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街と自発性 「DIYで幸福になる街」

*本投稿は株式会社デンソーデザイン部の自主研究活動であり、弊社の開発案件や事業をご紹介するものではありません

みなさん初めまして。株式会社デンソー 先行デザインチームの平賀です。
普段は「都市と幸福」をテーマにした先行デザイン研究をしています。

「幸福」といっても人によってイメージされる姿は様々かと思いますが、
デンソーデザインは特に生活者の自発性を重要視しており、「生活者の自発性を応援する街」が幸せな街なのではないかという仮説を持っています。要は、自分からなんでもやってみる人が多い街、なにか新しいことを始めることを妨げず、応援する街が幸福な街なのではないかということです。

私たちはそんな街を実現するお手伝いを、事業を通じて行うにはどうしたら良いかということを考える仕事をしていますが、私は特に住民によるDIYを支援することに着目しています。

下の画像は昨年作成した、未来の日本の地方都市のコンセプト案です。DIY societyというタイトルがついていますが、文字通り生活者が自発的に自分たちの住む街をアップデートしていける仕組みを目指しています。

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Illustration by  impact taki


少子高齢化は日本の地方都市の共通かつ深刻な課題です。どんな地方都市でも年を追うごとに徐々に人口が減少し、高齢者の割合が高まっていきます。

働き手、都市の担い手が少なくなる中、街を持続的に運営していくためには、街に住む人たちが自発的に今の暮らしや社会をアップデートしていくこと、そしてそれが高齢となっても続けられることが重要だという考えです。

それらを実現するために、DIY societyでは以下の5つのアイデアを提案しています。

1. 壮学校 : 定年前の人たちが最新の技術や知識を学び、社会から必要とされる人材になれる場所
2. DIY自動農業 : 学んだ知識を活用し、農業をDIYで安価かつ個別最適に自動化できる仕組みやツール
3. 働ける後期高齢者 : 移動が困難になった後期高齢者でも自宅からリモートで働ける自動農業
4. 農業インフラを活用した自動運転 : DIY自動化農業のセンサーなどのインフラを活用した公共交通の自動化
5. 住める駐車場 : 他地域からの他拠点居住者を支援して街の関係人口を増やすスマート駐車場


特に、壮学校のような「気づきの場」の重要度が高いのではないかと思います。生活者に暮らしのアップデートを自発的にしてもらうには、改善の可能性に気づくことや改善するための知識や手段にリーチする機会が必要です。また、その人が末長く社会と関わっていくためにも、今自分ができることだけでなく、社会が求める能力を習得する必要があるからです。

少なくとも、教育を通じて生活者の自発性が高まれば、街に対する貢献度は高まり、街の持続可能性は向上するのではと思います。

ここまでの話で、
「生活者の自発性が向上することが街にとって良いのはなんとなく間違っていない気がするけど、生活者本人が幸福かどうかとは別の話なのでは?」と、思う方もいらっしゃるかと思います。
自発性が高まると生活者本人も幸せか?という問題に関して、私は生活者本人も幸せであると考えていますが、そのあたりの理由は次回以降に、ポジティブ心理学や世界の幸福に関わる研究などの視点からお話できればと思います。


最後までご覧頂き、ありがとうございました。