むかーし読んだ海外文学たち〜一部はもう新刊では入手できない〜
はじめに
昔読んで面白かった海外小説を紹介します。どれも古すぎて新刊では入手困難ですが、出版当時はベストセラーになったようなものばかりです。そのせいか、これらの作者の一部は今でも書き続けています。文学作品、というよりは大衆文学とお考えください。翻訳も古くなっているでしょうから、積極的におすすめはしませんが、もし機会があったら手に取ってみてはいかがでしょうか。
アーサー・ヘイリー著、「ホテル」
当時何故か母の書棚にあったのをこっそり読み始めたら、これが面白かった!
アーサー・ヘイリーは大企業の内幕を描いた小説群で有名ですが、この「ホテル」以前に書かれた「大空港」は映画化され(タイトルは「エアポート」)、これが後の「タワーリング・インフェルノ」、「ポセイドン・アドベンチャー」といったパニック映画の原点となりました。パニック映画の基本は様々な境遇の人々が入り乱れた群像劇ですが、その流れを作ったのが「エアポート」です。(「エアポート」は爆弾魔が飛行機内で自爆しますが、それでも飛行機は墜落しないで飛び続けるので、飛行機頑丈!ということで、当時のTWA社(航空会社)の宣伝にもなりました。)
「ホテル」も基本群像劇ですが、ラストにあっと驚く仕掛けがあります。
その他、「マネー・チェンジャーズ」、「自動車」といった小説はドラマ化され、日本ではNHKで放映されました。
「マネー・チェンジャーズ」は現在、電子書籍(kindle)で入手できるようです。
ジェフリー・アーチャー著、「100万ドルをとり返せ!」
ジェフリー・アーチャーはまだ現役で新作を発表していますが、彼の小説家としてのキャリアの出発点はこの小説から、です。この人の人生はまさに波乱万丈で、この小説も彼の実体験から生まれました。この小説通り、彼は詐欺師に騙され大損害を受けます。一念発起して書いたこの小説はベストセラーになり、見事損失を穴埋めしました。その後、「ジャッカルの日」ばりの「大統領に知らせますか?」も大ヒット、3作目の「ケインとアベル」は一転重厚な人間ドラマで素晴らしい作品となりました。
彼の人生は、これでは終わりません。その後、議員になり、政界入りしますが、偽証罪に問われ投獄されてしまいます。しかし、最近はまたかなり新作を出していますね。昔の小説ほどパワーを感じませんが、人気はあるようです。
尚、「100万ドルをとり返せ」の原題は、"Not a penny more,Not a penny less"、「(100万ドル)キッチリな!」、という意味。
これが最新作かな?なんか村上春樹訳、ジョン・グリシャムの「グレート・ギャッツビーを追え」みたい、タイトル、がね!(村上さんは、クライブ・カッスラーみたいやろ、って言っていましたね、タイトルが😄😄😄)
アーウィン・ショー著、「富めるもの貧しきもの」
なんか、現代の格差社会を描いたのか?と言われちゃいそうなタイトルですが、(富める)兄と(貧しき)弟の兄弟の物語です。ショーは短編の名手と知られていますが、本作は大長編(文庫三冊!)で続編(「犬にもなれない男たちよ」)まであります。
ドラマ化されNHKで放映されました。私はドラマを先にみてから小説を読みました。ドラマのタイトルはまんま「リッチマン・プアマン」でしたね。
クライブ・カッスラー著、「タイタニックを引き揚げろ」
上でカッスラーの名が出たので、ついでに、と、本記事を書くためにと調べていたらカッスラーは昨年(2020年)に亡くなっていました。(R.I.P.)
彼の作品は村上氏の指摘通り「〇〇しろや!」と言った調子の邦題がずっとつけられますが、本作が原点だと思います。
タイタニックが沈むんじゃなく、引き揚げようぜっていう壮大かつ無理筋なストーリーですが、小説は面白かったです。映画化もされましたが、そちらは、、、以下自粛。
こちらはkindle版が出ていますね。昨年出ているので追悼の意味もあるのかもしれません。
フレデリック・フォーサイス著、「悪魔の選択」
映画化もされた「ジャッカルの日」を筆頭に、「オデッサファイル」、「戦争の犬たち」という3部作で当時のスリラー小説界で不動の地位を確立していたフォーサイスが満を辞して発表したのが本作。
冷戦時代のウクライナ問題を扱っている傑作ではありますが、今ではもう古いかもしれません。ジョン・ル・カレの小説はこれからも読まれ続けるでしょうが、これは難しいかも。
でも当時はもうワクワクして読みました。
ケン・フォレット著、「針の眼」
今では、歴史小説家のようになってしまったケン・フォレットのデビュー作。上のフォーサイスのようなスリラー小説家という位置付けでした。
その次の作品の「トリプル」もなかなかの力作でした。
英語版は電子化されていますが、翻訳は賞味期限(やっぱり訳は古くなりますよね)があるから、難しいかもしれません。
トレヴェニアン著、「夢果つる街」
今で言うと「羊たちの沈黙」のトマス・ハリスばりの超寡作作家のトレヴェニアンのまごうかたなき大傑作です。再読したいんだけど、古書でしか手に入らないですね。
その他、「シブミ」という冒険小説(と紹介されているけど、どちらかというとスパイ小説じゃないかなあ)もあります。「シブミ」とはもちろん日本語由来です。ラストのアクションシーンが翻訳が悪いのか、読みにくかったように記憶しています。その後、ドン・ウィズロウが「サトリ」という続編を発表。
アイラ・レヴィン著、「ブラジルから来た少年」
「ローズマリーの赤ちゃん」でも知られる、こちらも寡作作家のアイラ・レヴィンの作品です。これはもうガチで怖かった。こんなこと考える人がもし本当にいたら、恐ろしすぎます!
「ローズマリーの赤ちゃん」はロマン・ポランスキー監督により映画化されました。その後、ポランスキー監督の自宅が襲われ彼の奥さんが妊娠中に惨殺されてしまいます。この事件をテーマにした映画がクエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオで映画化されました。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ですね。タランティーノの愛と優しさを感じたいい映画でした。
ジョーゼフ・ヘラー著、「キャッチ=22」
私のnoteでの名前Yossarianは、この不条理小説の主人公の名前からです。それだけ。
最後に
まだまだありますが、とりあえずここまでで。
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