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日本メディカルAI学会公認資格試験、二週間の格闘記

はじめに

AI、人工知能の技術に関連した資格といえば、一般社団法人日本ディープラーニング協会G検定E資格があります。E資格は試験問題を見たことがありますが、とても難しい。私はとにかく資格試験というものが苦手なんです。なぜなら勉強しないといけないから。勉強嫌いです。昔から。何かの目的のために勉強するのが苦手なんです。なので、これらの資格は元々受験する気がまるでなかったのですが、ここで紹介するメディカルAI学会認定資格の試験はできるかも、と思ったのです。
この資格試験は、主に数学とプログラミングで、どちらも手で動かして答えを求める試験になります。ですので、勉強して試験範囲を覚える必要が全くないのです。これまで私は、遊びで国内のAIデータ分析コンペに参加していましたので、その知識だけでできそうな気がしました。
簡単に私が体験した資格取得までの流れを紹介します。

試験体験記

既に、以下の通り、このnoteや他のところでも試験の受験体験記が報告されています。

試験チャレンジ期間

私が試験を受けたのは、今年2022年の9月21日(水)から10月2日(日)までの12日間です。オンライン試験なので、特に期限の指定はありません。私は講義動画を半分くらいしか見なかったので、早かったと思います。丁寧にやれば、1ヶ月くらいはかかるかもしれませんね。以下は私の実際のスケジュールになります。

試験スケジュール

試験内容

試験は二つのコースに分かれています。「脱ブラックボックスコース」と「メディカルAI専門コース」です。
試験問題を提供するキカガクさんは他にもコースを提供していますが、メディカルAI学会公認資格取得に必要なのは、この二つだけ受ければ十分です。
コースは講義の動画と実際の試験に分かれていますが、動画の視聴は必須ではありません。一方で試験は全問正解する必要があります。
以下が、私の「脱ブラックボックスコース」の受講状況です。テストは100%クリアしていますが、動画の視聴状況は22%です。

脱ブラックボックスコースの受講実績

こちらは、「メディカルAI専門コース」の受講状況です。こちらもテストのクリア状況は100%ですが、動画は65%視聴しています。

メディカルAI専門コースの受講実績

試験の注意点

当然のことながら、試験内容についての情報共有は厳禁ですので、それ以外の点で気をつけるべきところを紹介します。
もしチャレンジするような場合には参考にしてください。

開発環境

コーディング試験があるので開発環境を準備してプログラミングをしなければいけません。私は普段Jupyterという開発環境を使っていますが、試験では、Google Colaboratory(以下、Colabと略)が推奨されていますので、そちらの利用がお勧めです。Colabの利用は基本的に無料ですが、無料の場合は環境が安定しません。Colabの最大の利点はGPUが使えることですが、無料だと制限があって自由に使えないのです。ここは、安定して使える有料のGoogle Coraboratory Pro 月額1072円を利用しましょう。
Google Colaboratoryについては以下を参考にしてください。

GPUガチャ

試験ではGPUとして、Tesla T4の利用が推奨されています。これ以外のGPUだと計算した答えがあわない場合があります。一方で、Colab側でいつも同じGPUを使えるとは限らないのです。俗に言うGPUガチャです。だから希望のGPUが出るまでシステムをリセットするいわゆるリセマラ(リセットマラソン)の必要がある、のですが、私が確認した限りでは、他のGPUでも答えは変わらなかったので、リセマラの必要はないと思います。

フレームワークMONAI

次に利用するディープラーニングのフレームワークですが、こちらは、PyTorchベースのMONAI (Medical Open Network for AI=AI用の医用オープンソース ネットワーク)を使います。
PyTorchでも同じことができそうな気がしたのですが、これはデファクトなんでしょう。何より医療用のフレームワークということなので、この分野では実績があるものと思われます。
このMONAIですが、試験はver.0で行われるのですが、最新版は、ver.1になっています。このver.1を使わないと他のライブラリとの連携がうまく行かなかったりします。フレームワークが違うと計算結果が違ってしまい、問題を解くことができないという事態になります。
その場合は、運営のキカガクさんに問い合わせてください。これに関しては全面的に支援すると言っていただきました。答えを教えてください、ではないので大丈夫です!

必要なスキル

数学

AIのアルゴリズム(主なものは機械学習と呼ばれています)で使われる数学はそれほど難しいものではありません。個人差(進学の差)はありそうですが、私自身の体験(古いですが)から推測すると、大学1年の教養くらいまでの数学を完璧にマスターしていれば十分ついていけます。
内容は、線形代数、微分・積分、統計学(情報理論)が中心になります。統計学と情報理論は切り分けが難しいですが、これも基礎的な数学が分かればマスターするのにそれほど苦労はしないでしょう。

プログラミング

資格試験ではプログラミング言語pythonによる課題が出題されます。流石にプログラミング未経験、python未経験の人は無理だと思います。どのレベルのpythonの知識が必要かはなかなか難しいですが、少なくとも一回くらいきちんと機械学習のプログラムを組んで実行できるくらいではないと厳しいと思います。

プログラミングは、プログラムを作っただけでは終わりません。それから長い長いバグ(プログラム上のミス)との闘いがはじまります。つくったプログラムがなぜ簡単に動作しないのか、その原因はもうありすぎてあげられません。単純なコードのスペルミス、アルゴリズムがそもそもおかしい、更にはプログラムのせいではなく開発環境なので外部のせい、など原因を特定する時間に途轍もない時間がかかります。
そういうわけで一度もプログラミングをしたことのない人はこの資格試験に挑戦する前にそれなりに勉強することが必要です。

おわりに

試験終了、全問正解していれば、日本メディカルAI学会会費6,000円と資格費用11,000円を納入すれば約2ヶ月で資格証が届きます。
尚、この資格は以下のとおり、英検と同格の資格となります。ですので履歴書等への記載が可能になります。

重要なご報告となりますが、日本メディカルAI学会公認資格に関しましては、2021年3月1日に文部科学省様よりご承認をいただき、英検等と同格の文部科学省後援の資格試験となりました。引き続き質の高い資格試験を実施して参る所存でありますので、ご協力のほど何卒宜しくお願いいたします。

2018年度日本メディカルAI学会公認資格取得者の皆様へご連絡


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