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真夜中乙女戦争の映画がしんどい件

真夜中乙女戦争の映画を見たせいで明らかに口数が増えた。頭の中がやかましすぎてぶっ壊れてしまいたいので、この場をもって破壊の限りを尽くそうと思う。

控えめに申し上げて、真夜中乙女戦争の映画はしんどかった。原作既読の私は観終えてすぐ、「私が脚本かいた方が面白かった説」を傲慢にも提唱した。全く失礼極まりない。ろくに長編描いたことないのによく言えたものだ、と普段の自分なら呆れて口に出す前にブレーキをかけるところだが、こればっかりは口から零れてしまった。申し訳ない、反省はしている。

なんせ、5,6回座りなおしてしまうくらいに長く感じたのだ。鑑賞中、これに1400円、三日分の食費を捻出したのか…と切なくなった。要は監督か脚本家のどちらかと合わなかった。私の読解力も足りていなかったし、制作側の伝える努力もちょっと足りないと感じた。とにかく尖っていた。尖りすぎだと思う、映画である以上もう少し大衆ウケねらって興行収入稼いだ方がいいのではないかと映画の中盤で心配になってしまった。


だがしかし、この映画を見て原作者のFさんが拍手喝采を送ったのなら、何も言わない。こういう尖った映画を求めていたとしたら、本当に何もいえない。だって、作品とは原作者のものだからだ。

そして私は、F先生には足を向けて寝られないくらいには、眠れない夜と起きたくない朝を救ってもらっている。

真夜中乙女戦争の原作は、難しいけど嫌いじゃなかった。登場人物同士の意味が分からないやり取りをゆっくり解釈し、セリフに隠された哲学を探すのが楽しかった。それが真夜中乙女戦争の一番の魅力だと思っていた。

が、しかし。しかしである。さっきからしかしばっかりだ。まあ、もう、厳しい。そもそも映画化というのが厳しかったのではないか。あれは文章を読むという形でこそ輝くものだったんじゃないだろうか。誰も悪くない、これは本当に映画化してみないと分からない事だったのかもしれない。あんまりにもやりきれないから、見ている途中でよきかな!とテンションが上がった所を申し上げて、批評家気取りのついでに「こうすればよかったのでは…」というアイディアを置いておく。


まず、申し上げたいのは池田エライザ、あなた様、歌上手かったのね…。あんなに色気たっぷりに歌う女優だったなんて知らなかったよ。でもね、歌上手かったけど尺が長すぎだと思う。途中で「まだ歌うんかい!」と何度かツッコミを入れた。若者の忍耐力のなさをなめすぎである、何なら尺半分でちょうどいいと思った。
次に永瀬廉、あなた様も随分とさえない大学生に成り下がっていて、原作の主人公らしくなっていて最高だった。光のない目、だるそうな話し方、全然カッコよくなくて良かった。だけど、黒服と話すときに少しだけ、そのダウナーな感じが薄れてしまって私には解釈違いだった。まあ、黒服と他の人とでは接し方が違うのは当然と言えば当然なのだけど、黒服といるときは少し永瀬廉のキラキラ感が顔を出しているように思えて、そこはもっとダサく!頑張れ!と見ながら応援してしまった。かっこよすぎるのも大変なんだなあ。
そして、カメラワークだ。エンタメは我を忘れてみるタイプの自分がカメラワークに意識が向いた時点で結構ヤバいのだけど、それはさておき、斬新さでいえばピカイチだった。人を上下逆向きでズームアップ、ズームアウトするのは、集中力の切れた観客にとっては注意力や緊張感が呼び起こされた気がした。世紀の大発明だったりして。映画ツウっぽく話してるけど実際ペーペーである、有名な手法であるなら申し訳ないけど許してほしい。まあとにかく、そのカメラワークはすごく面白いと思ったのだけど、ちょっと遅すぎたし長すぎたと思うし、音楽で煽りすぎていた気がする。ホラー映画でもないのにどうしてこんな煽られているのだろうと虚無顔になったので、もう少し音楽と調整をしたり、上下逆ズームアウトの決め所を削ったりすればもう少しだけの映画の世界に入りやすくなったのかも、しれない。
最後に、グッズ展開だ。大概映画のグッズには触手が伸びない物語原理主義ミーハー甲斐性無子なのだけど、この映画のグッズはめちゃくちゃセンスが良かった。猫のモチーフやアタッシュケース風小物入れなど、「分かる人が見ればわかるけど知らずに見れば普通におしゃれ」なデザインだった。世の中のグッズ制作担当者の皆様~!みて!これよこれ!こういうのが欲しいの!大声で叫びたい。このグッズ展開に関しては本当にいう事はない。でもグッズを買ったら使う度に本編の厳しい記憶がよみがえりそうだったので変えなかった。悔しい。

まあそんな感じで、私にとってはもう、なんか、輪をかけて毒舌になってしまう映画だったのだ。ある意味、一度見て欲しい映画だ。どこが微妙だったのか、逆にどこが最高だったのか、何をどうすればよかったのかを語り合いたい。

以上、私の真夜中映画感想でした。

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