DANPEN

主に人体をモチーフとした立体造形を制作。 内面の表象としてのオブジェで日常からこぼれ落…

DANPEN

主に人体をモチーフとした立体造形を制作。 内面の表象としてのオブジェで日常からこぼれ落ちる欠片を映し出す。 大阪・乙画廊取扱作家

最近の記事

1999

世間が騒いでいたその頃 例に漏れず子どもながらに 全部終わってしまえばいいのになぁと 薄ぼんやりと終末説が当たることを願ってた。 終わることについて希望などないけど 終わるかもしれないことに何故かワクワクが止まらなかった。 結果、 何も起きず何も変わらず退屈な日常の延長で わたしはわたしのままだった。 その数年後だったかに観た映画で 世界の終わりというものを知ることになり、 それはすごく希望的で何となく心の内だけは退屈から逃れた気がした。 たぶんそれ以来、 終わること

    • (無題)

      何食わぬ顔でするりと入ってきた言葉が 奥の方で流れる事なく溶ける事なく留まって 病魔みたいに熱も帯びて 這う様に広がって そういうものに拘束されて 私はいつだって身動きが取れなくなる。 留まってしまった言葉から 逃げる事など出来なくて 行ったり来たり 回転扉のように離れてはいけない訳で かと言って 解釈を変容する事もせず ただひとつを溶けない石ころみたいに 自分の中にずっと置いておいてしまう。 「誰かみたいに」 (誰でもなく) 「戯言を」

      • 白昼夢

        夏の終わり、 秋の始まり、 季節の間の夕暮れ前の溶けていく様な空の向こう側、 落下した飛行機雲 色の混ざり合う瞬間、 その一瞬に出逢うと衝動的に飛び込みたくなる。 今年も何度かあった。 一瞬、視界一面その空だけになって 映画のあのクライマックスみたいに 漕いでいる自転車がそのまま駆け上がっていくくらい重力とか天地とか全部無視して 止められなくなる。 その瞬間、 心はもう空にダイブしている。 この感覚はものすごく幸福で 光で真っ白になる。 この一瞬とも永遠と

        • メメントモリ

          髑髏展というテーマの中でどうしても行き着くところ 生と死を同時に考える ぐるぐるぐるぐる考える いくら考えても答えなんて当たり前に出ない 辿り着かない思考の中で最期を思う ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー そこには風化した肉体と記憶だけが残っていた 濃紺の空にぽっかり浮かぶ月のように 残された髑髏の中に最期まで留まり続けているのではないかと 希望的観測と同時に鮮明に映し出された だから 記憶の中で遊ぶ小さき人や 森の中で佇む姿、 完成さえしな

          左耳の孤独

          少し前から例の回転音は ふとした瞬間からよくある光景に変わった。 一定間隔の回転音は強弱をランダムに増幅させ 今日も昨日もその前も廻っていた。 それが当たり前になるとそれに慣れ、 もう一つの音に気がついた。 回転音に見え隠れしていたもうひとつ内側の 少し音域が高く、 まるで砂嵐を音像化したみたいな砂粒の音。 絶えずザラザラとした感触で 時折、現実の音さえ掻き消してしまうくらいに騒がしい。 これらの音を誰に聞かせようとも届かない、 君の右耳に伝達する事も不可能で、 極めて

          左耳の孤独

          翼を持つ脳

          良い曲は いつまででも聴いている。 その一枚の盤だけを 何ヶ月も何年も聴き続けることもある。 今もまた飽くことなく 繰り返し繰り返し聴いている。 それは祈りのような曲で 回転と共に巻き上がる上昇気流は 脳内の意識をこの場所から引き剥がしてくれる。 ぐるぐる回転させながら そのうちに 何か祈りに届くような作品が作りたくなって、 導かれるように 形作る。 2021.11.09 DANPEN

          翼を持つ脳

          耳の中の回転音について

          ブルンブルンブルンブルン・・・・・・ 耳の奥で何かが廻っている。 脈拍数とほぼ同回転で 規則的にプロペラが廻るように、 鼓膜の向こう側の、限りなくすぐ傍で。 心音より勝るその音は何かの回転音なのか? 鼓膜の向こう側では 渦巻き状の機械的部位が存在を誇示している。 必要な風を起こす為のプロペラ音、 空洞の中で旋回する羽音、 脈拍と回転の同期、 外界音を掻き消してしまうほどの此の存在を 誰かに聞かせたくて 虫籠みたいに捕まえて、 木箱に回転音の断片を

