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サクランボウ
2020年7月3日 13:58
柴田美優は、少し疲れていた。 今は夏休み。中学三年、受験生である美優にとって、さほど楽しくない勉強の夏。周りもみんな、なんとなく緊張したような、憂鬱な空気を溜め込んでいるように見えた。 「受験勉強は楽しくないけど、塾は嫌いじゃない」 エアコンの効いた教室で、問題を解きながら美優は思う。他校の生徒も集まる駅前のこの塾は、志望校と成績別にクラスが分かれている。それは少し嫌だけど、同じクラ
2020年6月22日 08:10
マスクの下の、顔が見たいと思った。そのコンビニは、駅までの途中にある。引っ越したばかりの自宅から、駅までの10分間にコンビニは4軒。1つは駅の中。駅と自宅近くばかり使うから、そこに立ち寄ったのはたまたまだった。4月なのに汗ばむほど暑い日で、アイスコーヒーのPOPに惹かれて入っただけ。そこで私は、彼をみた。レジで聞かれた「袋に入れますか」の一言。マスク越しにしてはよく