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隧道

いつからこの長い道のりを歩いて来たのか

記憶を辿ってみる。

出発点は何処だったか、

きっかけは何だったか、

遠い記憶の向こう側に

チカチカした赤黒い始まりが蠢いているような

微かにそんなものを背にして

途方もなく歩いていたような、

出口が見える訳でもなく

近づく訳でもなく

ただ終わりのない空洞が続く


ずっと同じ場所にいるようだ。

そんな途方もない道中だった気がした

それが当たり前になりかけていた頃、

見えないはずの向こう側から

心地良い風が吹いた。

盲目の私に春風が出口を教えてくれたようだった

孤独な道のりでも

風を送ってくれる誰がいる

もう少し、あと少し

2021.1.28.

DANPEN


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