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【後日談/ご報告】『所得補償に関わる診断書の誤記載問題』に対して私がとった行動(精神障害者のお金の話、続編)

※本記事は、所得補償に関わる診断書の誤記載の問題に対して私が実際に行ったリカバリー(後処理)の経緯の説明とその際に医師に見せたレジュメ内容の公開を含む。特に、精神疾患を抱える方で、所得補償等を受けていらっしゃる方にとっては、充分起こり得る問題だと思うので、ご参考までに。

本記事は、11月に書いた以下の記事の続編(というか、その後の経過のご報告)である。併せて読んでいただくと事の経緯がわかりやすい。

私が先日(2020/11/05投稿)の記事(『【メモ】自分の「生きる意思の弱さ」によって生じた問題』)にて、「診断書の記述内容について医師に確認をとる」という趣旨でレジュメ(というか説明のための書面)を作成したという話をした。その具体的な内容について、個人の特定に至らない範囲で公開することにした。すべてではないものの、私の具体的な処方内容等が記載されているが、これにより私個人および病院および医師、保険会社の特定には至らないと判断したので、載せることにした。私と同じような境遇にある(医師に自分の症状がうまく伝わっていないとか医師との意思疎通がうまくいっていないと感じる)方の参考になれば幸いである。

医師に見せたレジュメの内容と診断書の誤記載問題への対応(実際にやったこと)

医師には以下の文書を作成して見せた。以下、内容。ほぼ原文ママ載せる。

2020年11月某日
Aクリニック
K先生
〒○○〇-△△△△
京都府京都市○○区△△
Kakkn.Y

所得補償の申請に添付する診断書の記載事項についてのご確認のお願い

Aクリニック、K先生、日頃診察など大変お世話になっております。今回は、私が現在、唯一の収入源として受け取っております所得補償の申請に必要な書類である診断書の内容についてご相談があり、書面にはなりますが、問い合わせさせていただきます。具体的には、診断書内の記載項目である『現在の治療状況』の欄の記入事項についてのご確認のお願いです。以下、症状の現状や就業にあたって困っていること等を踏まえた上で、今一度詳しく説明させて頂きますので、ご一読をお願い致します。

【症状の現状】
先月(2020年10月)の頭ごろに深夜から早朝にかけて、希死念慮が生じ、その際に頓服のオランザピン(5.0 mg)を服用するという事態が何度かありました。また、日中の不安も依然続いており、前回通院時(2020年10月初旬)に頂いたランドセン1.5 mgでは効きが悪く、現在は2.0 mg飲んで何とか抑え込んでいる状態です。

【就業にあたって困っていること】
 現在、所得補償を受け取るために、B保険株式会社に送付している書類が2通あります。1通はK先生の診断書でもう1通は私が記入する就業障害報告書というもので、先生の診断書を補足する資料になっています。
 こちらの就業障害報告書については先生にお見せしたことがなく、診察時間の制約もあり、私が就業にあたって感じている困難についても具体的に診察時間の範囲でお話させて頂くことはなかったのですが、障害によりどのような作業が困難であるかを書く欄があります。その欄に私が就業するにあたって困っていることが具体的に記載されています。先生にも私が具体的にどのような症状で就労に困難を感じているかの情報を共有しておきたいと思いましたので、その内容を以下に示させて頂きます。

■質問:現在の就業障害の具体的状況をご記入ください。(症状によりどのような業務(作業)が不可能ですか。)

■私の回答:病気に伴う気分障害、不安、不眠等により、継続的な定時出社や長時間の勤務が難しい。また、集中力や思考力の低下が著しく、複雑な手順を覚えなければならない装置の操作や作業、および創造力が要求される非定型的な業務などが困難である。もっと基本的なところで、(同僚の)指示を理解したり、長い文書を理解したりするのにも大きな支障をきたしている。計画的に(順序立てて)業務を遂行することもできない。また、病気によるストレス耐性の低下が大きく、軽度のストレスでも希死念慮の悪化が見られるため、(対人接触の多い)接客業や営業業務等の遂行にも困難を生じている。

