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なぜXデザイン(理念の言葉)|学びの体験デザイン

2016年6月25日に浅野先生や賛同してくれるメンバーと、社会人のためのデザイン学校としての「Xデザイン学校β」という学校のプロトタイプを開始しました。講師は浅野先生と僕を中心に、日野隆史氏(ヤフー)、奥泉直子氏、坂田一倫氏(リクルートテクノロジーズ)、渡邊恵太氏(明治大学)、村越悟氏(グッドパッチ)、坂本貴史氏(ネットイヤーグループ)、大崎 優氏(コンセント)、上平 崇仁氏(専修大学)が協力してくれました。この出来事については、今後語っていきたいのですが、今回は「X デザイン」というネーミングの体験デザインについてお話をしたいと思います。

なぜ X デザインという名称に?


「Xデザイン」という言葉に込められた想いを書き出してみました。なぜ、Xデザイン学校のきっかけとなった「情報デザインフォーラム」という活動をやっていて、「X デザイン」という名称したのか、当時に浅野先生と対話したり、僕が考えていた三つのことを思い出してみました。

1)既存のxxx デザインは使いたくない
約10年間、「情報デザインフォーラム」をやったり「情報デザイン」の2冊の本を作りましたが、これからは「情報デザイン」だけの時代ではないという思いがありました。これからの社会に役立つデザインは、既存のプロダクトデザイン、情報デザイン、UXデザイン、デザイン思考、人間中心設計(HCD)、サービスデザイン、共創デザインなどの xxxxxデザインという言葉を使うと、ある定義やある限定した思考やアプローチになってしまう。言葉からデザインを狭くとらえてしまう。もっと自由でデザインの本来の可能性を追求したいという思いから 無限の可能性ある「X 」をつけた「Xデザイン」という言葉がよさそうです。

2)eXperience (エクスペリエンス)は大事だよね
Xデザイン学校で僕らがめざしていることは「未来の学校体験」です。そして、デザインの本来の可能性を追求したとしても、体験や経験という視点はとても大事です。浅野先生は「経験デザイン研究所」という会社もやっているし僕は「Smile Experience Design Studio」という名称でビジネスをやっています。そして Experience はなぜか Eをとばして、eXperience と書いたり、UXに代表されるように X と省略することが多いので、X デザインの意味に eXperience も含んでいるというのもよさそうです。

3)なんといっても「X JAPAN(エックスジャパン)」だよね
そして決定打としてはX Japan です。X Japanは当初 X というバンド名で活動していましたが、X という名称にした理由には、ジャンルに囚われないという、音楽性の意味や、何者にも囚われない自分たちの音楽という概念も表していて、無限の可能性を持ったバンドという意味だったそうです。そして1993年に全世界でのデビューする時に日本を強調する意味でX JAPANになったそうです。X デザイン学校では、学んだ人たちがヒーローとなって活躍して欲しいという想いがあり、ヒーローとしてX JAPANという想いも含んでいるのもよさそうです。

なぜX デザイン学校(X design academy)なのか

僕らが学校を作ろうと思った時に、意識したのはイタリアで有名なドムスアカデミー( Domus Academy)です。僕らがXデザイン学校をX Design Academyという名称にしていることにも少し表れています。

ドムスアカデミー( Domus Academy)は、イタリアの建築デザイン雑誌で有名な「ドムス(domus)」を出版しているドムス出版社の所有者であるMazzocchi家によって1982年に設立されたミラノにあるプライベートスクールです。当初は正式な学校ではなく私塾のような学校でしたが、2018年にはイギリスの教育グループに買収され、現在では、ファッション、工業デザイン、およびデザインマネージメントの大学院および専門コースを提供しています。

『domus』(ドムス)は、イタリアの建築雑誌。1928年に建築家であるジオ・ポンティ(Gio Ponti, 1891年 - 1979年)により創刊され(1929年には、ジャンニ・マゾッキ(イタリア語版)(Gianni Mazzocchi, 1906年-1984年)が設立した出版社ドムス (Editoriale Domus) から刊行されることとなった)、21世紀の現在まで刊行が続けられている。建築およびデザインの分野で世界的に著名な雑誌であり、同分野に対して大きな影響を与え続けている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Domus

