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コミック&料理実用のイイとこ取りで話題! 『絶品空の下ごはん』編集裏話

「#読書の秋2021」の課題図書にもなっている『絶品空の下ごはん』、もう読んでいただけましたか?
こちらはコミックでありながら、料理の作り方を丁寧にカラーページで紹介する料理実用書でもあるという、ちょっと変わった作りのコミック&料理書です。
実は世界文化社で、この春に新設されたばかりの「コミックビジネス部」が、初めて手掛けた本でもあります。編集担当は、コミック編集者歴29年のベテラン・田中さんと、今回がコミック編集者デビューという若手・斎藤さんの二人。この凸凹コンビ(!)に、製作秘話や、おすすめのレシピなどを伺いました。

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「料理に強い世界文化社だからこそ、こんな本を作りました」

――この本を作った経緯を教えてください。

田中:秋に出すコミックなら、季節的にアウトドアのテーマがいいかなと。さらに、料理書に強い世界文化社らしい色を出すには、料理のレシピもきちんと見せたほうがいいよね、ということで、このスタイルができました。

齋藤:普通、レシピ本を選ぶ時って、「料理を作ろうかな、作りたいな」という気持ちがまずあって、どの本にしようかと探しますよね。でもコミックの顔を持つこの本だからこそ、「マンガを読もうかな」から入ることで、「料理を作りたい」の一歩手前から、読者の意識を刺激できたら面白いんじゃないかなと思いました。それで、実用書としてもしっかり売れるような本を作りたかったんですよね。


――つまりこの本は、コミックではあるけれど、料理書としても役に立つというわけですね。

田中:そう、あくまでも実用書です。書店さんにもよりますが、コミックというよりも、キャンプやアウトドア、料理の実用書の棚に並べていただいていることが多いですね。

最初の見開き

↑まずストーリーが展開されて…からの、登場レシピがっつり紹介へ!という流れになっています。↓

焼きソーセージのサルサソースのせ


――料理のラインナップはどんなふうに決まったんですか?

田中:雑誌『Begin』でもお馴染みのアウトドア料理の達人・小雀陣二さんに監修していただきました。メニューも基本的には小雀さんご提案のラインナップから、漫画家さんに選んでもらいました。中には漫画家さんから提案されたものもありますが、最終的には小雀さんに監修していただいたので、レシピのクオリティは保証つきです。

齋藤:漫画家さんは11人なんですが、ダッチオーブンやスキレットなど、それぞれ使う道具ごとに分かれて、見事にバランスよくセレクトがまとまったんですよ。
食材も豚・鶏・牛肉に魚、米・パスタ・デザートと、きれいに網羅できました。もしも偏ってしまったら、編集部がコントロールしたほうがいいかなとも思っていたんですが、蓋を開けてみたら調整不要で。バランスのいいラインナップです(笑)。


「コミックの編集って奥が深いです」

――11人の漫画家さんやストーリーはどのように決まったんですか?

田中:5人は僕のつきあいのある漫画家さんで、6人はサイトなどを見て発掘した方々です。中には「商業誌デビュー」の方も、3人含まれています。それぞれのストーリーは、漫画家さんにネームで出してもらって、それに対して調整はしましたが、基本的に大きく変更はしていません。

齋藤:私はもともと絵本の編集者で、料理書も作ったことがありませんでした。料理もコミックも初めてでどうしようかと思いましたが、コミックに関しては田中さんにいろいろと教えていただいて。漫画家さんは半数に分けて担当したのですが、ストーリーなど内容は全て一緒に見ていただきました。

――斎藤さんは初めてコミックの編集をしてみて、いかがでしたか?

齋藤:ひとつひとつが新鮮で楽しかったです。初めて「ネーム」を受け取ったときも新鮮で、田中さんは「ネーム来たよ」と、当たり前のような感じでしたが、私は初めてなので「おお、これがネームか!」と。
それでネームを確認して「これは面白いです、これでお願いします!」と田中さんに差し出すと、「これはこうしたら? ここはこうしよう」と毎回アドバイスの嵐が(笑)。でも確かに、その指示をもとに漫画家さんに直していただくと、最初にちょっと自分の中で引っかかっていたようなことも、スムーズに流れるんですよ。
1話につき10ページで構成しているのですが、10ページって、そもそもとても短いんですよね。その限られたページ内で、話をちゃんと起承転結にまとめあげなくてはならない。とてもいい勉強になりました。


――これまでになかった経験だったんですね?