以上です。

 特に、頭がうまく働かず、同僚の指示を理解してそれを実行する意思疎通の能力の点と、度々発生する希死念慮や強い不安のために精神的安定性を保って仕事をすることができない(時に身体が動かない)という点が最も困難を感じている部分です。
 先生との診察の際には、事前に話すことをまとめていくことが多く、また日常会話であるため、比較的スムーズに会話ができていますが、業務上のスピードを持たせた正確な情報交換という面では、まだまだ難しいというのが私の感じているところです。

【診断書の内容についてのご相談】
 今回、通院時(2020年10月下旬)に先生に記入していただいた診断書の中に『現在の治療状況』という欄があるのですが、その欄の『治癒』の項目に丸が付されていたのをB保険株式会社宛の申請書類を作成している段階で確認いたしました。先生のお見立てですと、私は現在、『治癒』の状態にあるとお考えでしょうか。
 私といたしましては、【症状の現状】の項目にも記したとおり、たびたび希死念慮が生じているという状態ですし、強い不安感も依然残存していると認識しております。中途覚醒の症状も最近頻発しております。また、処方薬も前回診療時(2020年10月初旬)と比べて、ランドセンが1.5 mg→2.0 mgへの増加、睡眠導入剤もブロチゾラム→クアゼパムへの強化という方向性で、どちらかというと安定しない症状を改善するために処方を増強するという判断であったと、こちらとしては認識しております。
 また、先生にご記入いただいた診断書の他の欄も確認してみた結果、『主な検査所見』の欄には、『不安定残存』等と記入されており、「まだ症状が残っている」という趣旨のことが書かれておりました。
 そして、『治療内容と薬剤名・用量』の欄には、『炭酸リチウム400 mg→600 mg』、『ブロチゾラム0.25 mg→クアゼパム20 mg』と「処方を増強させる方向性で治療を継続している」という旨が書かれております。
 さらに、『患者が行うことができない身体的および精神的活動』の欄には、明確に『就労』との記載がありました。
 そして、『予測される就労復帰時期』と『予測される症状改善の時期』の欄には、『不明』つまり「いつ治るかわからない」という旨の記述がございますし、『今後予想される症状』の欄にも『慢性化してしまった』や『薬的強化にて対応をつづける』との記載がなされていることを確認しました。
 このような診断書の他の欄の記述との整合性も踏まえた結果、一度K先生に診断書の記載事項について確認をさせて頂く必要があると考えました。K先生の目から、私の診察時の様子やこれまでの経過等を見て『治癒』という判断を下された可能性があるとも考えましたが、特に処方が増強されている一方で、『現在の治療状況』が『継続』(2020年09月初旬時点)から『治癒』(2020年10月下旬時点)と軽快している方向に変更されているという所にズレを感じましたので、時間に迫られて診断書の作成を行ったこと等によるチェック欄への丸の記入ミスという可能性も踏まえて、念のため確認をさせて頂きたく存じます。
 また、現実的な金銭面の問題で、私は現在無職であり、収入をこちらの所得補償に頼って生活をしております。また、現状、【就業にあたって困っていること】の項でも挙げたとおり、正規雇用・非正規雇用・アルバイト等を問わず、雇用関係の中に入って仕事をするということにかなり大きな困難を感じております。先生に記入頂いた診断書は、所得補償の審査が下りるかどうかにおいて極めて重視される項目であり、その診断書に『治癒』という記載事項がございますと、高確率で所得補償がストップしてしまう状況になり、私にとっては死活問題となります。このようなかなり差し迫った問題であるため、失礼にあたると思いながらも、先生に診断書の記載内容について再度ご確認を頂きたいと思っております。

