どっと小児科医

地方の総合病院に勤務している小児科医です。主にアレルギー疾患をみています。

どっと小児科医

地方の総合病院に勤務している小児科医です。主にアレルギー疾患をみています。

マガジン

最近の記事

アレルギー性鼻炎の根治を目指せる?  舌下免疫療法について

さて、今回は春に向けてアレルギー性鼻炎の根治を目指すことが可能と言われる、舌下免疫療法についてまとめてみます(私自身もスギ花粉症の治療を行っています)。 今はあまり花粉症で苦しんでいる方は多くないかもしれませんが、落ち着いているときにこそ情報を集めておきましょう。 *今回の話のまとめアレルギー性鼻炎にはスギ花粉症を始めとした季節性のものと、ダニなどによる通年性のものがあります。鼻水やかゆみを抑える対症療法が基本ですが、今では舌下免疫療法といって、根治を目指せる治療があります

    • 2021年 こどものインフルエンザワクチンどうするか

      かなり久しぶりにnoteを更新します。 ちょうどインフルエンザワクチンの時期になってきました。去年はほとんどインフルエンザは流行しなかったし、今年も大丈夫でしょ、とワクチンをためらう方も少なくないと思います。 なので、今回は子どものインフルエンザワクチンについてまとめてみたいと思います。そもそも接種するべきか? アレルギーがあっても大丈夫か? など悩ましいことも多いと思います。今回の話が参考になれば幸いです。 ・インフルエンザについてまずはインフルエンザとはどんなものかま

      • 子どもの食物アレルギーを予防するためにできること

        お子さんの食物アレルギー、心配ですよね。 ネットやSNS、TVをみているといろいろな情報に振り回され、何が正しいのか、どうしたら良いのかと感じることも多いと思います。 今回は食物アレルギーをなるべく予防するために、今できることについて少しまとめようと思います。しっかりとした研究結果のあるものが主ですが、対応などについては私見もあるので、参考程度に考えていただけると幸いです。またどれだけ頑張っても予防しきれないことはありますので、悩ましいときや実際に発症してしまった場合には、

        • 肉アレルギー

          肉アレルギーは基本的には稀です。 そもそも肉の抗原自体は人の体にも含まれるので、異物として認識されにくいものと考えられています。その中でも報告例も成人に多いため、特に小児期には稀だと思われます。しかし、それでも肉アレルギーのお子さんはおられ、正確な診断をすることで必要な対策がみえてくるものもあるため、まとめてみます。 肉アレルギーには主に3パターンあると考えられます。 ① 重症アトピー性皮膚炎・重症牛乳アレルギー児における牛肉アレルギー ② Pork-cat syndr

        アレルギー性鼻炎の根治を目指せる?  舌下免疫療法について

        マガジン

        • アレルギー関連
          1本

        記事

          乳糖不耐症について

          だいぶ日にちが空いてしまいました。 こまめに投稿できる方は本当にすごいですね。 最近乳糖不耐症について尋ねられることが数回あったので、今回は乳糖不耐症について小児科医としてまとめてみようと思います。 乳糖不耐症とは乳糖不耐症は、普段の生活でもときどき耳にする機会があるかもしれません。牛乳などの乳製品を摂取した後に、お腹が張ったり、腹痛や下痢が出る場合、乳糖不耐症の可能性があります。だいたいは摂取してから数十分〜数時間以内に症状が出てきます。 原因は乳糖不耐症は、乳糖を分

          乳糖不耐症について

          ステロイド軟膏の副作用?

          外来で診察をしていると、最近でもステロイド軟膏の副作用を心配されている方の声をよく聞きます(以前よりは正しい知識が広まってきて、減ってきてはいる印象です)。 「ステロイドを塗ると肌が黒くなる!」 「使いすぎたら止められなくなる!」 「薬局でも薄くぬって、なるべく早くやめましょうと言われた!」 メディアやSNSだけでなく、未だに医療者の中でもステロイド軟膏の副作用について間違った認識をされている方がおりますので、ここでまとめてみようと思います。 先に結論をいうと、「メ

          ステロイド軟膏の副作用?

          しもやけ

          この季節に辛いしもやけ。 例年も辛いのに、今年は「手洗い・消毒・換気」で学校はしもやけっ子には地獄の様相ですね・・・。 外来でも比較的よくみられるので、今回はしもやけについてまとめてみました。結論からいうと、 「しもやけは予防が一番!もしなってしまったら、手袋・靴下で温めてしっかり保湿!なかなか良くならなければ、病院にいきましょう」です。 〜 しもやけについて 〜 しもやけ(凍瘡)は手足や鼻の先、耳など体の末端の血流が、寒さによって悪くなることを繰り返すことで血流がうっ滞

          小麦アレルギーについて

          〜小麦アレルギーについて〜  小麦は3大アレルゲンの一つで、子どもの食物アレルギーでは3番目に多い食材です。成人の食物アレルギーの中では最も多い食材です。  乳幼児期に発症した場合は、成長とともに治る可能性が比較的高いといわれていますが、特異的IgEの数値が高い場合などでは治りにくいといわれます。   アレルゲンとしては、大麦やライ麦、オート麦なども近いですが、これらは8割程度の方が症状なく摂取できるといわれるため、全部が全部を除去する必要はありません。特に麦茶などは大麦の中

          小麦アレルギーについて

          牛乳アレルギーについて

          〜牛乳アレルギーについて〜  3大アレルゲンの一つで子どもの食物アレルギーでは2番目に多い食材です。成長とともに治る可能性が比較的高いといわれていますが、特異的IgEの数値が高い場合やアトピー性皮膚炎が十分に治療できていない場合は治りにくいといわれます。  アレルゲンとしては、牛乳に含まれるタンパク質のカゼインが主です。これらは乳児用ミルクや羊・ヤギの乳にも含まれているため注意が必要です。  よく、牛乳を飲んで下痢することがあるという方もいますが、それはアレルギーではなく、乳

          牛乳アレルギーについて

          卵アレルギーについて

          〜 卵アレルギーについて〜  3大アレルゲンの一つで子どもの食物アレルギーの中で最も多い食材です。特に、初めて食べる 0〜1 歳の発症が多いです。成長とともに自然と治ることが多いといわれますが、特異的IgEの値が高い場合やアトピー性皮膚炎、喘息を合併すると治りにくいといわれています。  卵アレルギーはほぼ卵白アレルギーともいえます。卵黄 1個 (約 20g) でアレルゲンは卵白 1g くらいなので、だいたいの子は卵黄は多量でなければ、食べられます。  卵アレルギーでは、少量は

          卵アレルギーについて