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428 教員採用試験前倒し大失敗

はじめに

全国に先駆けて鳥取県が教員採用試験の前倒しを行ったというお話は、以前もコラムや動画で少しお話ししましたがやはり、教員不足の解消にはなかなかつながりませんでした。
今日の教育コラムでは改めて、鳥取県で生じている現象について少しお話してみたいと思います。

半数以上が辞退する現状

実際に起きている現象として、教員採用試験の前通しが起きています。そこで、採用試験の倍率は例年以上になっています。
しかし、辞退者がこれまた多いのです。事実として鳥取県が去年実施した教員採用試験で、合格した人の半数以上が採用を辞退していたことが分かってきました。
鳥取県教育委員会の発表では、2023年度の公立の小中高校・特別支援学校の教員採用試験において、採用予定数の270人に対して、1400人近い人が試験を受けました。合格者を約330人予定していたわけですが、実際に採用できた人数は、補欠合格者を含めて約160人程度という結果でした。
人材確保に失敗したと言っても過言ではありません。このように必要な人材を確保できない事態はここ3年間続いていますので慢性的な人手不足というわけです。

深刻な状態

小学校の採用枠が一番大きく、約150人の募集に対して600人近くの受験者が居ました。筆記試験の一次試験を通過したのは約400人でしたが、二次試験の面接に臨んだのは、合格者のうち250人程度でした。
また、二次試験を通過した200人の内、採用まで残ったのは約70人程度ということです。実際に採用できた人数は、補欠合格者を含めて約160人程度ということから見ても、正規の合格者は70人ですから半数以上がいうなれば、合格県外の教員ということになります。
この人材の合格水準が低くなるという現象が、採用倍率の低くなった分野における危険な事態なのです。

なりたい職業ではなく、滑り止めの職業への危惧

辞退者の多くは、県外の受験者という話だが、高知県などでも同様に前倒しをしても辞退者が多く、予定人数の確保ができていない。つまり、受験日を前倒しにして、優秀な人材を確保しようとしてもそうした人材は、他の職種や他県の就職先の試験を受け、教員採用試験に合格したにもかかわらず、後に合格した企業などに就職を決めてしまいます。
教員という仕事の魅力を失わせないためにも、働く意義や良い授業づくりのためにかけた時間や労力、そして、生徒や保護者との関りといった形として評価しにくい部分へのまっとうな評価の在り方が求められているように思います。
効率化、年功序列の問題、生徒や保護者の対応の複雑化、情報化社会への対応や社会が求めるものの変化など、教育の現場を様々なプロフェッショナルが関わることで支えなければ、次第に教育の空洞化はさらに加速し、今以上に公立と私立の教育格差の問題や都市部と地方の教育の質の差につながっていくように思います。
会社や企業が行っているような、職場の魅力や現場の楽しさなどをもっと大学で教育実習を行う際などに感じられるような、教育学部における確かな教員養成が必要なのかもしれません。期待感のある、教育の可能性を感じられるような学校現場を取り戻すことは決して容易ではなありませんが、近々の重大課題であることは間違いありません。

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