以上

主治医に見せたレジュメ(書面)の内容としては以上である。当初は、(医師と直接会えなかった場合を想定して)この書面を郵送で病院(主治医)に送って見てもらうことも検討していたため、このような形式で書面を作成したが、実際には直接会って対面でこの書面をお渡しし、話をさせて頂いた。そのとき、先生からは、「自分の書いた診断書の内容と『治癒』の記載は明らかに矛盾している。自分としては『継続』の欄に丸をつけたつもりであったが、急いでいたので丸をつける場所を間違えてしまった。このような重要な書類でミスをしたのはダメだね。こちらのミスだ。申し訳ない」という旨の返答を頂いた。あと、後述するように「誤りの含まれた診断書が記録として残ってしまうのは(後々、問題になったときに)非常にマズいので、訂正印を捺して、内容をキッチリと訂正させていただきたい」との対応をしていただいた。自らのミス(この問題は私のミスでもあったわけなのだが)を認め、非常に誠実な対応をしてくださった。

実はこのお話の前に電話にて主治医(先生)に診断書の内容の確認を依頼し、その時点で主治医のミスであることが発覚していた。その後、保険会社から返送された診断書を主治医宛に送付し、正しく書き直してもらった診断書(改訂版)をこちらに返送してもらった後、その診断書(改訂版)を添付して改めて保険会社の方に申請書類一式を送付する予定であった。しかし、保険会社に診断書の内容に疑義があるので、診断書が届いたら返送してほしいという旨の電話をした後日、診断書が保険会社から返送されることはなく、保険会社から所得補償の審査通過のハガキが送られてきた。

これは、上述の保険会社への事前連絡の内容から、保険会社側で診断書の内容を吟味していただいた結果、医師の診断書への記入ミスであると向こうが判断してくれたのだと思う。そうすれば、こちらが保険会社から返送された診断書を再び医師に送付して書き直してもらい、それ(訂正された診断書)を返送してもらったものを再び保険会社に送るという手間と時間が省け、結果的に早く所得補償が受けられるだろうというこちらの事情を汲み取ってくれたものと思われる。金銭的に所得補償に頼るしかないくらい逼迫していることを斟酌してくれるなんて非常にありがたい話である。いつまで支援が続くかはわからないが、今回は保険会社の良対応にも助けられた形である。

今回の問題の経緯とその対処(リカバリー)まとめ

今回の問題の経緯とその対処(リカバリー)をまとめると以下のとおりである。

*****
① 保険会社に提出する申請書を作成する過程で、医師に書いてもらった診断書の内容をチェックした。

診断書の内容に違和感(矛盾)を覚えたが、そのまま保険会社に送付してしまった。(これは完全に私のミス)

誤りが含まれている可能性の高い診断書をすでに送付してしまったことを身近な人(両親)に報告・相談。即、「送付した診断書を返送してもらうように保険会社に連絡をするように」と言われる。

翌朝即、保険会社に「送付した診断書に誤りが含まれている可能性が高いので、申請書類を受理せずに送り返してほしい」と連絡を入れた。一応、その際に診断書のどの箇所にどういう疑義があるのかは伝えた。

⑤ 保険会社の回答は「診断書の中身は、不正受給の可能性も考慮に入れなければならないのでチェックはするが、受理はせずに送り返す」とのことだった。

次の日、私の主治医が出勤している日に病院に電話で連絡を入れ、「診断書の内容について確認したいことがある。具体的には処方の内容と書かれている事項にズレがあるところについて確認をしたい」と連絡を入れ、職員の方から主治医にその旨を伝えてもらう。

その結果、診断書作成時の主治医のイージーミスだったことが明らかになった。後日、保険会社から返送された診断書を主治医宛に送付し、記載事項の訂正をしてもらった上で私に返送していただくことになった。

保険会社から(内容に誤りの含まれた)診断書が返送されてくる予定だったが、返送はされず。保険会社の判断で所得補償の審査が下りた旨のハガキが送付されてきた。(これは、おそらく保険会社側が、金銭的に苦しい状況にある私が(返送→再返送の手間や時間を減らすことで)できるだけ早くお金を受け取れるように配慮してくださったのだと思う)

後日、保険会社に連絡し、診断書の医師のミスがあった箇所について、具体的に報告し、どういう内容のミスであったかを説明させていただいた。保険会社側も同様の認識であった(「丸の付け間違いはよくあることですので、こちらも理解しています」とのことだった)ことを確認した。

