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ストレスを消せ⑨(結婚)

「こんなのもストレスになるんですよ」の事例として、「結婚」や「出産」がよく挙げられる。

「結婚がストレスとは何てことだ!」と、私も最初に聞いた時に思ったが、以前話したように、ストレスとは「刺激」のことなので、こうした人生の華やかな節目も「ストレス」にカウントされる。

結婚は「生活」である。

今日は結婚とストレスを考えたい。離婚も刺激的だが、結婚もそうだ。「結婚」というと一時的な刺激に思えるが「結婚生活」を考えてみよう。「生活」は瞬間ではない。ながーく続く日々の連続だ。

そして結婚生活ほど、人間にとってストレスなことはない。もちろん、好きな人と一緒に暮らせる幸せ、子供など含め家族として暮らす幸せ、色々と幸せなことはある、だろう。しかし・・・

悲劇のはじまり

生活習慣の違う他人同士が一つ屋根の下で一緒に暮らすのだ。同棲のようなゆるいものではない。結婚という「法的拘束力のある契約」を元に暮らすのだ。

20年〜30年以上、異なる生活環境や習慣・文化の下で別々に暮らしてた赤の他人同士。「おはよう」から「おやすみ」まで、一切の習慣が違う夫婦もいるだろう。そんなふたりが一緒に結婚生活することは、ある意味「悲劇」と言ってもいい。

家が広くて部屋がいっぱいあり、各々の空間や領域、それこそ「ディスタンス」を思いっきり保てる場合は別だが、たいていはそうでない。ちなみに私も結婚してから何年もアパート暮らしで、ディスタンスは取れなかった。今の家は部屋が3つあるので、かろうじて別々の空間は確保できるが至近距離だ。

パナシスト

私は、脱いだものは脱ぎっぱなし、出したものは出しっぱなし、使ったものは使いっぱなしの「パナシスト」だ(威張ってはいない)。血液型はB型。そのせいではないと思うが、とにかく片付け・整理整頓が大の苦手。

家内はA型の典型。劇的にキッチリしている。洗濯物など、店に並んでいるかの如くたたむ。片付けも、どうやったらこんなにキレイになるのか、と驚愕するほど上手い。片付けが受験科目にあれば、東大に余裕で行ける。「整った暮らし」が何より好きな彼女。

もうお分かりだろう。家内のストレスたるや、想像してみて欲しい。整えても整えても、家の中が毎日荒れ果てるのだ。こうやって書くと、いかに恐ろしい現象かがわかる。

結婚当初からブチ切れて、そして、今も日々ブチ切れている。私にそっくり、いやそれ以上の才能を持つ息子も加わり、ブチ切れ度も2倍・3倍になっている。ヤツのパナシストぶりも相当凄い。私も「いい加減にしろ」と怒るぐらいだ。

かれこれ20数年、そしてこの10数年は倍増したストレスに、彼女は晒されているのだ。

ブチギレ=発散

そして今回、ストレスの勉強をしてわかったことがある。ブチ切れは「発散」につながっていたのだ、おそらく・・・

正直、家内のブチ切れ方もすごいので「なんで、もっと優しく言えないのかな」などと、散らかしている自分を棚に上げて思っていたが、我慢されたり、穏やかに言われたりしてたら、彼女はストレスで病気になっていただろう。

全力でブチギレて「発散」してくれてよかった。今はそう思っている。(怒られるのは嫌だが・・・)

以前引越した時に、新居の狭い収納空間を指差し「ここだけは、見なかったことにするから好きにして」と、私のための空間を用意してくれた。どれだけ汚しても文句を言わないと言う。今もその言葉通り、そのエリアだけはどんなことになってても何も言わない。ただ、彼女はその納戸を「ザ・ヘル(The hell)=地獄」と名付け、私宛に来た郵便物は「ヘルに突っ込んでおいた」などと言って活用している。

生活の不一致

これはあくまで一例で、他にもいくつか「生活の不一致」があり、私がだらしないがゆえ、のコトが多いのだが、もちろん、私が彼女の行動に対して気に入らないこともある。ちょっとした小競り合いは今でも続いているが、一緒に暮らしている。