          耳の中の回転音について

          嘘の欠片

          あの人の言葉は 嘘の塊だなんて思っていた訳ではなく、 溜息をつくように、 吐く息の中に混じっていたのが 嘘の欠片だっただけのはなし。 そうして気付かない間に 不純物として吐き出された嘘は 口先に一瞬浮かび上がって 小さな飛沫みたいに飛んで来た。 些細なそれは 振り払えば何も感じずに地面に落ちて 嘘でもなんでもない気体となって 蒸発していくはずのものだったのかもしれない。 だけど僕にはその飛沫が粘着性を伴って絡みついて 振り解こうにもどうにもならなく

          嘘の欠片

          剥離する心

          無条件で人を信じられたあとには しばらく幸福感に包まれるのに ある日突然 その幸せや温もりに嫌悪を抱き 絶望や虚しさだけが取り残される それは些細な事 小さな約束が果たされなかった時 繰り返す失望が これ以上無いくらいの 深い深い穴に変わり 遠く遠く離れた距離が加速する 出来る事ならまた信じてみたかった 1度目はダメでも2度目、3度目と また真新しい気持ちで向かい合えたら 良かったのかもしれない でももう重ねられない 失望の沼からは這い上がれそ

          剥離する心

          allergy to pollen

          黄色い粒子が四方八方から向かってくる。 反撃する余地もなく 目から鼻から悲鳴をあげて完全敗北。 嗚呼、かゆい、 嗚呼、ぼんやりだ、 嗚呼、成す術もなく早々に降参です。 結膜炎をお供に視界不良です。 2021.03.01 DANPEN

          allergy to pollen

          視界

          目が無いのに ものすごくよく見えていて、 瞬きもしない。 2つの空洞は 電気信号も発せず、 実像は掴めない。 小さな脳みそさえあれば 虚像は見えるだろうか? 捲れ上がった瞼は 貼り付いて 元には戻らない。 痛いのか? 痛く無いのか、 何だか楽しそうに 空を仰いでいる。 2021.02.21 DANPEN

          海の中に星を見る

          青い透明な液体の向こうに 足を踏み入れるのは少し怖くなるような 深く暗い世界が広がっていて そこに延ばした足先だけが 透明な液体と濃い暗がりの境界線を越えていく それはまるで成層圏を抜けていく瞬間のような この世界であり 隔てた向こう側の世界の様でもある その証拠に 星屑が散らばるように ペンタグラムが其処彼処に顔を出している ✴︎ 向こう側の世界もまた 終わりなく 続きがきっとある 海底は終わりではない 2021.02.14 DANPEN

          海の中に星を見る

          曜変天目の銀河

          それまで知らなかった陶芸の世界で 初めて天目茶碗というものを目にした時 心は既に銀河を漂うように 一瞬にして遥か上空を突き抜け宇宙へ飛んだ。 その青や白や狭間の緑、 まさに宇宙色の濃紺、 溶け合うような色という色が今まで目にした色の概念を超えた衝撃で迫ってきた。 触れたことのない世界のその果てしない色は 私の心を掴んで離さない。 いつか自分の掌の中で見つけてみたい。 2021.2.7 DANPEN

          曜変天目の銀河

          隧道

          いつからこの長い道のりを歩いて来たのか 記憶を辿ってみる。 出発点は何処だったか、 きっかけは何だったか、 遠い記憶の向こう側に チカチカした赤黒い始まりが蠢いているような 微かにそんなものを背にして 途方もなく歩いていたような、 出口が見える訳でもなく 近づく訳でもなく ただ終わりのない空洞が続く ずっと同じ場所にいるようだ。 そんな途方もない道中だった気がした それが当たり前になりかけていた頃、 見えないはずの向こう側から 心地良い風が吹いた

          この世界に出口があるとするなら、 それは きっと 夜の帳が降りた頃 ぽっかり浮かぶ あの光の中だろう。 手を伸ばしても 梯子をかけても 辿り着かない遥か上空に 煌々と誘うあの光の扉が きっと此処ではない何処かへの入り口であり この場所からの出口だと ただ ぼんやりと しかし はっきりとした確信で 心の片隅に置いている。 非常階段の途切れたその先に 行ける術があるとするなら 迷わず駆け上がるだろう。 手招きなど誰もしないその向こう側へ 自らの好奇

          耳についての事項

          (作品のモチーフとしても時折登場する耳) 心地良い音 も 騒音 も 無意識に取り込んでしまう。 幾度となく繰り返された音という名の振動は 光となって 脳へ 小石が響いて 心に届く 耳の造形は美しく面白い 人間が唯一持つ羽根のようでもある 目を閉じて 取り込んだ風音だけで 空を飛んだような気にもなる ✴︎ 外界の音を集約するだけの器官が 時々、体内の音まで拾い集める事があるが 数年前から耳の中だけに響く プロペラのようなモーターの回転音が聞こえてい

          耳についての事項