見出し画像

コラム「あなたは目玉焼きになにをかけますか?」

普段生活していると毎日使う道具があります、それとは逆にまったく使わない道具も。

ふとした気まぐれから何年かぶりに引き出しを開けてみました。
そこには前と変わらず小学校の卒業アルバムと卒業証書がありました。
黒い筒をポンと開けてみてみると卒業した年と自分の名前が書いてありました。

あれから随分たったんだなぁと思いつつ「もしも今一日だけでもあの頃に戻れたならどうなるかな……」そう思いつつ目を閉じました。

気がつくと私はいつもとは違う部屋で寝ていました、ここはどこだと混乱しますがすぐに気がつきます。
「そうだった、昔はこの部屋で寝てたんだった」
隣には随分昔に亡くなったお婆さんが寝ていました、大好きだけどもう二度と会えないはずのお婆さんがいるのを見ると少し感動してしまいました。

朝ご飯を食べるために食堂に行くとまた驚いてしまいました。
今よりも若い両親、とっくの昔に家を出た妹、亡くなったお婆さん、それらの姿がありました。
「あの頃は当たり前だと思っていたけど当たり前じゃ無かったんだなぁ」
食べ終わると学校に行くために自分のランドセルを背負って出掛けます。

乱暴に扱ったせいでぺったんこになったランドセルを担いでいると「こんな感じだったなぁ」と懐かしくなりました。

学校に到着すると朝のホームルーム開始です。
「そうそう、先生はこんな人だった」
木の板と鉄のパイプでできた椅子と机の席に着いているだけで特別な感じがしました、あの頃は飽き飽きしていたけど今日はまるでそんな気が起きません。
久しぶりに受ける授業でも興奮し続けてしまいました。
「鉛筆なんて久しぶりだな、消しゴムってこんな感触だったのか」
あっという間に昼休みになってしまいました。
毎日行っていた図書室に行ってみると懐かしい風景がありました。
これも読みたいあれも読みたいと思いましたけど昼休みはすぐに終わってしまいました、残念です。
懐かしい同級生と話をすると「そうだった、あの頃はこういうものが流行っていたんだったな」とか思いました、話をするまで完全に忘れていました。
あの頃に集めていたシールはどこにいったかな?

放課後になると下校の時間です、帰る前に学校の裏庭に行ってみると卒業した先輩の残した物がありました。
「そうそうトーテムポールがあったんだな」
今では撤去されてなくなった物がそこにはありました。
見る物全部が不思議に思えました。

家に帰るとテレビゲームで遊ぶことにしました、大昔のゲームを妹と一緒にプレイしていると「こんな時間があったんだな」と思えてしまいました。
やり尽くしてしまったはずのゲームなのに何故か楽しくて仕方ありませんでした。

入浴も済ませると後は寝るだけです、けれどもなんとなく寝たくありません。
「もったいない気がするな、けれども寝るしか無いな」
そうしてあの頃の変わらない一日が終わりました。

私は目を開けました、目を開けると相変わらずの風景でした。
「もしかしたらまた思い出すかもしれないけれど今日はこの辺で終わりだな」
アルバムや証書をあの頃の記憶と一緒にしまうと今の時間がまた流れ始めました。

時には思い出したり振り返るのもいいものですね。

ではまた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?