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【書籍紹介】『最高のコーチは教えない』


上から押しつける指導であれば、誰でもできる


本書は12/5に投稿した
“大人の学び”の学びかた(5)「できる」の中でもご紹介した1冊です。


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 ◆ 著者

 
著者の吉井理人さんは、プロ野球の近鉄やヤクルト、
メジャーリーグのメッツなどで投手として活躍。

引退後は3球団の投手コーチを歴任され、
2022年10月には千葉ロッテマリーンズの一軍監督に就任されました。

筑波大学大学院の人間総合科学研究科に入学。
体育学博士前期課程を修了されています。


◆ 本書のテーマ


本書には、才能を120%引き出し圧倒的成果を出す
吉井理人流のコーチング哲学、その理論と実践方法が書かれています。

そのポイントは、「教えない」こと。

吉井さんは、
はた目から見るとサボっているようにしか見えないコーチになることが
究極のコーチ像だとおっしゃっています。


◆ 心に残ったフレーズ


この本には上司と部下の関係性や指導・育成に関して
「その通り!」と共感できるフレーズが溢れていました。

「コーチ」を「上司」、「選手」を「部下」と読み替えると、
会社で働く方も思い当たることが多いのではないでしょうか。


選手にとって嫌なコーチは、事前に何も指導していないのに、
マイナスの結果だけを見てあれこれ言ってくるタイプだ。(P3-4)

上から押しつける指導であれば、誰でもできると思う。
しかし、もはやそうしたタイプの教え方では、選手との間に信頼関係を構築することはできなくなっている。(P172)

できないのは選手のせいだと開き直るのは、職務放棄としか言いようがない。(P261)

主体はコーチではなく選手である。(P58)

重要なのは、常に選手を観察することだ。(P128)

答えといっても、それは僕の答えなので、
その選手に合っているかどうかはわからない。(P141)

「自分だったらこうする」と考えるのではなく、
視点を変えて「その選手だったらどうするか」と考えていくことだ。(P166)

課題設定→振り返り→新しい課題の設定というサイクルが
習慣になるまで
徹底的に繰り返すといい。(P69)

なぜ? なぜ?と問い続けていると、課題は自然に出てくるものだ。(P87)

自分で考え、自分で工夫する能力がなければ、成長はしない。(P147)

人の言葉ではなく、自分の言葉で気づくのが大事なのである。(P181)

怒られると思っていたのに、励ましてくれた。
その言葉で、仰木さんのために頑張ろうという気持ちにさせられた。
(P132)


◆ ぼくの感じたこと


かつては社会にも企業にも、多くの人が信じる「正解」がありました。

そんな時代には、現場で実績をあげた人が”ご褒美”として管理職になり、
自分の成功体験を上から押し付けても、目標を達成できたかもしれません。


でも時代は変わりました

人々の価値観は多様化し、多くの人が信じる「正解」はなくなっています。

そんな時代の上司には、
人々の多様な考えや志向を尊重し、
個々人に最高のパフォーマンスを発揮してもらいながら、
自分たちなりの「正解」を導き出し、実行していく能力が求められます。

それを実現するために必要なスキルのひとつが、
本書で紹介されているコーチングです。


  • 自分のことしか考えてこなかった人間が、
    何の準備もなく教える側に立っても、自分の経験を伝えることしかできない。(P5)


コーチングスキルは、
現場でプレイヤー(選手)としての仕事を全うするだけでは身につきません。

いまの時代に上司として成果をあげようと思えば、
プレイヤーの延長線上で考えるだけでは不十分です。

上司(=コーチ)としての新たなスキルを身につける必要があります。


本書はいわゆるコーチングの専門書ではないので、
コーチングが初めての方も手に取りやすいのではないでしょうか。

  • 管理職になりコーチングをやる必要があるけど、どうしたらいいかわからない。

  • 実際にコーチングをやったけど、うまくいかず悩んでいる。


こんな方が最初に手に取るには相応しい1冊です。

11/8の投稿でご紹介した
佐伯 有利子著『教えないスキル』と合わせてオススメします。

『教えないスキル』:


追伸
両方の本のタイトルに「教えない」と付いているのが
コーチングの本質を表してますね。

『最高のコーチは教えない』:


マガジンにも保存しました。


「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ合同会社 小川剛司(つよし)


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美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。