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【インタビュー】クリエイターの新たな登竜門?大学2年生による初めての展示会=『初展(ういてん)』とは

デジタルハリウッド大学(DHU)では、『初展(ういてん)』という展示会を2020年度から開催しています。昨年度はオンラインで作品を展示するアーカイブサイトを公開しましたが、2年目となる今年(2021年度)は、2021年11月末からの約1ヶ月間、学内のラウンジにて展示を行いました。

『初展』とは、入学から約1年間の基礎学習の成果を発表する場として、主に2年生が参加するイベントです。授業内の課題を「提出して終わり」とするのではなく、教員や他の学生からのフィードバックを踏まえてブラッシュアップすることの重要性に気づいてもらうため、展示会という形式をとっています。

「初」という漢字は、衣へんと刀を組み合わたもの。これは布を刀(はさみ)で裁断する作業が衣服を作る手始めの動きを表しています。2年次になって「初めて」の展示会で、クリエイティブな世界を自らの手で切り拓く。本学が掲げている『未来生活を発明し文化を創造する大学』というポリシーを象徴するイベントです。

2021年度の初展には、下記の演習科目(PC等を用いた実技系科目)を履修したのべ100名の学生が参加。Webサイトやキャラクター、カレンダーなどを題材としたさまざまな形式の制作物を展示しました。

2021年度初展対象科目
・タイポグラフィ IV(藤巻 英司 教授)
・デザインベーシックⅣ(川瀬 豊 客員教授)
・キャラクターデザイン演習Ⅱ(竹内 一義 客員教授)
・Webデザイン演習Ⅰ(塩谷 正樹 准教授)
・Webデザイン演習Ⅰ(栗谷 幸助 准教授)
・VFX演習Ⅳ(小倉 以索 准教授)
・3DCG演習Ⅲ(古岩 祥幸 准教授)
・3DCG演習Ⅳ(小倉 以索 准教授)
・3DCG演習Ⅳ(古岩 祥幸 准教授)

初展 (5)

初展 (3)

初展 (1)

初展 (8)

初展 (6)

今回のnoteでは、デザインベーシックⅣの受講を終えた2年生の金城 有万那(きんじょうあまんだ)さん、髙山 友暉(たかやまゆうき)さんへインタビュー。作り手としての第一歩を踏み出した感想や、次のステップについて伺いました。

デザインに対する解像度が上がってきた

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▲金城 有万那さん(2年)

——DHUでは、1年次から2年次にかけて専門的な演習が増えていきますよね。さまざまな領域の授業が選択できる中でデザインベーシックⅣを選んだ理由を教えてください。

金城:私は将来的にデザインや3DCGの分野を中心に学びたいと思っていて、基礎を固める今の時期はどの道に進んでも活かせるような授業を選択しています。その中のひとつが、グラフィックデザインを学べるデザインベーシックでした。

髙山:DHUでは履修を決める際に、専門分野ごとの授業を録画した動画などを事前に見ることができます。その様子を見て、Web系やデザイン系が面白そうだなと思ったのがきっかけです。

デザインベーシックⅣ
ロゴ、ポストカード、書籍のデザインを通じて、illusutratorやphotoshop、InDesignの操作方法を身につける。頭で考えたイメージを、想定通りにアウトプットすることが目標。

——実際に受講してみていかがでしたか?

金城:デザインベーシックはⅠ〜Ⅳを通して受講していました(注:「Ⅰ」で3ヶ月、通年で「Ⅳ」まで履修)。最初に「鉛筆で30種類の木を描く」という課題があって、「これは一体何の役に立つんだろう?」と疑問に思いながら描いていました。でも描き終わった後に、枝の広がり方、幹の太さなど、要素を分解すると木は木でも無限に種類があると先生から教えていただいて、ようやく課題の意図を理解できました。

こうした課題をいくつか体験すると、世の中にあるものが細部まで見えるようになってきたんです。今までは「このデザインきれいだな」という感想で終わっていたのが、この余白があるからまとまっているんだ、制作した人はこんな考えがあったのかも、みたいに、デザインを見るときの解像度がだんだん上がってきた気がしています。

髙山:僕も最初は課題の内容に戸惑うこともありましたが、分解して細かく見ていくことで、表現の幅やレパートリーが増えている実感があります。

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▲髙山 友暉さん(2年生)

世に出して売れるくらいのクオリティを目指して

——デザインベーシックの授業を1年間通してさまざまな作品を制作したと思いますが、初展の展示作品として最後に作ったのが宮沢賢治の『注文の多い料理店』。本の装丁や発売広告のデザインをされたと伺いました。

