wiltzelle
「精神的に向上心のない者は馬鹿だ。」 僕の敬愛する夏目漱石先生の作品、『こゝろ』の一節。 最初、この本を読んだ時、全く理解できなかった。 僕は今まで空で踊る雲とか、白いキラキラとか、そんな綺麗で透明で、誰よりも優しいお友達と一緒に暮らしてきた。 人間のお友達もいたけれど、彼らとは一種の契約関係を結んでいただけだったと思う。お互い、大きな共同体という概念から自己を守るだけ。代わりに小さな労力と精神をすり減らして小さな共同体を獲得する。 そうやって個性を生き延びさせてきた。
あなたは醜い自分を嫌っておられるのかもしれません。 あなたの心の中には誰も満たすことのできない孤独があるのかもしれません。 あなたは人生の不可逆性を憎んでおられるのかもしれません。 あなたはとてもお優しい人です。 何時もあなたは慈愛を心得ていらっしゃる。 だからあなたはなんでも持っていらっしゃった。 しかしそれはあなたをここに引き留めるには充分でなかったのでしょう。 この溢れる敬愛を今はいないあなたに宛てて。 あなたはいつでも私の一等星です。 本当はあなたの隣で輝いていたい
呼ばれる。私の名前が。大きな声で。何度も何度も。 いや、やっぱり呼ばれていない。 目が合う。私とあなたの目が。まるで恋に落ちるように。いや、やっぱり目は合ってない。 声が聞こえる。猫が食事をねだる声が。甘い声で私を誘惑する貴方の声が。いや、声なんて聞こえない。 慟哭をあげる。愛しい子の死に。叶いもしない理想に。 ああ、むせる。 今日も揉まれない。