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生成AIと教育現場の向き合い方。単なる禁止とするか、思考力を育むツールとして活用するか。

 どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

 生成AIの強烈な進化を目の当たりにしたのが2022年、夏頃だったと思います。Stable Diffusionによって画像生成に関するAIの技術力が驚くほどの進化を遂げていることを実感し、その冬にはOpenAI社からChatGPTが登場したこで、あらゆる分野にAIが活躍する土台が出来上がってしまったことを実感している人も少なくないでしょう。

 教育現場でも同様ですが、好意的なものではなく少し後ろ向きな内容として学生が宿題やレポートを生成AIが作ったものをそのまま提出している実態について報道されていました。

 今回は、学校現場と生成系AIとの付き合い方について考えてみることにします。

生成AIがもたらす教育現場の変化 

 冒頭でも触れた通り、ここ数年で起こった生成AIの発展に伴い、一般的な就労環境だけでなく教育現場にも大きな変化が起こっています。

 紹介した記事の通り、学生たちの間では、宿題やレポートを生成AIに頼る傾向が強まっており、教員の間で懸念の声が上がっているとありました。おそらく、大学だけでなく高校や中学、場合によっては小学生なんかも対象になるのかもしれません。

 懸念されている通り、AIが示す「正解」をコピーするだけでは、本来の学習効果が得られないというのは社会人における仕事においても同様です。AI使用すること自体は問題ないはずですが、それを不正行為にまで昇華させてしまうことは学生のためにもならないでしょうし、学校側としての対応しなければならない事態にまで発展しているのが現在

 安易なAIへの依存は、学生の思考力や創造性の育成を妨げてしまう可能性があるだけでなく、冒頭の記事でも「AIに頼る学生を指導するのは、まるで無料の代行業者のようだ」とあるように、人が横流しツールとして成り下がってしまっている現状は嘆かわしいとすら言えます。

 でも、問題はAIの使用そのものではなく、どう使うかのはず。

 教育の目的は知識の詰め込みではなく、思考力の育成にあるのだと仮定した場合、生成AIは、使い方次第で学びを深めるツールになり得ますから、単に禁止するのではなく、適切な活用法を学生に教えることが、これからの教育に求められる姿勢でしょう。

学生にはAIと向き合ってもらう

 上述の通り、生成AIの登場によって教育現場でも付き合い方について学生に教育する必要が出てきました。ここで間違えて欲しくないのは、単に使用を禁止する方向で進んで欲しくない点。

 携帯電話と同様で、学校でいくら禁止したところで学生のプライベートにまで侵食しているツールに関して使用を制限などできるはずがありません。生成AIはすでにそういった社会的な市民権を得ているツールだと言えますから、適切な利用法を教えることが重要です。

 つまり、AIは既に社会に浸透していて、さらに広く活用されることが予想されるものとなってしまった、ということです。

 学生たちがAIと賢く付き合っていくためには、まず人間とAIの役割分担を明確にすることが大切になります。

 AIは大量のデータを高速で処理し、複雑なパターンを見出すことに長けていますが、一方で人間は倫理的判断、共感、創造性などの面で優れています。学生たちには、AIにはできない人間ならではの思考があることを理解してもらう必要があります。

 …一点いいですか。

 冒頭の記事内でもあるように、学生は「文章をまとめるのが苦手だった」と書いてあるものの、そういった学生が大学に進学していることは根本的に大学ってものの在り方自体を問うものだと思いますが、長くなるので今回は割愛します。

 人間とAIとの間で役割分担があることを理解したのち、AIを有効活用する方法を一緒に考えていきます。

 たとえば、AIで作成された文章をきっかけにディスカッションを行い、自分の考えを深めるなどです。AIが出してくるものは問い掛け方が甘ければ広く一般的な内容で終わってしまいますが、"役割"を詳細に決めてあげることによって専門的な内容で生成することも可能ですから、役割の与え方を教職員側も模索する必要があるでしょう。

 あるいは、AIを使って効率化できる部分と、人間が時間をかけて取り組むべき部分を見極める訓練も有効で、どの部分を人間が担うべきなのかを判断することができるかどうかは、社会人生活における仕事の生産性に直結してきます。

 つまり、すでに現代の教育にはAIを適切に利用するリテラシーを育むことが不可欠だってことです。

 学校は、生成AIを脅威ととらえるのではなく、むしろ学びを深めるパートナーとして活用する道を模索すべきで、それは教員にとっても新たな挑戦となり、同時に教育の可能性を大きく広げるチャンスとなってくれる可能性が高いでしょう。

生成AIを活用した思考力育成の方法 

 先ほども書きましたが、生成AIは適切に活用すれば学生の思考力を育む強力なツールになり得ます。その一つとして、「AIが生成した論文を批評させる課題」とするのはどうでしょう。

 具体的には、特定のテーマでAIに論文を書かせ、それを学生に批評してもらう。学生はAIの論文を読み込み、論理の飛躍や根拠の不十分さ、偏った見方などを指摘してもらいます。これ、学士を得るための卒業論文を作成するためには最低限必要な能力ですし、何なら普段のネット上に転がっている情報を見る際にも必要な能力です。

 さらに、批評した自身の指摘を踏まえて考えを述べたり、まとめます。このプロセスによって、学生は論文の構成や論証のあり方を学べると共に、批判的思考力を養うことも可能だと言えます。

 また、AIが生成した文章と人間が書いた文章を比較させ、その違いを議論させることも面白いかもしれません。AIの文章のどこが不自然で、人間ならどう書くかを考えさせることで、言葉の微妙なニュアンスや文脈の重要性に気づかせることができるでしょう。

 有益なツールである生成系AIにだって限界はありますから、それらの限界を知ることも大切です。生成AIは膨大なデータに基づいて文章を生成しますが、人間が思うより独創的なアイデアを生み出すことはできません。新しい問いを立てたり、既存の枠組みを打ち破ったりするのは人間の仕事なのです。

 教職員側には、こうしたAIの特性をよく理解し、長所と短所を踏まえた上で、効果的な教育方法を編み出していくことが期待されますが、生成AIはあくまでもツールであって敵視するほどの存在ではありません。

 しかし、味方につけることで、これまでにない新しい学びのかたちを生み出せるはずですし、それは学生の可能性を大きく広げることにつなげることが期待できるんじゃないでしょうか。

おわりに

 こんな感じで書いてきましたが、すでにぼくも生成AIに頼ってしまっていますし、禁止されたら困ってしまうことも事実です。が、付き合い方をうまくしてあげれば時間を有効に使えるようになることは間違いないので、その点を学生たちにも気づきを与えられる大人が増えるといいなって思う次第でし。

 ではでは。

 ゑんどう(@ryosuke_endo)


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