラーニング小史(その2) 〜私の体験した第二次人工知能ブーム〜

          はじめに個人的な体験として、私と「ニューラルネットワーク」との出会い(?)について紹介したいと思います。こういう体験をした人は希少でしょうし、体験した人は私と同様、既に第一線を退いている可能性が高いです。何かの役に立つとはとても思えませんが、記録として残しておきたいと考えました。 一般に人工知能(以下、AI:Artifitial Intelligence)ブームは3回あったと言われています。今は3回目、第三次AIブームの最中とされますが、各ブームの期間は曖昧ではっきりしてい

        ChatGPTはWebのボケたJPEGである

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        • 2024
          2本

        記事

          自動運転がやがて直面する道徳の「壁」〜モラルマシン〜

          はじめにAIいわゆる人工知能が人間の社会に浸透するにつれて、このAIにも人間界における規範、ルールを守ってもらう必要が出てくると思います。 一口にルールと言っても、目に見えるもの、見えないもの、人間界におけるルールは様々です。もちろんその一部は、法律として明文化されています。しかし真に厄介なのは、明文化されていない暗黙の了解のようなものではないでしょうか?特に人の命に関わるものは重大です。 SF小説家であり優れたサイエンスライターであったアイザック・アシモフは、1950年のS

          自動運転がやがて直面する道徳の「壁」〜モラルマシン〜

          沖縄返還50年、私の沖縄 1971-1972

          今年は沖縄返還から50年今年は沖縄の返還<昭和47年(1972年)5月>から、50年とのこと。日本において歴史的な返還でしたが、私はこのことを鮮烈に覚えているのです。なぜなら、この直前の昭和47年3月まで沖縄に住んでいたからです。 父の転勤に伴い、私の沖縄行きが決まったのが前年昭和46年の4月ごろでした。当時の私はちょうど小学1年生でした。小学校への入学が決まった直後の「引っ越し」となり、当然、私は行きたくなく散々抵抗したようです。あまり覚えていませんが、泣きまくっていたと後

          沖縄返還50年、私の沖縄 1971-1972

          ディープラーニング「男女の網膜には違いがあるようです」、医師「そんな話は聞いたことがない」 〜AIが切り拓く未知の世界〜

          はじめにTwitterでこんなコメントともに、文献の紹介が飛んできました。 興味深かったので、文献を読んでみると共に、翻訳にチャレンジしてみました。翻訳に際してはGoogle翻訳の機械翻訳にお手伝いいただきました。この(おそらくディープラーニングを使っていると思われる)機械翻訳の精度も凄まじく、若干手を加えるだけで、読めるような文章になったかと思います。 尚、私は医者でもましてや眼科医でもありません。文献本文中にもあるとおり、この研究は臨床的にはほとんど有用性がありません。

          ディープラーニング「男女の網膜には違いがあるようです」、医師「そんな話は聞いたことがない」 〜AIが切り拓く未知の世界〜

          自動車の燃費の計算方法は変えた方がよろしいかと、、、

          まずは、こちらからみなさんが自動車の性能を評価する際に真っ先に確認すると思われる「燃費」ですが、日本と海外では計算方法が異なるということをご存知でしたか? 日本では、一般的にリッター××キロ、即ち(km/L;ガソリン1リットル当たり何キロ走るか、大きいほど良い)が使われています。一方、海外では(L/100km;100キロ走るために使うガソリンの量、小さいほど良い)が使われます。実際は、単位が異なり、リットルの代わりにガロン(gals)、キロの代わりにマイル(miles)が使わ

          自動車の燃費の計算方法は変えた方がよろしいかと、、、

          眞子さま、小室さん、結婚会見全文から単語の出現頻度をみてみた

          今更ですが、ご結婚おめでとうございます。 会見全文ワードクラウド以下は、眞子さま、小室さんの結婚会見からお二人がお話になった言葉に出現する単語の頻度を計算し、ワードクラウドを作成したものです。 左が小室さん、右が眞子さま。 眞子さま、小室さん結婚会見全文(2021年10月26日)実際の会見全文は以下の通りでした。 会見全文の内訳は、後で紹介する「論座」のweb記事によれば、 合計文字数 眞子さん:1453文字 圭さん:897文字  (*質問に対する回答をのぞく) とのこと

