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みんな、本当にそれほど副業がしたいのか。

2020年を境にして、リモートワークだとかテレワークといった在宅勤務を中心とした働き方に多様性を求めるような雰囲気と許容する雰囲気とが合致しはじめたような印象を抱いているのはボクだけではないでしょう。

さらに、時を同じくして副業や兼業といった本業を抱えつつも、異なる法人や事業に関わる働き方をする人たちが増えてきているという噂やデータを目にする機会も増えました。

リクルートが2023年4月11日に出した『兼業・副業に関する動向調査 データ集 2022』には、そんな副業や兼業に関する調査結果が反映されていますので、興味と関心のある方はぜひお目通しいただければと思います。

その中から、兼業や副業の実施者である個人への調査結果を見ると、2020年以降で兼業・副業を実施している個人の割合は2022年で9.9%でしたが、前年、前々年と比較しても大きく増進しているとはいえない状況。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p5

兼業・副業を実施してみたいと思ったきっかけに関する設問への回答を見てみると、「自分のキャリアを見つめ直した(26.5%)」がTopであるものの次点が「テレビ・新聞・雑誌でニュースや記事を見かけた(17.1%)」とあります。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p17

…え?えぇ…っと…ん??ちなみに、2021年にも15.6ポイントも回答している人たちがいるため、どうやらメディアによって形づくられた願望のようなものを兼業や副業に抱いているのかもしれません。

果たして、本当に兼業や副業をしたいと思っているのでしょうかねぇ…なんてことを考えてみたいと思いましたのでカタカタしてます。

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

行き着くところは「収入のポートフォリオ」問題

あくまでも、今回紹介しているリクルートの公開調査内容をもとにしたものでしかありませんが、兼業・副業を「実施したことがある」、「実施したことがない」の双方で理由のTopと次点はカネ(金)のためです。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p20
【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p21

これって、現状の働き方で自らが希望する収入を得られているとは思えない人たちが相当相当数いることを示しているのかなぁ…とか思える結果といえます。

同じく、兼業や副業といった本業以外で行う仕事を探す際に重視する点は何かと問われた回答者たちは全力で「給料・報酬」と回答していることから、ボクも含めてみなさんがお金に縛られていることがよくわかる結果となりました。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p22
【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p23

これって、新型コロナウィルスの感染拡大などによって収入が大きく減る経験だけでなく、テレワークなどによって生産的な働き方ができるようになったことも関係しているでしょう。

ただ、何よりも「一つの職場からだけで得られる給与額と仮にそれがダメになり生活が損なわれることのリスク」が見合わないと感じはじめている人たちが増えているのだろうって結果に見えて仕方ありません。

リクルートの調査に回答をするぐらいの人たちですから、転職や兼業・副業といった転換点などに感度の高い人たちが回答していることを踏まえても、そういった人たちが増えたことによって大勢なんてものが構築されていくのだろうと安直に考えられる結果でもあります。

つまり、収入を得られる箇所を分散させておくことによって、仮に本業が何かしらのリスクにさらされることによってダメになったとしても、他で代替できるような状況をつくり出しやすくしておこうってことなのでしょう。

「時間が余ったから」といって請けるべきではない

兼業や副業を行う人たちは、兼業や副業と表現するぐらいだから何かしらの所属、つまり本業を抱えてらっしゃる人たちなのでしょう。

どういうことかっていうと、普段はカイシャインやってますってこと。

カイシャインって人たちの中で、兼業や副業をしようと思える人たちが提供しているのは何かというと、意外にも「本業と関係のない内容」を取り組んでいるそうです。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p29

具体的な事例に関しては記載がありませんが、この数字が2021年から前年比でも+13%と大きく伸長していることから、兼業や副業では異なる価値を提供しようと試みている人たちが増えているようでもあります。

しかし、です。

きっかけのところに戻ってくると、実施者で「ライフスタイルの変化により時間ができた(21.4%)」、「働き方改革により時間ができた(20.8%)」、未実施者でも「働き方改革により時間ができた(14.5%)」、「テレワークなどの働き方の変化で時間ができた(13.7%)」と余剰時間が増えたと実感したことから兼業や副業に手を出そうとしている人たちがいることも確認できました。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p16
【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p17

自分の余剰時間が増えたから兼業や副業をお金のためにやってやろうか!なんて意気込んでいるクセに、蓋を開けてみると「おいおい…」と落胆するような結果となっています。

どういうことか。

実施者で「休日などの休息時間が減少する(30.8%)」、「本業との両立(時間管理)が難しい(26.3%)」だし、未実施者でも「本業との両立(時間管理)が難しい(56.5%)」、「休日などの休息時間が減少する(36.6%)」といった結果が出ており、「どっちなんだよ!」なんてツッコミを入れたくなるようなものとなっているのです。

【リクルート】兼業・副業に関する動向調査データ集2022_p27

ここからいえることといえば、結局、ワガママなんだろうなぁ…なんてことでしかありません。

自分は「何を提供できる存在なのか」が大事

兼業や副業をしようが、本業で精一杯やろうが、どちらにしても大事になってくるのは自分が「何かしらの価値を提供している対価として報酬を得ている」点です。

仮にテレワークや働き方改革によって時間が余って暇だと感じているのであれば、自分自身の人的資本を高めるために時間を割いたらいいでしょう。

ここ最近はリスキリングだなんだといわれるようになりましたが、リスキリングとは学び直しではありません。身につけ直しです。

それまでのスキルを活かした延長線上にあるものにしても、まったく関係のない自らの人生文脈で触れることがなかった分野への挑戦にしても、「未経験」や「初心者」の立場に追いやられながらもスキルや経験を身につけていくことがリスキリングの本質でしょう。

ただ、web上にある無料の情報コンテンツを消費したところで、それは何のスキルも経験にもなっていません。それを実践する「現場」を持ち、そこで実践し、失敗も成功も経ていくことによって着実に得られていくもの。

それがリスキリングで得るべきものです。

だから、兼業や副業で果たすべきは「自分が辱められる環境」に飛び込むだけの気概や勇気みたいなもので、それを持てないのであれば兼業や副業に時間を費やすことはやめた方がいいのです。

そんなことをする時間があるのなら、本業で給料を上げられるよう社内政治をやったり、少しでも自らのポジションを高めるような根回し的な行動に費やした方がいいのではないでしょうか。

それにしたって、自分が「何を提供できる存在なのか」「何を提供することで対価を得ているのか」を明確にすることができないと行動のしようがありません。

安易に兼業や副業をするのではなく、自らの人的資本を高める上での前提として、スキルや経験、実績の棚卸しをすることに時間を割いた方が、よっぽど、それ以降の過ごし方が変わるはずです。

おわりに

まぁ、偉そうに一筆書き的に書いてきましたが、ここまでで3,000文字を超えているそうですから、そろそろやめにします。ボクは在宅フリーランスですから、必然的に複業をすることになります。

同時に複数の役割や立ち位置を踏まえていると、それらが自分の中で有機的につながっていくことを実感する機会は一度や二度ではありません。

それを前提にすると、多くの人たちが複数の役割を異なる場所で得ながら働けることは有意義なことだろうと思いますし、啓蒙していきたい気持ちはあります。

ところが、それをするためには多くの敷居を越える必要がありますし、正直、面倒なことも多いでしょう。何よりもカイシャイン的な働き方に慣れてしまっている人は確定申告なんて地獄でしかありません。

それでも乗り越えていく気概があり、自らを初心者として見られてもいいって覚悟がある人は、ぜひ兼業や副業などに挑戦してみてもいいのではないでしょうか!

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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