#9 雨下の迷い者たち
「なんか、イズくん変だったね」
理科室から出て廊下を歩きだす。テンは少し後ろを振り返ってから、あーあ、と疲れたように声を出した。
「いつもはさ、優しくて、おとなしい子だよ、見た目通り。いつもみない焦り方だったなあ。ていうかなに! 雨降らせたいなんて人、あたしたち以外にいる⁉ そうならあたしに頼んでくれたら一瞬なのにい」
ぶつくさと文句を言うテン。まあまあ、と今度は僕がなだめる。
「あ、ユウくん!」
その時、昨日の、それこそほんとに晴れのような、お日様のような声がした。この声は