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自動車の燃費の計算方法は変えた方がよろしいかと、、、

まずは、こちらから

みなさんが自動車の性能を評価する際に真っ先に確認すると思われる「燃費」ですが、日本と海外では計算方法が異なるということをご存知でしたか?
日本では、一般的にリッター××キロ、即ち(km/L;ガソリン1リットル当たり何キロ走るか、大きいほど良い)が使われています。一方、海外では(L/100km;100キロ走るために使うガソリンの量、小さいほど良い)が使われます。実際は、単位が異なり、リットルの代わりにガロン(gals)、キロの代わりにマイル(miles)が使われたりします。
私も最近まで、全く知りませんでした。知ったきっかけは、行動経済学の始祖でありノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を読んだからです。

そこには、こんな記述があります。

車を買うとき、多くの人は燃費を重要な判断材料の一つと考える。燃費のいい車はランニングコストが安くてすむからだ。ところが、「ガソリン消費量一ガロン当たりの走行距離」というアメリカでずっと使われてきた燃費のフレームは、車を買おうとする人にとっても、政策当局にとっても、まことにお粗末な指標でしかない。

ダニエル カーネマン,村井 章子. ファスト&スロー (下) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.3545-3548). 早川書房. Kindle 版.

ガロンは、リッターで読み替えてください。「お粗末な指標」とまで言っています。その理由はおいおい述べるとして、2021年の燃費ランキングを海外の計算方法で見てみましょう。誤解のないように予め断っておきますが、海外式計算方法でもランキングは変わりません。なぜなら、日本式計算方法だと、燃費大の方が性能高となり、逆に海外式計算方法だと、燃費小の方が性能高となるからです。
だったら気にしなくていいやん、となりそうですが、どうも日本式計算方法だと家計に厳しい、ということになりそうなんです。
(ちなみにカーネマンは行動経済学の「フレーミング効果」の文脈でこれを語っています。「フレーミング効果」については特に本記事では深く突っ込みません。)

燃費ランキング

まずは車種別の燃費ランキングから、燃費を日本式と海外式で計算して見ました。変換式は、次の通りになります。

海外式燃費(L/100km)= 100➗日本式燃費(km/L)

燃費ランキングもよくわからなかったので、以下のサイトから、全車種を選択してランキングを見てみました。なんか変なことしてたらごめんなさい。ガチで車種の性能評価をしたいわけではないので、雰囲気だけでもわかればいいかと思っています。

https://e-nenpi.com/enenpi/enenpi?defact=cartype_best

結果だけ見るとドングリの背比べみたいですよね。これの何がまずいのでしょうか?

なぜ、よろしくないのか

では、ここでカーネマンの書籍に戻りましょう。日本風に言い換えています。

1.太郎はリッター10キロのガソリン食いの車から、いくらかマシなリッター14キロの車に買い換えました。
2.環境意識の高い花子はリッター30キロという燃費の良い車からさらに燃費が良いリッター40キロの車に買い換えました。

リッター10キロという車(実際には大型車とした方がいいかもしれません。)もリッター40キロという車もなさそうですが(笑)、これくらいの数値に設定すると違いがよくわかるんです。どうも環境意識高い花子さんの方が買い替え効果は高そうですよね。(太郎くんはリッター当たりの買い替え効果が4キロしかない一方、花子さんの買い替え効果は10キロになります。)

これを見方を変えて、10000キロ走行した場合のガソリンの消費量を太郎くんと花子さんで比べてみましょう。

10000キロ走行したと考えた場合の燃料消費改善効果

太郎と花子で燃料消費の改善効果が逆転してしまいました。燃費なので、走行距離がどれだけ伸びたか、ではなく消費された燃料そのものを見るべき、ということのようです。ただ、上のランキングにある車種で比較してもこの改善効果は微差になるでしょう。リッター当たりで測った燃費の差が大きいほど、この改善効果は顕著になるようです。

より詳しく知りたい方は以下のサイトが詳細な検討をしています。

もちろん日本の自動車メーカーは海外展開をしていますので、海外では海外式の燃費表示をしています。
以下はトヨタさんの例ですが、単位は、gals/100 miles、つまりガロン/100マイルになっています。

https://www.fueleconomy.gov/feg/bymake/Toyota2021.shtml

そして結論らしきもの、燃費計算方法を変えた方がいい理由

いずれ全ての自動車は電気自動車に移行する可能性もあるため、今のガソリン車の燃費の計算方法なんてどうでもよくなるとも考えられます。
ですが、それほど急に電気自動車への置き換えが進むとは思えません。10年以上は先だと思います。そんな中で日本式燃費計算方法をなぜ変えないのか?おそらくこれは自動車メーカーではなく国(中でも国土交通省)の都合によるものではないかと推測されます。この計算方法の変更で色々なところに影響が及ぶのでしょう。それを嫌ってのことだと思われます。
自動車メーカーにとっては、既に海外での販売展開で新しい燃費計算方法を取り入れているわけですし、この計算方法によって車の性能の評価が大きく変わることもない以上、むしろ海外のデファクトに合わせた方が好都合のようにみえます。
持続可能社会を目指すとか、地球環境問題に取り組むと言った場合、海外との足並みを揃えておいた方がいいと思うんですよね。
どうでしょうかね?

補足

燃費の向上率でみてみます。海外式計算方法で燃費10%向上するとは例えば、3L/100kmが2.7L/100kmになるとなることです。このとき、日本式に換算すると33km/Lが37km/Lに燃費が向上したことになります。これは、日本式計算で11%の燃費向上になります。海外式と日本式では、1%ほどの違いが生じてしまいます。数値的には大したことないかもしれないのですが、技術的ハードルは相当上がるように思いますが、いかがでしょうか?
私は自動車のエンジニアではないので、これについての判断はできませんが、もしご存知の方がいらしたら教えていただきたいです。


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