⑩ さらに後日(11月末)、直接主治医のもとに出向き、今回の診断書の内容や現在の私の状況について、正確なところを事前に作成したレジュメを交えてお話をした。

主治医から直接、「完全に自分のミスです。丸を付するところを間違えました」との確認が取れた。

⑫ 主治医には、私の現在の病気の症状や就業にあたって抱えている困難、金銭的状況や診断書の重要性について改めてご理解いただいた。(ついでに、今後の金銭の問題についてもご相談させていただいた)

⑬ さらに、主治医から「(保険会社からは「データベース上は『継続』として記録を残しておきます」との確認はすでに得ているが)誤った情報が記載されたモノが書面として残るのは、(後から問題が生じたときなどに)非常にマズいので、私(主治医)自らキッチリと訂正印を捺して、診断書の内容を訂正させていただきたい」との話が出た。

⑭ 主治医とのお話は無事終了。「所得補償は、私の命に関わる重大な問題なので、先生にはお手数おかけしますが、今一度、入念にご確認をいただきたいと思います。私の方からも、『何かおかしいな?』と思ったら、連絡させていただきます」と私から述べ、主治医からは「おかしいことがあったら、遠慮なく申し出てくださいね。今回は、本当に申し訳なかった」と言っていただき、無事、穏便に話を終えることができた。

その日の通院後、即時、私から保険会社の担当者様に連絡をして、⑬の旨を説明させていただいたところ、「データベース上は『継続』で処理されるので、無問題ですよ!」とおっしゃられたが、「主治医のカルテの方に誤った内容が訂正されないまま、記録が残るのは避けたいと主治医本人が申していた」ということを追加で伝えさせていただくと、「わかりました。後日、診断書を返送いたしますので、主治医に訂正してもらってください」との回答を得た。

現在、保険会社から誤った内容が含まれた診断書の返送を待っているところである。
*****

というわけで、事の顛末はこんな感じだ。本来であれば、①の診断書のチェックの後に、②のように違和感を覚えたまま、診断書を送付するのではなく、③のように診断書に違和感を覚えたら、身近な人に相談するという作業が来るべきだったと、私としては反省している。困ったら、まず相談できる人に相談することが先決だ。その上で医師と直接コンタクトをとる必要が出てくれば、電話なり対面なりで直接コンタクトをとって医師に診断書の内容について確認していただく。そして、誤りがあれば訂正していただく。このような手順を踏んでリカバリーするべきだということも今回学んだ。

最後に(協力してくださった皆様に感謝)

今回は、保険会社の担当者様のご配慮と主治医の誠実な対応にだいぶ助けられたので、かなり幸運だった。私自身も診断書の記述内容のチェックを行う、疑問を感じたら周囲に相談する等、状況を改善する努力を怠ってはならないと身に沁みて感じた。今回の件は自分にも注意すべきところがあったと考えている。また、自分がいかに細い綱を渡るような生活をしているのかも強く実感した。一歩踏み外せば「死」である。今後、どうやって生きていくかを今まで以上に真剣に考えるという意味では、良い契機になったのではないか?一時はどうなることかと思った(正直、「もう、私の命は終わった」と思った)が、ひとまず、良い結果になってよかった。安堵している。

まだ、所得補償がいつ途切れるかわからない(いつ途切れたとしても、今まで支援していただいたことには感謝の気持ちしかない)という不安やこの先、どうやって収入源を確保していくかといった不安は尽きないが、何とか死ぬ直前までは諦めずに踏みとどまっていきたい。(死にたい気持ちになることはあるが)

皆様も病院の先生との間で意思疎通の問題が生じたとき等、どのようにリカバリーするかの参考にでもなれば良いと思う。

※たぶん、皆様は立派な社会人であるから、このようなことは朝飯前だと思うが、精神疾患の患者にはこういうこと(各所に何度も連絡をして事情を説明する等)をやる気力がない方も多いので。実は私も今回結構大変だった。私1人で連絡して説明しきれない部分は家族に代行してもらうなどかなり助けてもらった。サポートしてくれた家族にも感謝したい。

事後報告が良い報告になってよかった!今回は以上である。ではまた次の記事で!

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