私も「どうして俺は片付けができないんだろう?」と反省はするものの、態度は改まらず。その代わりと言ってはなんだが、食事の支度や掃除・洗濯・弁当作りなど家事全般を割と積極的にやるようにしていた。結果的に、彼女のストレス軽減にはつながっていたと信じたい。ちょっと言い訳っぽいが。

家のことを何でもかんでもやらせた挙句、生理的にも大嫌いなパナシストたちと一緒に暮らしていたら、ブチ切れるどころじゃ済まなかっただろう。それこそ鬱病になるか、離婚するか、どっちかだっただろう。

しかし、「性格の不一致」は離婚の理由でよく聞くが、「生活の不一致」はあまり聞かない。

熟年離婚の決定打

ということは、夫婦どちらか、あるいは両方のストレスになっているということだ。私は、熟年離婚を切り出す妻の側が、この「生活の不一致」を理由にするケースが多いと考える。長年我慢したストレスを、これ以上溜め続けるのは嫌だから。

そして、旦那さんが毎日朝から晩まで一緒にいる状態になったら、うつ病への恐怖心も芽生えることだろう。今まで作らなくてよかった「昼メシ」も毎日作らねばならない。サイアクだ。だから、旦那さんの定年と同時に熟年離婚という手段を選ぶ。

これは、病気リスク回避の観点で言えば、とても重要な考え方であり、選択としてはアリだと思う。もちろん、突然一人ぽっちにさせられる旦那さんはたまらないと思うが、自分が奥さんのストレッサーだったことに気づく日が訪れただけのことだ。good luck !

性格習慣は変えられない

私も、ひとごとでなく、ヤバいとは思っている。しかし、長年染み付いた生活習慣は簡単には変えられない。性格習慣もあるので、大人になって30年近くたった今となっては変えようがない。仮に20代後半で思い立っても、オトナが性格を変えるのは至難の技だ。

夫婦は互いにストレッサー

と、いうことで、結婚生活とはストレスの塊である。夫婦それぞれが互いのストレッサーというのが基本。だから、発散/リラックス/休養のどれかで、回避に努めよう。

夫婦の場合「休養」はあまり適さないので、「別居」の方がいいかもしれない。「発散」には「買い物」も含まれる。罪滅ぼしに妻に好きなものを買ってあげる、という、アレだ。私も、その技には随分お世話になっている。また、「旅行」バージョンもアリだ。

もちろん、ストレスに対して最も効果のある「ストレッサーの除去」という原則はあるが、結婚生活でそれを適用したら「離婚」になる。なので、一定期間ストレッサーを遠ざける「別居」という方法でストレスを軽減し、その間に有効な対処方法を見つけるのも手だろう。

プチ別居

私は、こうしたときのために「プチ別居」を流行らせたいと思っている。コロナ禍で苦しんでいる旅館・ホテル業の方々に向けて提案したい。流行語大賞も密かに狙っている。

会社員の方は平日なら4泊5日。会社に通えるホテルや旅館で1人で過ごす。土日絡めるなら、会社や家から遠く離れた場所でプチ別居。金曜の夜発、月曜の朝戻りの3泊4日。衣服の送付も込みの価格で手ぶらでGo To プチ別居・キャンペーンだ。今ならテレワークも可能だから、さらに長期化したプランも可能だろう。東京在住の方は、箱根の温泉宿に滞在するなどだ。

プチ別居で家を離れるのは旦那さんの方を想起するだろうが、ルールがある。それは「日頃から家事をたくさんやっている人」が優先権を持つ「家事たく優先」。必ずしも奥さんとは言ってない。多くがそうなるだろうが、これによって平等性は担保されると思う。

家事をやってないほうが、家事の大変さを実感しながら不仲の原因を噛みしめる。そして、その後どうするかをお互いが冷静に話し合える場ができることを願っての「プチ別居キャンペーン」だ。

離れてみるとわかるありがたみ、もしくは恋しさは、きっとあるだろう。「やっぱりワタシは・・オレは・・・」とならないだろうか。ならないか・・・ww

逆に離れている間にそういう思いが芽生えなければ、お互い次のステージに進んだほうがハッピーかもしれない。もちろん育てている子供がいる場合は、そう簡単にはいかないが。

ストレッサーを遠ざけるプチ別居。夫婦のストレス対策として、一ついかが?

