世界遺産・屋久島からの帰り道に、忘れられない小旅行をした。
昔はよくロケに同行していました。
北は北海道から、南は沖縄まで。海を越えて外国にも行きました。時には思いもよらないトラブルに巻き込まれることも……。
思い出されるのは、今から15年前のこと。
僕はある番組のロケで、屋久島を訪ねたんです。
屋久島とは1993年に世界遺産となった場所で、島の90%が神秘的な森に覆われています。とにかく水が豊富な島で、そこら中に水が湧き、流れているんです。しかも、飲める。冷たくて、あま~い!
ロケは標高1030m地点にある「ウイルソン株」という屋久杉の切り株まで登るというものでした。
ラストシーンを撮影し、ロケは無事終了。そして、ここからが大変でした。
とんでもない土砂降り。
寝不足による睡魔、慣れない登山による疲労と足の痛み、さらには夏なのに凍えるほどの寒さ、嵐は強くなるばかり……。下山は困難を極めました。
しかし、本当のトラブルはこのあとに待っていたんです。
空港に移動し、チェックインを済ませようとしたら……。
「……?」
受付の様子がおかしいではありませんか。どうも、予約のリストに僕だけ名前がないとか、なんとか。
ちょっと待ってください。こんなヘトヘトになるまで頑張った僕に、そんな仕打ちをするわけがありませんよ。一刻も早く帰りたいんです。家族に会いたいんですよ。しかし、やはり名前は見つかりません。
プロデューサーに確認の電話をしてみると……、
「え~、ごめ~ん、予約してなかったわ~」
あっさり認めた! うそ……、僕だけ島に置き去り?
僕はスタッフたちを見送り、船で鹿児島へと渡ることに。港からはタクシーに乗って、空港へと向かいました。
その道中で体験したことは、今でも忘れられません。
タクシーの運転手さんが、とても気さくなおっちゃんだったんですよ。で、僕にとって今回が初めての鹿児島だと話したら「せっかくだから」と、ガイドを買って出てくれたんです。
鶴丸城の傍を通り、
桜島を車内から拝んで、
薩摩切子の工場で一旦降車し、見学。
おかげで、僕は妻にストラップのお土産を買うことができました。さらに……、
西郷隆盛の特大銅像は遠くからでも圧巻、
霧島温泉郷からは立ち上る湯けむりが見えました。
そして、いよいよ空港……、と思いきや。
「飛行機まで時間ある? 空港の先におもしろい場所があるんだよ」
と言って、車を走らせていったんです。連れていかれた先は、こちら。
嘉例川駅。
なんと、無人駅なのに特急が停まるという珍しい場所で、全国から撮り鉄が訪れるといいます。
結局、その特急は時間が合わなくて見れなかったんですが笑
まあ、でもおっちゃんの心遣いがうれしくてねー。これだけ寄り道して、途中でお土産も買わせてくれたのに、料金は驚くほど安くしてくれて。
まさに、心にも財布にも優しい小旅行。僕にとってはある意味、世界遺産・屋久島の風景よりも忘れられない思い出です。
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