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ドジャーズは大谷と大変安く契約を結ぶことができたんだ(現在価値の視点から)

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

いやー、すごいですよね。

大谷翔平選手がアメリカMLBのドジャーズと結んだ契約。何がすごいって、この契約は過去のプロスポーツ市場で総額で見れば最大の金額です。つまり、最も大きな契約を日本人選手が勝ち取ったってことになります。誇らしくないですか。

ついつい、我々のような東アジアの小さな島国の人間は、世界中のアスリートたちに向けて「身体能力が…」とか「ハングリーさが…」みたいな文脈で引け目を感じてしまうものじゃないですか。

それをね、その日本って土壌から育まれたスポーツ選手が諸外国の筋骨隆々のアスリートたちを差し置いて、MVPや各種タイトルを獲得するだけでなく、最も大きな金額で契約を結ぶことができるだなんて、無理だって思ってましたよね。少なくともぼくは「そんなこと起こるわけがない」とか思ってましたよ。

せいぜい、活躍できてもイチローのように小柄ながらも鋭敏な動きを見せて、体格的な意味で「日本人の代表格」みたいな選手が活躍することはあったとしても、過去に達成したことのない偉業を次々と成し遂げては、最大限のリスペクトまで受けることができる選手が出てくるだなんて想像力の乏しい人間なこともあり、及びませんでしたよ。

で、今回は大谷選手とドジャースとの間で結ばれた選手契約に焦点を当てて「ドジャーズ、実は額面上の金額よりは遥かに安く大谷選手と契約を結んでいるのではないか」なんてことを考察していきます。

ただ、あくまでもドジャーズと大谷選手との間で結ばれた契約のみを対象とするため、大谷選手の個人的なブランド価値や他の契約は考慮しませんので悪しからず。

大谷選手の契約が安い理由は「現在価値」

大谷選手とドジャーズとの契約がなぜ安いといえるのかを説明するためには、「現在価値」といった金融の世界などで当然のように使用される原理を用いて説明する必要があります。

現在価値とは、簡単にいうと「今のお金と将来のお金」の違いを説明するもので、将来に受け取るお金が今日どれだけの価値があるかを示す考え方です。

たとえば、「1年後に100万円もらう」と「今すぐ100万円もらう」では、どちらがよいでしょう。これ、割と多くの人は「今すぐもらう」方が良いと感じるんじゃないですかね。

これは、「今すぐのお金」の方が「将来のお金」より価値が高いと感じるからで、これが現在価値の根幹だといえます。

「お金の時間価値」

お金には「時間価値」という性質があって、これは時間が経つにつれて、お金の価値が変わることを意味します。

たとえば、日常的に買い物をする日用品やサービスの値段(物価)が上がることをインフレといいますが、このインフレによって物価が上がると、同じ金額でも買えるものの量が減ります。

つまり、今日は100万円で高価な家電を数台買えるかもしれませんが、数年後には買えなくなる可能性があるわけですから、お金の価値は時間が経過するにつれて価値が変動することを説明してくれています。

「現在価値」の計算の意味

この「現在価値」の計算は、将来もらえるお金を今の価値に「換算」するといった方法なのですが、将来のお金が今より価値が低くなることを考慮して、実際にはどれくらいの価値があるのかを見積もるために行います。

今の100万円と5年後の100万円は同じ価値ではないってことです。500年前の貨幣と今の1万円が同じ価値なのかというと、違うことは想像に難くないと思いますが、それを計算する計算式があり、その計算式によって導き出される価値が「現在価値」なのだと理解してください。

実生活の例で関連付ける

じゃー、実際に生活の中に落とし込んで考えてみます。

たとえば、あなたは5年後に500万円もらう権利を持っているとしましょう。ウキウキしますね。

でも、もし今すぐその権利を他の誰かに売るとしたら500万円より少ない金額でしか売れないかもしれませんよね。

だって、その権利を買うかどうかを迷っている人は「5年待つ」という時間のコストを考える必要があります。

直接500万円がもらえるのであれば500万円の価値がそのまま移譲されるだけですが、5年後に500万円をもらえる権利なわけで、その価値を「いくらで売れるか」を数学的に見積もる方法が、現在価値の考え方です。

大谷選手の契約がなぜ「安い」と言えるのか

この現在価値の考え方を用いて大谷選手とドジャーズとの間で行われた契約を見てみます。

契約の総額は7億ドルで、初年度に200万ドルを受け取り、残りの698億ドルは2034年から2043年の10年間に無利子で支払われるという条件です。

これを現在のドル円レートで換算すると、契約の総額は約1,015億とか1020億とか、その前後だといわれています。これはドルと円の換算をするタイミングによって金額が変動することを意味していますので、今回はこれを書いている時点のレートである1ドル=142.12円で計算することとします。

次に、現在価値の計算に移ります。

ちなみに計算式は、PV=(1+r)n/CFとなり、PV は現在価値、CF は将来のキャッシュフロー、rは割引率、n は年数です。​

大谷翔平選手の契約の現在価値を、だいたいこういった計算で平均的な数値として利用されるっぽい年間3%の割引率で計算します。

すると、上記のレートで計算した総額は約632.49億円。これは契約総額が約994.84億円であることを考えると、実際にドジャースが支払う金額は契約の額面よりもかなり低くなっています。

大谷選手の契約がドジャースにとって「安い」と言えるかどうかの一つの視点が得られます。無利子で遅延支払いされる契約金の大部分は、時間の経過と共に実質的な価値が減少するため、ドジャースは実質的には契約の額面よりも少ない金額を支払うことを意味します。

だから、ドジャーズは本当に1000億を使って大谷選手を獲得したのではなく、実際のところは700億円も使わずに獲得できていることになるため、3割以上も安く契約を結べていることになるわけです。

おわりに

とはいえ、スポーツ契約の価値は、単に金額のみならず、選手がチームにもたらすパフォーマンス、チームの勝利への貢献、チケット売上やマーチャンダイジングへの影響など、いろいろな面から評価されることが一般的ですし、この計算も専門家でもなんでもないぼくが趣味の範囲で計算したものですからいい加減なものだと仮定してください。

あくまでも凡その考え方として、そういうものなんだってことを理解してもらおうと思って書いただけですから。

でも、面白くないですか。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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