注文の多い料理店
「髪をといて、履物の泥を落としてください」「壺の中のクリームを顔や手足に塗ってください」など、主人公たちへの注文が多い料理店。「からだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください」と書かれた注文を目にし、ここで初めて「客が料理を食べる店」ではなく、「客を料理にして食べる店」だと気づき彼らは震えあがる。山猫の人食いレストランが舞台の物語。

金城:ひとり1冊出版をして、デザイン、告知、そして実際に本屋で売ることを想定して制作を進めました。私は手にとってもらえるようにインパクトで勝負をしようと思い、強めの赤を使用したイラストをメインにしています。

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▲金城さんが制作した『注文の多い料理店』

金城:子供のころ、『注文の多い料理店』を読んだときに怖くてグロテスクな印象があったので、そのときに感じたゾワッとする感覚を絵で表現できたら良いなと思い、おどろおどろしい装丁にしています。

髙山:僕は昔から書道をやっていたので、文字=フォントをメインとしたデザインにしました。『注文の多い料理店』が発売されたのが大正時代だったので、当時の広告を調べてよく使われていたフォントを分析し、それをアレンジする形で仕上げています。

デザインベーシック本

デザインベーシック本_紹介

▲髙山さんが制作した『注文の多い料理店』

髙山:鎖国が終わった明治、そして大正と時代が移り変わるにつれて、欧米化が進んだ影響もあるのか、エレガントなフォントが流行していたようでした。そうした時代背景も加味して装丁をデザインしています。

——お二人の作品を比べると、同じ小説の装丁や広告なのにデザインがまったく異なりますね。担当の川瀬先生からは作品に対してどのようなお話がありましたか。

髙山:いただくアドバイスの一つひとつが、売りに出すのかなと思うくらい詳細で、学生だからこのくらいでいいよね、という妥協は一切なかったです。商品として世に出すって、きっとこういうことなんだろうなと思いながら、最後まで作品のブラッシュアップにサポートしていただきました。

金城:私も授業後まで付き合っていただいて、何度も何度も先生に聞いて余白のバランスや文字の位置など、たくさんアドバイスをしてもらいました。

初展を終えたふたりの次の一歩

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——最後に、この初展を通じて「ファーストステップ」になったこと、そして次にどんなステップを考えているかを教えてください。

金城:今まで創作活動をする際、自己完結やそこにも至らずに中途半端に終ってしまうことがありました。ですが今回、不特定多数の方へ向けて「これが私の作品です」と言えるものを完成させたことは、クリエイターになるためのファーストステップになったと思います。

初展を通じて、デザインや3DCGを学びたいという思いがより強くなりました。CGにデザインを活かしたり、デザインにCGを取り込んだり、自分なりにできることを続けていきたいです。

髙山:デザイナー志望者としては、自分のポートフォリオに載せられるくらいの作品ができたことがファーストステップです。この作品を手にデザイン会社へのアルバイトへ申し込むことができました。自分の進路に近づいたことを実感します。

高校生のころは、美術系の大学か、クリエイティブには関係のない大学に行こうか悩んでいました。美術系の大学だと、入学した瞬間から細かく分野が決まってしまうし、転学や転科は簡単にできない。一方で、勉強してきたのが理系の科目だから、その流れに沿って大学に行くのもちょっと違う。

高校3年生の5月くらいまで進路が定まらずにいた中、幅広い分野を学べるDHUを見つけて進学を決めました。入学して1年半が経って、実際に学びながら自分の方向性を決められることに、改めて良かったと感じます。

クリエイティブな分野に興味はあるけど、何をどうやって勉強すれば良いのかわからないと考えている人にはフィットする大学だと思います。

——ありがとうございました!

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デジタルハリウッド大学では、1〜2年次にかけて実践ベースで専門分野を学び、2〜3年次でさらに専門性を深めたり、さらに学びたい領域を拡大したりしていきます。

「作って終わり」ではなく、フィードバックを受ける。良い評価も厳しい評価も受け止めて、自分自身をブラッシュアップする。この繰り返しが、みなさんの目指す道に近付く第一歩になるでしょう。

こうしたDHU独自のカリキュラムについて「興味がわいた」「もっと詳しく聞きたい」という方は、ぜひオープンキャンパスや説明会にご参加ください!

▼デジタルハリウッド大学公式HP
https://www.dhw.ac.jp

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