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短文/詩(創作)

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#詩

ただ欲しいだけ

ただ欲しいだけ

僕にないものを貴方はもっていて、
僕にはないとわかって分け与えてくれる。
きっと貴方は優しいから、僕をそんな目で見てくれるんだろう。

時より、その目は僕以外の誰かに向く。
どうして貴方は優しいのに、
僕を特別にしてくれないの?

昇華した。

あの時抱いていた貴方への愛情は別の誰かへと移った。
これで貴方を煩わせることもない。
僕が苦しむことも。

全部。何より崇高で、純粋で、潔白で。

消化し

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離反

離反

私が幸せである時。
君は私の不幸を願う。

私が不幸せである時。
君は自らの幸せを私に誇示する。

私は君の幸せを享受できないのに、
君は私から幸せを吸収する。

ずっと君とは対等なはずだったのに。
いつからこんなに離れてしまったのか。

良いことがあったなんて言わないから、不幸なんて願わないで、君は私の友達でいてほしい。

でも願いは伝わらない。
明日もきっと私の不幸は彼の幸福。

歪んだ日

歪んだ日

あのこは私のことを嫌っている。
別に喧嘩をしたわけじゃない。
仲だって良かった。
どうして私をそんな目で見るの?
どうして私に冷たいの?

私は彼女が嫌い。
特に理由があるわけじゃない。
ただ突き放したくなった。
彼女が悲しむ顔を見たかった訳じゃないのに。
彼女が失敗するところを見たかった訳じゃないのに。

私はあのこが好きだ。
あのこの態度。あのハリのある頬。
あのこの声、才能、綺麗な指。
あの

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(smell) like..

(smell) like..

街灯が僕の頭を照らす。
隣の車は、渋滞にイライラしている。

少し進んで

看板の下を通る。
ああ、落ちてきたら死んじゃうな。

また少し進んで

十字路。車の流れを逆走する。
僕は街灯にぶら下がった蜘蛛に謁見する。

止まった

赤。バイクが前を通る、
pedestrianなんてお構いなしだ。

あともうちょっと

真っ暗闇。そろそろ終わる。
家に着いたら、柔和な匂いに包まれる。

まあ。君の匂

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揉まれる

揉まれる

呼ばれる。私の名前が。大きな声で。何度も何度も。
いや、やっぱり呼ばれていない。

目が合う。私とあなたの目が。まるで恋に落ちるように。いや、やっぱり目は合ってない。

声が聞こえる。猫が食事をねだる声が。甘い声で私を誘惑する貴方の声が。いや、声なんて聞こえない。

慟哭をあげる。愛しい子の死に。叶いもしない理想に。
ああ、むせる。

今日も揉まれない。