見出し画像

思考のクセに気づく アテンションとフィルター『才能をひらく編集工学』【無料公開#21】

8月28日発売の『才能をひらく編集工学』より、本文の一部を無料公開します。「編集工学」とはなにか、「編集工学」におけるものの見方・考え方を知ることができる第1章「編集工学とは?」と第2章「世界と自分を結びなおすアプローチ」、第3章「才能をひらく「編集思考」10のメソッド」より一部公開予定です。今回は第3章メソッド01「思考のクセに気づく アテンションとフィルター」より一部を公開いたします。演習形式ですので、ぜひ取り組んでみてください。解説は明日公開予定です。

メソッド01 アテンションとフィルター

わたしたちが何かを考えたり感じたりしている時は、「注意(アテンション)」が先に動いています。

何かに注意を向けないことには、思考も感情も何も始まらない。

いまいる場所には、赤いものがありますか?

ぐるりと見渡してみてください。

ついさっきまで風景に溶け込んでいたものが急に浮かび上がって見えませんか?

「赤」に意識を向けたとたんに、赤いものが目に飛び込んでくるはずです。

日常の中でも、たとえば引っ越しを考え始めるとやたらと不動産屋が目についたり、結婚式に呼ばれるとフォーマルな洋服ばかりが目に留まるようなことがありますね。

ある特定のものを意識すると関連情報が自然と目に留まりやすくなるこうした現象を、「カラーバス効果」と言います。

わたしたちの注意が、日常の中でいかに無意識によって選択されているか、ということを示す現象です。

わたしたちの頭の中は、考えることによって「注意」をしているのではなく、「注意」が先導することで意識や認知や思考が引き出されていきます。

編集工学ではこの注意の矛先を「注意のカーソル」と呼び、すべての編集に先んじるものとして重視しています。

では、この「注意のカーソル」は、どのように大量な情報に分け入っていくのでしょうか。

好みや見方などの「フィルター」を通して、わたしたちは情報の取捨選択をしています。

画像1

ここでは、「注意のカーソル」と「フィルター」を自覚的に動かし、情報を収集する感覚を掴んでみましょう。


演習1 アテンションとフィルター 好きなもの・いらないもの

あなたの部屋にある「好きなもの」「いらないもの」を、それぞれ思いつく限りあげてください。記憶の中の「あなたの部屋」をたどります。いまその部屋の中にいるのであれば、まわりは見まわさずに思い出しましょう。(制限時間:5分)

Hint
・部屋に置いてあるものかもしれないし、窓や壁や間取りといった部屋そのものの特徴でもいいです。気配や匂いや残像など、目に見えないものにもアテンションを向けてみましょう。
・「好きなものフィルター」、「いらないものフィルター」をかけ替えながら、なるべくたくさん書き出しましょう。


著者プロフィール

安藤昭子(あんどうあきこ)

編集工学研究所・専務取締役。出版社で書籍編集や事業開発に従事した後、「イシス編集学校」にて松岡正剛に師事、「編集」の意味を大幅に捉え直す。これがきっかけとなり、2010年に編集工学研究所に入社。企業の人材開発や理念・ヴィジョン設計、教育プログラム開発や大学図書館改編など、多領域にわたる課題解決や価値創造の方法を「編集工学」を用いて開発・支援している。2020年には「編集工学」に基づく読書メソッド「探究型読書」を開発し、共創型組織開発支援プログラム「Quest Link」のコアメソッドとして企業や学校に展開中。次世代リーダー育成塾「Hyper-Editing Platform[AIDA]」プロデューサー。共著に『探究型読書』(クロスメディア・パブリッシング、2020)など。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?