同棲で確認

私はかつて後輩の男女、特に女性に対しては「結婚前に同棲するのはオススメである」とアドバイスしていた。まだ同棲がそれほど社会的に認められてない時代に「同棲についてどう思うか?」という質問に対してだ。

理由は「生活の不一致」を確認しておくため。

それが我慢ならないものだったら、いくら好きでも一度考えた方がいい。私らは、「同棲認められず世代」だからしてないが、もし1年ぐらい同棲してたら、どうなっていたか。愛想尽かされてた可能性は高い。

カタチは多様

何だか、結婚に対して夢も希望もない、暗いはなしになってしまったかもしれないが、私は結婚してよかったと思っている。相手がどう思っているか聞いたことがないし、20数年も経つので今さら怖くて聞けないが、今のところは大丈夫と信じたい。

結婚にはそれぞれのカタチがあり、幸せと思うポイントはそれぞれ異なる。また、ストレスがあっても、それを十分上回る充足感や幸福感を得ている人たちも多い。

これから結婚する方もいるだろうし、結婚という形式にこだわらず一緒に暮らす人たちもいる。独りを好む人もいる。2回、3回と結婚する人もいれば、2回、3回と離婚する人もいる。いろんなカタチがあっていい。多様性の時代になって、本当によかったと思う。「何が自分にとって良いか」は、100人いたら100通りある。それを選べる時代に、益々なってほしい。

こと、ストレスのことを考えれば、結婚には相当慎重になるべきだと思う。しかし、そんなことそっちのけで愛と情熱と「勢い」で結婚するのもいいだろう。ストレスは、適切に対処すれば何とかなるし、今はリセットボタンも割と簡単に押せる時代だから。

結婚うつ

今回はストレスのはなしをするのに、分かりやすく、共感も得やすい題材だと思ったので結婚生活を取り上げた。

伝えたいことは「ストレッサーを認識」して「対策をすることが重要」ということ。「ストレスに無策はダメですよ」と。

「産後うつ」は、だいぶポピュラーになってきたが、「結婚うつ」はマリッジブルーが関の山で、その後続く生活にあまり言及されてないと思う。社会問題になってもおかしくないぐらいの、ストレス発生源だとは思うのだが。

その理由として「夫婦喧嘩」というものが頻繁に「発散」という対策になっていたのだろう、と思うに至った。犬も食わないが、近所迷惑にさえならなければ、どんどん派手にやって発散するといい。加えてお子さんがいる家庭では「親子ゲンカ」も発散に該当する。

我が家の場合、夫婦喧嘩は開始前から勝負アリで、95%以上は私が負ける。95%以上、私に非があるからだ。加えて、論理的思考力では、家内にまるで敵わない。勝算という意味では、ほぼゼロだ。なので、どうやって謝罪するか、ばかり考えている。いっとき、開始早々あやまるパターンを多用し、その姿勢を「不誠実」と怒られた時期もあった。

しかし、家内と息子のケンカは違う。ものすごい爆発力で互いを叩きのめし合う(もちろん言葉で)。ここでは表現できないが互いに全人格を否定し合う。「よくそこまで本質的な部分を否定する発言ができるな」と、家族としてはいたたまれなくなる反面、あくまで論理的に攻め合う二人には、ある意味感心する。

あるとき、家内に「なんでそこまでやりあうのか」と質問したら、帰ってきた答えが「自分のほうが正しいんだから、徹底的に叩きのめさないと気が済まない」だった。うーん、やはり恐ろしい。

しかしながら、家内と息子は「大ゲンカ」終了後、1時間もたたないうちに、ケロッと普通に会話が始まる。私にはちょっと理解し難い感覚だが、これは「対ストレス戦略」においては得策と言えそうだ。ストレスを大爆発させて解消する。そういうスキルだと思えば、まだ、あの酷い大ゲンカを理解できそうだ。

「発散」と「リラックス」そして「休養」(=別居)という基本対策があることに加え、結婚生活のストレス対策には「離婚」という最終兵器もある。昔に比べて発射ボタンを押すハードルは低くなっているようだ。今も年間20万組以上と、「3分に1組」が離婚するご時世。

なので「結婚うつ」が社会問題にならずに済んでいるのだろう。

おしあわせに。



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