          眞子さま、小室さん、結婚会見全文から単語の出現頻度をみてみた

          AI Quest 2020 戦記

          「その後、2022年」を追記しました。(2022年5月24日) AI Quest とは詳しくは以下のリンクを見ていただきたいのですが、経済産業省が、2019年6月に政府で決定した AI 戦略2019 に基づき、2019年度から「AI Quest」として講習を実施しているものです。実際の運営は、AI・データ分析コンペも主催しているSIGNATEさんが行っています。(下のwebページには私の写真も掲載されています。講習終了後にインタビューを受けました。) 講習の内容は、PBL

          AI Quest 2020 戦記

          ディープラーニング小史(その1)

          はじめに「人工知能(Artificial Intelligenc,以下AI)の歴史」とうことで年表のようなものにまとめられているものをよく見ます。ただ、正確を記すことはほとんど不可能ですし、おそらくあまり意味もないでしょう。なぜならAIに使われている技術(主に数学的な計算方法)は極めて古典的なものもあり、また関わっている人たちもおそらく膨大な人数に上るでしょう。今は「第三次人工知能ブーム」の最中とも言われていますが、もはやこれはブームと言うことすら憚れる状況で、AIの技術は確

          ディープラーニング小史(その1)

          では、「美しいことは正しい」は本当か? 〜サイエンスの女王“物理学”の迷走〜

          サビーネ・ホッセンフェルド著、「数学に魅せられて科学を見失う」2000年に「科学の終焉」と銘打った書籍が出版されました。著者は確かサイエンス系のジャーナリストで、科学の進歩が停滞していることを指摘しました。最先端の科学はもうこれ以上やることがないのではないか、というのはある程度の説得力があったように思います。 そして2020年、現場の最先端の女性理論物理学者ザビーネ・ホッセンフェルダーによる邦題「数学に魅せられて科学を見失う」(原題”Lost in Math”、直訳すれば数

          では、「美しいことは正しい」は本当か? 〜サイエンスの女王“物理学”の迷走〜

          機械学習と物理学(その2) ーテンソルー

          はじめに機械学習と物理学の関係について、今回は深層学習(ディープラーニング)で使われるテンソルについて紹介します。 深層学習の計算に頻出するテンソル人工知能の技術の一つである深層学習を計算する際には「大きな数の塊」を扱うため、テンソルという数学上の概念が使われます。ここでのテンソルは「多次元配列」と解釈されることが普通です。これは言ってみれば多次元の「行列」のことです。しかし、そもそもテンソルとは元はなんだったかというと、、、 テンソルその語源テンソルは元々弾性力学で使わ

          機械学習と物理学(その2) ーテンソルー

          むかーし読んだ海外文学たち〜一部はもう新刊では入手できない〜

          はじめに昔読んで面白かった海外小説を紹介します。どれも古すぎて新刊では入手困難ですが、出版当時はベストセラーになったようなものばかりです。そのせいか、これらの作者の一部は今でも書き続けています。文学作品、というよりは大衆文学とお考えください。翻訳も古くなっているでしょうから、積極的におすすめはしませんが、もし機会があったら手に取ってみてはいかがでしょうか。 アーサー・ヘイリー著、「ホテル」当時何故か母の書棚にあったのをこっそり読み始めたら、これが面白かった! アーサー・ヘ

          むかーし読んだ海外文学たち〜一部はもう新刊では入手できない〜

          映画「魔女の宅急便」から読み解く手塚治虫と宮崎駿

          はじめにここにあげる文章は以前yahooの映画レビューに投稿したものを再掲するものです。今、読み返してみて、さほど悪い内容ではないし、後世に伝えておきたいという思いからリブートします。まあ、yahooでは700ビューで2つくらいしか「お役立ち」がついていないので、それほど求められている内容ではないのかな、とも思いますが。 とりあえず、知っていることを記録として残しておきます。(間違い、勘違いがありましたらご指摘ください。) 「魔女の宅急便」言わずと知れた宮崎駿監督作品。公

          映画「魔女の宅急便」から読み解く手塚治虫と宮崎駿

          本を読む暇のない人のために、デイヴィッド・J・ハンド著「ダークデータ」を要約してみた

          本書は、データ分析に携わる人には必須の知識だと思われたので内容をまとめて紹介します。 イントロダクションインターネットの時代になり、膨大なデータが蓄積され、データを分析することで意思決定を行うことが求められるようになってきた(とは言っても、日本ではごく一部のIT関連企業以外はまだまだ、という感じですが)。「ビッグデータ」という言葉も一般的になってきたことは周知の通りです。 本書は、その膨大なデータの中で、特に測定されていないデータに着目し、データを見逃すことで発生すると思

          本を読む暇のない人のために、デイヴィッド・J・ハンド著「ダークデータ」を要約してみた