齋藤:コミックの編集は、絵本のそれとは全くの別モノで、想像していた以上に奥の深さを感じました。コミックは好きなので、日頃からよく読むんですが、いかにぼーっと読んでいたかを思い知らされました。ただ読んでいるだけでは気づかないいろいろな仕掛けが、本当に細かくちりばめられているんだなって。学ぶことがとにかく多かったです。

「間違いから生まれた絶品レシピもあります!」

――編集中に印象に残っているエピソードを教えてください。

齋藤:料理は全て作って撮影しました。撮影の際は、監修の小雀さんが食材を用意してくださったのですが、「カリフラワーとアンチョビのチーズかけ」を撮った時のことです。本当は「カリフラワーとオイルサーディンのチーズかけ」のはずが、小雀さんがオイルサーディンではなく、間違えてアンチョビを持ってこられて。でも作ってみたら断然美味しかったので、レシピを全てアンチョビに書き換えた、ということがありました。小雀さんのレシピはどれも間違いなく美味しいのですが、そんな間違いからもっと美味しいレシピができました(笑)。

――では本の中で、個人的にイチオシの料理はどれですか?

田中:「焼きソーセージのサルサソースのせ」「魯肉飯(ル―ローハン)」は特にお勧めです。美味しかったので自分でも作りました。

齋藤:私はやっぱり「カリフラワーとアンチョビのチーズかけ」。「アンチョビとチーズのとりあわせがこんなに美味しかったのか!」と、料理としての発見があって衝撃的でしたし、家でも作りました。
ちなみにカメラマンさんも、その日、撮影した中で「アンチョビが一番美味しかった」と言っていました。

田中:「鶏もも肉の煮込み」も、プルーンを使っているので見た目は地味なんですが、予想した以上に旨かったです。

カリフラワーとアンチョビのチーズがけ


「食べ物に関するエピソードの投稿をお待ちしています」

――この本は「#読書の秋2021」の課題図書になっていますが、どんな感想を期待していますか?

田中:自身の、食べ物に関するエピソードを書いていただけたらと思います。「お父さんと一緒に作って食べたものが美味しかった」とか。キャンプがテーマであれば、なお嬉しいけれど、キャンプに限らず、どんな場面でもいいです。

齋藤:料理って誰かのために作るものだから、きっとふだんから、物語があるはずです。マンガでは、それを切り取って描いています。「働くママが帰って来てさっと作る料理」とか、「週末は時間があるから、家族みんなでゆっくり手の込んだ料理を作る」とか、それだけでもひとつの物語になりますよね。料理に関係していれば何でもよいので、エピソードを書いていただければ、それがつまり、この本の本質である「物語と料理が一緒になっていること」についての感想になるのではないかと思います。

――キャンプに限らず、料理にまつわる日々のエピソードなどを、お寄せいただけるといいですね。それが次のコミックのストーリーになるかも?

齋藤:それができたら、面白いですね。続編、作りたいですね。

田中:料理マンガ自体は、ずっと前からありますが、廃れないジャンルです。いろいろ細分化されて進化しましたが、まだまだ発展していくと思うので、これまでに蓄積された世界文化社らしい見せ方をいかして、作り方も考えていきたいと思います。ぜひご期待ください。

『絶品空の下ごはん』は「#読書の秋2021」コンテストの課題図書です。「#読書の秋2021」「#絶品空の下ごはん」を付けて、ぜひ感想をご投稿ください。優秀賞には「家庭画報のえびめん」セットのほかに、この本の漫画家さんによるスペシャルなイラストをプレゼントいたします。
「#読書の秋2021」コンテストの詳細は、こちらです。
https://note.com/delicious_web/n/na85d1fdf1e17