あれね、ニラだよ ～３日間の孤独編～

母「なんだっけ、あの餃子に入れるあの野菜。おばあちゃん嫌いなんだよねあれ」
私「あの野菜ね。イメージは湧いてるよ。でも名前が……。カイワレダイコンだっけ？」
母「それは違うわね。なんだっけね……」
私「キャベツでもないし。なんかネギっぽい感じだったよね。えーと」

水曜日、リビングで母とソファでおしゃべりをしていた私。なんとなくスマホでLINEを開くとどこぞのグループラインで何件かのやり取りがある（グループラインは通知をオフにしてしまう派）のに気づきます。

A「すみません、今日のどが痛くて検査したところ、コロナ陽性でした。本当にすみません。」
B「いいですよー」
C「お大事に！」
…
私「了解ですー」

LINEの返信を終え、マスクを装着して母と距離を取りました。

母「どこかに出かけるの？」
私「自分の部屋に籠もるんだよ……」

先週の金曜日、会食で隣に座った友人がコロナ陽性になってしまったようです。濃厚接触者の定義はよくわかりませんが、この上ないレベルでの濃厚接触であることは間違いありません。

保健所に電話を掛けると、濃厚接触かどうかの判断は各自ですること、隔離期間は基本的には最後にあった日を０日目として７日間であること、という話を聞きました。実家暮らしの私は自室で金曜日まで引きこもる必要があります。

母は「あんたがアウトなら私はもうアウトなんだからそんなに気を使わなくてもいいわよ」とは言ってくれました。しかし、コロナかもしれない私がリビングでふんぞり返っていてはそれはもう家庭内暴力でしょう。あまりにも唐突なタイミングでほぼほぼ３日間の隔離生活が始まりました。

パソコン、スマホ、switch、各々の充電器を持って部屋に行きます。仕事する→YouTube見る→仕事する→ゲームする→仕事するというようなサイクルでとても仕事がはかどります。

食事は買ってきてもらったコンビニ弁当を自室に持っていき、一人で食い、食べ終わったら袋に厳重に包みます。コンビニ弁当は味付けが濃くて好みなのでこういう生活も悪くありません。

お風呂は最後に入ります。出たら窓を開けて換気。髪の毛を乾かすときはマスクをして洗面所も窓を開けて換気。乾かし終わったら窓を全部閉めて自室に移動です。リビングの隙間から愛すべきラブラドールがプリプリと尻尾を振りながらこっちを見ていましたが、黙って自室に向かいます（いつもは一緒にソファで寝ているんです……）。

朝目覚めると自室の天井が見えます。ここ１０年近くリビングで寝ていたので、違和感のある光景です（普段は朝起きると朝ドラをかじりつくように見ている母の背中が見えていました）。

朝ごはんはコンビニのサンドイッチとアクエリアスです。おいしいけどもつまらない朝です。

なにもやる気が起きずダラダラと寝転がっていますが、世間も休日です。

廊下に耳を澄ますと次兄が優しい声でネコさんたちに話しかけているのが聞こえたり、ネコさんたちが廊下を駆けずり回る音、リビングからは時々両親の笑い声が聞こえます。

ネコさんたちはどんな表情をしているのでしょうか
両親はどんな話題でそんなに笑っているのでしょうか

ネコさんたちをモフモフしたい
両親を笑わせるようなエピソードトークをしたい

そんなムラムラとした欲求が湧き上がってきます。

今日はラーメン屋で腹いっぱいラーメン食いたいというあまりにも危険な発想も芽生えましたが、暑さのおかげで思い留まることができました。

あと数時間で土曜日になります。
今のところは特にコロナの症状もなく元気です。

やりたいことができないまま一人になるといろんな不安が頭をよぎって気持ちが沈んできます。ほぼほぼ３日間だったけどなんとか耐え抜くことができたかなという感じです。

日付が変わったらリビングのソファで犬たちと寝ます。
そして朝起きて母に「おはよう」と言います。火曜日の話の続きもしたいと思います。

おしまい