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北風のリュート

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「#創作大賞2024」の応募作品、『北風のリュート』をまとめました。
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#女子高生

【連載小説】「北風のリュート」第1話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

第1話:遠いうねり    そこは世界の蝶番のような場所だった。  東と西の大地の深くえぐれ…

deko
5か月前
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【連載小説】「北風のリュート」第3話

前話 第3話:空を泳ぐもの(2)  海水浴に訪れたK海岸の岬にはアクアパークという水族館…

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5か月前
92

【連載小説】「北風のリュート」第5話

前話 第5話:奏でるもの(1) 【4月13日、G県鏡原市】  うーん、やはり曇ってるか。  気…

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5か月前
79

【連載小説】「北風のリュート」第6話

前話 第6話:奏でるもの(2) 「珍しいね。それ、リュート?」  レイは竜野川の堤に腰かけ…

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5か月前
82

【連載小説】「北風のリュート」第7話

前話 第7話:奏でるもの(3) 「このリュート、どこで手に入れたの?」流斗が尋ねる。 「代…

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5か月前
79

【連載小説】「北風のリュート」第8話

前話 第8話:奏でるもの(4) 「デブリが長引いて、お待たせしました」  深緑のつなぎ姿の…

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5か月前
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【連載小説】「北風のリュート」第9話

前話 第9話:奏でるもの(5)  ふうっと一つ大きく深呼吸し、レイは覚悟を決める。たった一人でもわかってくれる人がいる、そのことがレイを勇気づける。 「風が吹いているのはわかります?」  レイはテラスに目を向ける。つられて立原も顔を向ける。 「立原さんの首筋を風が通りましたよね」 「ああ、はい」立原が首筋に手をやる。 「どうして、わかったと思います?」  えっ、そりゃ……と言いかけて口ごもる。 「天井でファンが回っているから、風は一方向じゃない。私に吹く風と、立原さんの首筋

【連載小説】「北風のリュート」第10話

前話 第10話:奏でるもの(6)  そうだ、と流斗はレイがテーブルに立てかけている楽器ケー…

deko
5か月前
67

【連載小説】「北風のリュート」第12話

前話 第12話:謎の増殖(2) 【4月23日 小羽田家】  あいかわらずの曇り空に夕陽がにじむ…

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5か月前
73

【連載小説】「北風のリュート」第13話

前話 第13話:謎の増殖(3) 【4月26日】  学会を控え論文やデータの整理に追われ、流斗は…

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5か月前
72

【連載小説】「北風のリュート」第14話

前話 第14話:糸口(1) 【4月28日 鏡原】  昨日の気象学会でも、鏡原の現況が話題にのぼ…

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5か月前
68

【連載小説】「北風のリュート」第15話

前話 第15話:糸口(2) 「赤い浮遊物の正体が知りたい。こいつが鍵を握ってると思うんだ」 …

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5か月前
67

【連載小説】「北風のリュート」第16話

前話 第16話:糸口(3)  小羽田家は、県道を挟んで基地の東の住宅街のなかにあった。百坪…

deko
4か月前
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【連載小説】「北風のリュート」第17話

前話 第17話:糸口(4) 「四日前に、空の魚がレイさんにコンタクトを取ってきました」  向かいに座る小羽田夫妻に、流斗はさらりと爆弾を投下する。雅史はコーヒーカップを持ち上げようとして動きを止める。 「いわゆるテレパスで意思疎通をしてきたんです」  雅史は目を見開き、流斗からレイへと視線を泳がす。 「おそらくイレギュラーなアプローチであったと考えられます。それだけ彼らが危機的状況にあるのではないかと」 「どういうことだ?」  雅史の声がかすれる。 「絶滅の危機でしょうか。