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NPO職員の出張授業-大学生が主体的に社会参画するきっかけを作るための授業づくり-

こんにちは!ダイバーシティ工房のはるぴんこと、池田です。
先日、女子大学での講義に参加をしてきました。私自身、学生のころからつながりがあり、お世話になっている先生の担当するボランティア概論に関する授業です。
ありがたいことに今年で6年目!

毎年、事前準備では講義のシラバスを読んで、講義の意図やねらいを確認して、どんな内容を話すか検討して、資料を作り・・・と私なりに、毎年悩みながら取り組んでいます。

今年の取り組みの当日までの流れと、私が意識したことをまとめてみました。
単発で事業紹介をするときなどの、プレゼン方法のヒントになればいいなと思います。

1 前提条件

大学の授業に限らず、外部でお話をさせていただく時には前提条件があります。
大学の授業は時間が決まっていますが、具体的な内容は担当の先生との相談で、自由に取り組ませていただくことも多いです。
そんな中での今回の条件はこちら。

・「ボランティア研究概論」の授業であること
・受講できるのは全学年、1〜4年生の参加者がいること
・1時間程度で話をして、その後質疑応答のスタイルで進めること
・zoomで授業をすること

私はNPOの職員として働いていますが、今回の授業はボランティアや主体的な社会参画の在り方などを扱っている授業です。
参加する学生さんも、ボランティアについての学びを得るために授業を受けているので、その前提をもとに、私たちNPOの活動についてのお話をする必要があります。

2 資料作成で注意すること3箇条

今回の授業に向けて資料作成で私が注意したことが、3つあります。

①「ボランティア」についての授業であるという基本から大きく外れないようにすること
②NPOの仕組みに加え、具体的な活動や社会背景について詳しく話すこと
③zoomを通して話を聞く学生さんに伝わるようにスライドを多めに用意すること

昨年度に続きオンラインでの授業のため、先生たちも制約がある中で工夫を重ねながら授業をされています。
その中で貴重な1時間の授業を担当させていただくので、より多くの学生さんにとってわかりやすく理解できて楽しく授業が聞ける内容にするには・・・と考えて資料を作っていきました。

3 しかし・・・資料の作り直しだ!

そしていざ、作成したものをもとに、練習に取り組んでみると、なんとなく違う・・・話をしてみるけど、なんだかおもしろくない。
話をしていることは情報や経験をもとにして、難しくないはずなのに、おもしろくない。ただの説明になっている気がする・・・。
そのときに作っていた資料の流れは以下の通りです。

【変更前】
・自己紹介
・法人の事業・活動についての説明
・社会全体の背景や事業とのつながり
・気になったときに活動に参画する方法
・質疑応答

ここから具体的に修正したのは3点です。
・「ボランティア」のイメージと「私たちNPOの活動」を線で結ぶことのできる流れを作ること
・そもそものボランティアの定義や立ち位置について改めて考える機会にすること
・そのために、最初に問題提起をしてから具体的な内容に入っていくこと

私は、もともと言葉へのこだわりが強く、気になる言葉は辞書を使って意味を調べて、改めて言葉の意味を考え直すことが多くあります。
今回も改めて「ボランティア」に関する言葉を辞書で調べてみました。その書かれた定義に私自身の違和感が生まれました。その気づきをストーリーで共有し、改めて「ボランティアってどういうものなんだっけ?」を一緒に考えてみる立ち位置からスタートできるような流れにしました。

【変更後】
・自己紹介
・「ボランティア」の意味についての問いかけ
・法人の事業・活動についての説明
・社会全体の背景や事業とのつながり
・私なりに考えた「ボランティア」の定義
・気になったときに活動に参画する方法
・質疑応答

4 作り直して気づくこと

資料を作り直しながら、言葉の共通認識を揃えずに取り組みを始めてしまったり、一方的なコミュニケーションになってしまったりすることは、個人の会話でも、組織の会議でも、多くあるのではないか・・・と気づきました。
今回の「ボランティア」で言えば、前提として、「どんな活動でも報酬をもらうものではない」という前提の人と、「ボランティア活動は報酬をもらうに値する」と思っている人では、どんなに話をしても受け取り方や話の聞き方に違いが出てきます。
この認識をできるだけフラットにするために、
①そもそもの「定義」についてそれぞれの人が考えることのできるような時間にすること
②話す人が思う「定義」を共有して、生活の中で「ボランティア」や社会参画について考えるきっかけを持ち帰ってもらうこと

この2つを組み込んだ形の内容に変更しました。

5 当日の授業と感想と見えてきたこと

当日の講義は、1年生から受講できる教養科目なこともあり、50名ほどの生徒さんが参加しました。
チャット機能をうまく使うことで、人数を予想する質問への回答も素早く意見が返ってきたり、直接質問を書き込んでくれたりと、実際に教室で行う講義とは違ったおもしろさも経験することができました。

担当の先生が、グループワークとしての意見交換の時間も交えてくれていたので、学生さん同士でも話をしたり、振り返ったりする時間を持って90分の授業が終了となりました。

「本日のお話をお聞きして、どの活動も利用する本人の意思をきちんと尊重しているということを強く感じました。そして、利用する方々に寄り添い、安心して利用することができる環境だと思いました。」
「コロナになってしまい活動が減ってしまったのではなく、コロナに対応したSNSを利用した活動などもあり、ダイバーシティ工房は無限に寄り添ってくれる場所なのだなと感じました。」
「NPOなどはボランティアのようなものと考えていたので,働くというのが新鮮でした。こういった団体に興味があり,様子を聞いてみて,すごくやりがいのある仕事だと感じました。」
「活動の参加は相手のためだけのものか」という言葉を聞いて、確かに活動を受ける相手が人との関わりやコミュニティを広げていくことは、活動をする側も同様で、自分にとっても意義あるものになると思いました。」

学生さんからとても嬉しいコメントをたくさんいただけて一安心です。
ボランティア活動はその場にいる人が対等な関係性であってこそ成り立つもので、ボランティアをするというのは、よりよい社会作りに主体的に参画することであるという私なりの視点も、新しく知ってもらえていたらいいなと感じました。

それと同時に、こうして外に出ていって実際に活動する人の様子や顔を知ることで、「自分にもできるかも」「会社ではない組織の働き方も楽しそうだな」と興味を持ってもらえるように、引き続き内外ともに活動の発信も頑張っていきたいです。
また、活動内容だけでなく社会の現状や仕組みについて、より正しく理解してもらえるように、さまざまな方とともに一緒に考える機会を作っていけるよう、引き続き活動していきます!

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからも、活動を継続してまいりますので、応援したいと思ったら、ぜひ「スキ」のボタンをポチッと押していただけると、励みになります! サポートをいただけることも、とっても嬉しいです。