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短編

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思いついたこと。見た夢の書き起こし。あるいは習作。
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#近未来SF小説

播磨君の世界にあるSF装置

播磨君の世界にあるSF装置

 挨拶の前に
あとがきから読む派の人に配慮し、以下では播磨くんの劇中に登場したSFアイテム紹介のみを行っています。
 これを読んでから本編に行って頂いても問題ないし、むしろウェルカム。

 やぁ。
 いつもお読み頂きありがとう。

 近未来建築診断士 播磨も3話を終えた。
この播磨くんのお話はとりあえず第5話までを想定して書いているので、物語全体の折り返しを過ぎた所だ。なので自分のためにも良い機会

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近未来建築診断士 播磨 -夏の日の技術-

近未来建築診断士 播磨 -夏の日の技術-

近未来建築診断士 播磨幕間
『夏の日の技術』



 エアコンが壊れた。

 春日居が脚立に登り、掃除機やらハンドモップやらで室内機を清掃したが効果なし。じわじわと沸いてくる汗をぬぐいながら、しかめっ面で呟いた。

「建築診断士の事務所でエアコン故障して汗かくなんて、問題でしょこれ」
「汗をかくことが悪いみたいな言い方は良くないな」

 エアコンにアクセスしてセルフチェックすると、ステータスが真

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箱庭の幽霊

箱庭の幽霊

 ■

 サナの細い体が仰け反って吹きとび、目の前に勢いよく転がり込んできた。照明のないこの狭い道では飛び散る血も見えなかったけど、確かにその濃い匂いを感じた。生の匂い。そして死の匂い。

 そのまま走り去り、すぐそばの曲がり角を曲がって逃げるべきだった。這いずってでもそうするべきだった。けどサナの血の匂いと、その体につまずいて転んだ時、私の体は全てを諦めてしまった。

 どぶの匂いと、薄汚い水た

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経過報告と宣伝

経過報告と宣伝

やぁ。

先週は大変なことが起こった。

 拙作、近未来建築診断士播磨の短編が多くの方にお読み頂き、自分の記事でははじめて1000vewを越えた。とてつもなく大きな快挙だ。嬉しさのあまりこんらんした。ていうか今もしている。

 逆噴射小説大賞から物書きをはじめ、『自分が書いてて楽しい世界』を書き続けた結果、それを様々な人に楽しんでもらえることは、本当に幸福なことだと思う。

 この場を借りて、いつ

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ザ・トイボックス・フォー

ザ・トイボックス・フォー



ハニー、ごめんね。我慢できなかったんだ。
たまには銃声と怒号とマーシャルアーツの世界に身を浸してみたかったんだ。

(パルプの波動に身悶える男の独白より)



逆噴射小説大賞応募作品より着想を得て



「アルティジャーナ、ゴー」

 イシリ・クラカがインカムに呟く。それは戦車型が国連軍のトーチカに砲撃を浴びせるのとまったく同時だった。

 それを合図に、ぼろぼろのバイクにまたがったレ

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近未来建築診断士 播磨 -幕間と作品紹介-

近未来建築診断士 播磨幕間と作品紹介
『ある日の診断風景』



「はい、調査終わりました」

 螺旋を描いて降りてきた球状ドローン3機が、地面で口を開けて待つスーツケースに着地する。続けて基礎換気口から、円筒形自走ロボットがコロコロと転がり出てとんぼ返りを一つ打ち、ケースに納まった。
 それを見て、依頼者の老婦人は小さく拍手して微笑んだ。

 ARグラスには彼らが撮影した3Dデータが、目の前に

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