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裂地図録

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茶道で用いられる裂地の図録。 基本的に所有している柄を紹介します。 持っているものだけなので、数は少ないですが、それに添えた物語も披露いたします。 その内ですが、茶入の逆引きタ… もっと読む
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【裂地】鎌倉間道

【裂地】鎌倉間道

 鎌倉間道は源頼朝の着衣とも、鎌倉建長寺の打敷(寺院の高座や仏壇の敷物)であったとも伝えられるが、定かではないそうです。

 個人的にはこれを着衣の柄だとは思いたくないので、建長寺の打敷だと思っておきます(笑)

「鶴岡(つるがおか)間道」とともに鎌倉時代の舶載と考えられています。

 赤染めの臙脂(えんじ)と薄黄の太い縞、緑と薄紫の細い縞が地厚に粗く織られた織り風は、今もなお新鮮な趣きを感じさせ

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【裂地】船越間道

【裂地】船越間道

船越間道とは?

 古田織部の弟子・船越五郎右衛門景直または伊予守永景の好んだ名物裂。

 船越景直は淡路の国人。左衛門尉。船越家は細川淡州家の家臣であったが、細川淡州家が滅びると三好長慶の弟・安宅冬康に従った。景直はその麾下にあって水軍を以て仕え、重臣となる。庄田城城主。

 三好家が滅びると織田信長、羽柴秀吉の直臣となったが、勘気を被り南部信直に預けられた。のち、家康の取りなしで復帰、関ヶ原で

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【裂地】大黒屋金襴

【裂地】大黒屋金襴

 我が家にある仕覆はもっと濃い色の裂地です。

 この柄の仕覆は去年手に入れた古瀬戸茶入に添えられていました。雁金瓢箪と呼んでいますが、それは釉景が雁金にみえる瓢箪茶入だからです。

 ここから銘は「缸砕(かめわり)」としました。缸砕柴田からとった銘ですね。

 我が家には過分ではないかと思うほど、大変いいものなので、これには添盆と附茶杓を用意したくなります。

 ただし、大黒屋金襴の意味をまず

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定家緞子

定家緞子

定家緞子とは?

 定家緞子は名前だけみると藤原定家に因んだのか?と思えてくるのですが、残念ながら違います(笑)

 京都島原の妓女・定家太夫の打掛に使われた裂地で、宋代末期〜明代初期のものだと言われています。

 残念ながら、定家太夫がどんな人であったかというような逸話は残されて居らず、詳しいことは分かりません。

 京都の花街は足利義満によって設けられ、二条柳町でしたが、江戸時代に六条三筋町に

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