デザインの学校を作ろうと考えた時に、将来的にはプライベートな大学院のような学校を目標としていました。Schoolのように学ぶだけでなく、研究も大事だよねと考えるとAcademyの方がよさそうでした。ドムスアカデミーのようにプライベートな学校からスタートしながらも世界中から優秀な人たちが集まる、そして大学院に発展する。そんな妄想も持っていました。

そのような背景もあり、X デザイン学校の名前は、X Design SchoolでもないしX Design UniversityでもないしX Design Academyになったのです。

気になる名前が


X design academyを検討する時に気になった二つの名前があります。両方とも僕の友人の会社やプログラムです。

1)X design, Inc.(有限会社カイデザイン)
この会社は、僕が尊敬する友人でもある小川 俊二さんと田中泉さんがソフトデバイスという会社から分離して作られたソフトウェアのデザインの老舗です。インタラクションデザインを中心に人と社会と技術の心地よい関係をデザインすることを活動コンセプトにしています。

2)x-DESIGN(エクスデザイン)
こちらは慶応SFCで山中 俊治 先生達が「未来をプロトタイプ」するために開始したプログラムです。山中先生は東大に行ってしまいましたが、現在でも活動を継続しています。

「x‐DESIGN――未来をプロトタイピングするために」書籍紹介より
複雑化するデザインを理解し、新たな価値創造に迫る人材の育成を目指す場、それが慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス通称SFCの「x-Design」(エクス・デザイン)プログラム。
さまざまな分野のデザインの垣根が取り払われつつあるいま、一つの「モノ」を作り上げるには、幅広い視野で統合的にデザインすることが必要だ。「クリエイティヴ・マインド」を研究の基本的な推進力・原動力として持続しながら、開発力x表現力、技法x技術、論理的思考x美的直観、作り手x使い手の価値観といった分断された諸要素をふたたび包摂・統合し具現化できるハイブリッドな素養を持つエキスパートとは――。
世界の第一線で活躍するデザイナーやアーティストをディレクターとした、「モノづくり」の新しい形を探る10の実験工房の活動とその成果を追う。
『デザイン言語』『デザイン言語2.0』から進化した、刺激的な挑戦!

https://www.amazon.co.jp/x%E2%80%90DESIGN%E2%80%95%E2%80%95%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E5%B1%B1%E4%B8%AD-%E4%BF%8A%E6%B2%BB/dp/4766420128

X designを日本語は、「X design, Inc.はカイデザイン」と「慶応のx-Designはエクスデザイン」としていました。僕らは「エックスデザイン」なので日本語は異なりますが、英語の X designは同じです。そこでXデザインだけでなく一つの単語として「Xデザイン研究所(X design Lab.)」と「X デザイン学校(X design academy)」と「X デザインフォーラム( Xdesign forum)」にすることで明確に異なると考えたのです。

ネーミング(理念の言葉)の体験デザイン


ネーミングは「理念の言葉」でとても大事です。このような背景より、僕らは理念の言葉として「Xデザイン」という言葉を基本にすることにしました。会社としては「株式会社Xデザイン研究所」ですが、活動としては、「研究とビジネスとしてX デザイン研究所」、「学校としてのXデザイン学校」、そして「コミュニティとしてのXデザインフォーラム」の活動を目指すことにしたのです。

社会人がデザインに触れ合う時の時間軸として、「イベントやコミュニティで体験する(Xデザインフォーラム)」、「学校で体験する(Xデザイン学校)」、「研究やビジネスで体験する(Xデザイン研究所)」という時間軸としての体験が深まります、この体験の共通のネーミングが「X(エックス)デザイン」があるのです。

X デザインを基本としたネーミング


このネーミングは「理念の言葉」であり、ビジュアルは「理念の形」になります。この両方が繋がり、初めてみんなに理念が伝わるのです。Xデザイン学校の「理念の形」については、次にお話をしたいと思います。

Xデザイン学校のリードコピーとして「社会をよくするデザインの学びと研究をする楽しさを追求する、社会人のための未来の学校体験」も決まり、いよいよ僕たちの活動がスタートして行ったのです。

Xデザイン学校のリードコピー


長文を最後まで読んでいただきありがとうございます。この活動に共創してくれた浅野智氏(Xデザイン研究所共創創業者)と竹内 公啓(publix代表)のお二人に感謝します。

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