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連載小説「オールド・クロック・カフェ」

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京町屋を改装したカフェは、一歩入ると時計の森。そこでは、時のはざまに置いてきた忘れ物を教えてくれる「時のコーヒー」があるという。
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#京都

『オールド・クロック・カフェ』1杯め「ピンクの空」 <全文>

 その店は東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。町家を必要最低…

deko
3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 2杯め 「瑠璃色の約束」(1)

 その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。古い民家を必…

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3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 2杯め 「瑠璃色の約束」(2)

前回のストーリーは、こちらから、どうぞ。 <あらすじ> 『オールド・クロック・カフェ』の…

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3年前
79

小説『オールド・クロック・カフェ』 2杯め 「瑠璃色の約束」(3)

(1)から読む。 (2)から読む。 <あらすじ> ガラス工芸作家の泰郎は、鳩時計の「時のコ…

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3年前
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『オールド・クロック・カフェ』2杯め「瑠璃色の約束」 <全文>

 その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。古い民家を必…

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3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(5)

(1)から読む。 (2)から読む。 (3)から読む。 (4)から読む。 <あらすじ> 『不器…

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3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(7)

1話から読む。 6話に戻る。 <あらすじ> 『不器用たちのやさしい風』で明るい脇役として登場した松尾晴樹。茨城から夜通しバイクで駆けてきた晴樹は、『オールド・クロック・カフェ』にたどりつく。長刀鉾の柱時計に選ばれ、飲んだ「時のコーヒー」が見せてくれたのは、恋人の由真との別れのシーンだった。由真は、「祇園祭のカマキリ」という謎の言葉を残して去って行く。泰郎に背中を押されて向かった蟷螂山町で、偶然、由真との再会を果たした晴樹は、由真に「ひろ」という子がいることを知り落胆する。と

『オールド・クロック・カフェ』4杯め「キソウテンガイを探して」(1)

 その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。古い民家を必…

deko
2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(2)

第1話は、こちらから、どうぞ。 * * * hesitation * * *  大樹と泰郎を追いか…

deko
2年前
46

『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(3)

第1話から読む。 前話(第2話)は、こちらから、どうぞ。 <あらすじ> 八坂の塔の近く、古…

deko
2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(4)

第1話から読む。 前話(第3話)は、こちらから、どうぞ。 <あらすじ> 八坂の塔の近く、古…

deko
2年前
39

『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(5)

第1話から読む。 前話(4)は、こちらから、どうぞ。 * * * Reason * * *  …

deko
2年前
51

『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(6)

第1話から読む。 前話(第5話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Time Coffee * *…

deko
2年前
46

『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(7)

第1話から読む。 前話(第6話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Friends * * *  環はふた口めを啜ると、カップをソーサーの上に戻し、持ち手にかけていた指をはずした。それを合図に、スローモーションでまぶたが閉じるのと平行して椅子に背をあずけ、右に落ちていく首と頬を肩が受けとめ、ボブカットの髪が数本、唇にはりつく。その一連の流れるようなさまを、瑠璃は向かいの席で眺め「時のコーヒー」が不思議な力を発動したことを確信した。  環は「時のコーヒー」のまどろみの中