どうすりゃいいんだ…

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ネタバレで人は殺せるか

夕刻。渾身のキムチパスタの味を調えていると、我が長兄・ラオウが久しぶりに実家に帰ってきました。 私「この前送った小説、どうだった?」 数週間前にしたためた3000字程度の小説を読んでもらおうと、ラオウにメールで送っておいたのです。 ラ「あの物語、気持ち悪かったな。××が○○じゃないのはわかったけど、結局××はなんだったんだ……?」 私「うふふ、それはね……」 期待通りの感想です。文中に散らかしておいたヒントを小出しにして長兄・ラオウのリアクションを楽しんでいると、隣に

    • あれね、ニラだよ ~3日間の孤独編~

      母「なんだっけ、あの餃子に入れるあの野菜。おばあちゃん嫌いなんだよねあれ」 私「あの野菜ね。イメージは湧いてるよ。でも名前が……。カイワレダイコンだっけ?」 母「それは違うわね。なんだっけね……」 私「キャベツでもないし。なんかネギっぽい感じだったよね。えーと」 水曜日、リビングで母とソファでおしゃべりをしていた私。なんとなくスマホでLINEを開くとどこぞのグループラインで何件かのやり取りがある(グループラインは通知をオフにしてしまう派)のに気づきます。 A「すみません、

      • 今日は都立高校の合格発表らしい

        犬の散歩をしていたら、外はとても暖かく、春らしい空色が広がっていました。この感じ、17年前に経験した都立高校の受験を思い出します……。 2005年3月1日。制服を着て電車に乗り、一人で合格発表を見に行きました。校内に入るとぽつぽつと帰宅していく中学生たちとすれ違います。みんな分厚い紙封筒を抱えていますが、その表情からは合格しているのか、不合格なのかよくわかりません。普通に朝学校にいくような感じの表情です。 不合格だったらそそくさと逃げるように学校を出て行こうと考えていると

        • 恐れていたことが起きた

          今日の夜、人生でボチボチ恐れていた事態に苛まれてしまったのです。 なんか炭酸が飲みたいな と思い、近所の自販機に出て三ツ矢サイダーを購入すると ピピピピピピピ、ピー とテンション高めな電子音が鳴ったのです。 まさか……、 と思い、ディスプレイを見ると 6666 当たりが出ていたのです。 自動販売機でジュースを買うとき、欲しいのは飲料1本です。 そんななかで「もう1本もらえよ」と促されるのは、とてもうれしいことですが、何を選べばいいのか迷ってしまいます。 選べるのは並サ

        ネタバレで人は殺せるか

          蛞蝓の糞

          今風呂から出た。 風呂に浸かって天井を見上げると、利き手の逆で短直線を書こうとしたような、いびつな線がいくつか貼り付いている。7月の数日間、浴室をさまよっていたナメクジのウンコだ。 ナメクジは雨の日に窓の隙間から浴室に入り込んできた。タイルから天井までうねうねと動き回っていた。タイルをうろついているときは、シャワーやシャンプー液を誰かにうっかりかけられて死ぬかもしれない。でも天井には危険がない。あいつが天井にいるとき、私は風呂に浸かって静かにその姿を見つめていた。12月に

          おじさんVSライター さて種目は…

          最近知り合ったおじさんに 「へぇー、きみライターなのか。じゃあなんか書いてくれよ。そうだな…、じゃあテーマは『大切だった人』で頼むわ」 と言われた。 職業詐称すればよかったなと思った。次に会う当日、家を出る30分くらい前にささっと書いた。だいたい1000字くらい。 おじさんに紙ペラを渡すと30秒ほど読んで眉間に皺を寄せ 「何も伝わってこん……。君のことも大事だった人のことも。厳しいテーマだっていうならもういいわ」 と言われた。 「じゃあもう一回書いてきていいすか

          おじさんVSライター さて種目は…

          ゲーム買ったあとの家路が怖い

          先月、発売日当日にポケモンを買ってしまった。 家電量販店に陳列されたパッケージを手に取り、レジ打ちしているパートのおばさんと相対する瞬間は、どこを見てどんな顔をしていいのかわからなくなる。 (うわっ、この男の人、いい年してゲームなんてやるのね……) と思われていたらどうしようとか考えると逃げ出したくなる。 帰り道はいつも以上に慎重に自転車を漕ぐ。 もし交通事故に遭ってそのまま死んでしまったら母親は 「ポケモンやりたかったのね……。天国でやってね……」 って思って

          ゲーム買ったあとの家路が怖い

          おばあちゃんのともだち

          おばあちゃんの友達の大親友が細木数子であると母が言っていた。 小さい頃、そのおばあちゃんの友達(細木数子の大親友)に私も占ってもらったことがあるらしいんだけども 「30歳になったら人生で大きな転機を迎える」 と言われたらしい。 今年の4月に私は30歳になった。 付き合っている人と 「結婚できたらいいな」「支えられるように自分もしっかりしなきゃな」 とほんのりと思っていた。 自分の誕生日の12日後に誕生日を迎えたかつての愛犬の仏壇にも手を合わせ 「実はずっと言

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