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子どもたちと、創造性への自信「クリエイティブ・コンフィデンス」と、「デザインのとびら」

こんにちは!
子どもたちに向けた、デザイン思考を活用したワークショップ「デザインのとびら」事務局です。

今回は、「創造性への自信:クリエイティブ・コンフィデンス」をテーマに話したいと思います。


クリエイティブ・コンフィデンス

小さい時はそんなことなかったはずなのに、いつの頃からか、大人になる過程で、多くの人が自分の創造性に自信を持てなくなってしまいます

絵を描いたり、造形物を起こしたり、物語を語ったり。
そういうことは、自分とは全く関係ないことのようにすら感じてる人が多いんじゃないでしょうか?

でも子どもたちと話していると、支離滅裂であっても、なんだかとんでもないストーリーを話してくれたり、紙とペンを与えれば、自由に、紙からはみ出すほどに絵を描いてくれたり、粘土でいつまでも遊んでいたり。

私たちはいつからそういう「創造の喜び」から遠ざかっていってしまうんでしょう?

創造の喜びどころか、いつのまにか創造自体を避けるようにすらなってしまう。あたかも創造性に触れようものなら、誰かに指を差されて笑われてしまうのを恐れるように。
もしくは生きる上では創造性なんてなんの価値も無いっていうように。あるいは、創造性で金を稼げるのはごく一部の天才だけって具合に。

でも、創造性って実はそういうものじゃなかったんじゃ?
実は絵を描いたり、造形を作ったり、ストーリーを紡ぐという、表面的なことだけじゃないことに、みんな気付いているはずです。

理系の研究室にだってヒラメキは必要だし、お客さんに商品を売るのだって、どんなに素晴らしい商品であるかっていう魅力的なストーリーを語らなきゃだし、事業に投資してもらうには、投資家にステキなビジョンを描いて示す必要がある。農家やトラックの運ちゃんや工場のエンジニアだってみんな同じようにクリエイティブであるべきと私は信じています。

そうやって考えれば、創造性は別にクリエイターの独占特許じゃなくって、どんな立場の人にも求められることだったりしますよね。
創造性をクリエイティビティと言い換えれば、どんな立場の人もクリエイティビティを発揮してその人の抱える問題に立ち向かうクリエイターだってことです。

そういう創造性へ対して自信を持てることを、最近では「クリエイティブ・コンフィデンス」と呼んだりします。

『クリエイティブ・マインドセット』のタイトルで有名な、デザインコンサルファーム IDEOの創始者トム・ケリーとデイヴィッド・ケリーの共著がありますが、実は原題が『クリエイティブ・コンフィデンス』であることを知っている人はもしかしたらそんなに多くないかもしれません。

あの本の中で言われている創造性に対する自信は、「世界を変える力があると思えること」という所まで飛躍していたように記憶しています。そういうピュアな思いを持てることも、クリエイターには大事な要素なのかもしれないですね。

職種に関係なく、さまざまな立場の人が、創造性に自信を持てるって世界に、心から共感します。

日々の生活の中に、創造の可能性はあふれている

「世界を変える」までいかなくっても、もっと身近な所に、創造の可能性はあふれています。たとえばお弁当を作ったり、歯を磨いたり、ベッドに入ったりって言う、いたって普通の日常の中にすらも、人が介在するところには間違いなく創造性が入り込む余地っていくらでもあります

それに気づいて、いろんなところに創造性を意識的に発揮する人がどんどん増えていったら、きっと世の中もっと面白くなるんじゃないか?

そういうところに働きかけることができるのが「デザインの力」です。
そんなデザインの力をデザイナーだけのものに留めておくのは本当にもったい。誰もがもともと持っていた考え方なのに、いつの間にかそれが自分のことじゃなくなっちゃうなんて残念すぎます。

でも実はそういう「いたって普通の日常」から世界を変えるようなアイデアが生まれたりして。
だから、創造性を持てさえすれば、誰もが世界を変えちゃう可能性を持ちうるなんて言えてしまうかもしれません。


デザインは、デザイナーだけに任せておくにはあまりに重要すぎる

もっと言えば、デザインってあまりに広大な領域を内包しているので、デザイナーだけじゃ到底手に負えるものじゃないんです。

IDEOのCEOであるティム・ブラウンさんも、「デザインはデザイナーだけに任せておくにはあまりに重要すぎる」と言っているほどです。(Raymond Loewyって人が言ったって説もあるようです)

だから私たちは、人生の中でまだ「創造性に対する変なバイアス」がかかる前に、自分の創造性に自信を持てるような体験を、これからの未来を担っていく子どもたちに提供したいと考えています。

それが私たちのやっている、子どもたちに向けたデザイン・ワークショップ「デザインのとびら」です。


子どもたちは、創造性に対して自信を持てるか?

子どもたちに向けたワークショップでは、子どもたち単独ではなく、親御さんに一緒に来てもらうことを前提にしています。子どもたちが、親御さんへのインタビューを通して大好きなパパ/ママの困りごとを発見し、それを解決するアイデアを創出する、という内容です。

ワークショップでは、最終的にプロトタイプを作成し、みんなの前でパパ/ママに向けたプレゼンテーションを行います。大好きな人の困りごとを自分のクリエイティビティで解決し、その人を笑顔にできた!という経験をすることで、自身の創造性に対して大きな自信を持てるのではないかと考えています。

もちろんこれは決して出来レースではなく、きちんと純粋なフィードバックをしてもらうように親御さんにはお伝えしますし、私たちデザイナーも、純粋に良いことも悪いこともコメントします。

まあ、基本的に創造において「悪いこと」ってそんなにないから、悪いコメントを返すようなことはほぼないのですが。

まだワークショップの回数は少ないのですが、これまでの経験では、パパもママもすごく喜んでくれ、みんなが笑顔になるという場が出来上がっています。

それだけ子どもたちはものすごい集中力で、真剣にワークに向かってくれているし、その分出来上がったものへの彼らの熱い思いの詰まったプレゼンテーションは、感動的ですらあります。

それまで緊張していた子も、おとなしくてほとんど口を開かなかった子も、みんな総じて笑顔になり、短い時間ですが、一緒に取り組んだみんなの間に仲間としての友情のようなものが生まれました。

やっぱり自分が本気で誰かのために取り組んだものが、その人に届き、喜んでもらえる、ということは、なかなか得難い、貴重な成功体験であるのは間違いないと思います。

それが果たして「自信」に繋がるのか、と問われると、そのことに確信は持てませんが、間違いなくどこか片隅にでも記憶に残る経験になっているんじゃないかと思っています。

私たちも本当に真剣ですし、どんなに参加者みんながハッピーで終了しても、終わった後のまじめな反省会はかなり遅くまで続きます。

ワークショップの様子は、こちらから確認できます。
「ディスカッション」タブ内に簡単な報告もあります。
Text by 儘田大地(デザインのとびらメンバー)

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