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#1 佐藤まりん(chuLa)を語る

佐藤まりん。chuLaのお砂糖パープル担当。

佐藤まりん

まりんは2024年3月12日に開催される日本武道館でのワンマンライブをもってchuLaを卒業する。芸能界を引退することになれば私たちが彼女に会える機会は二度と訪れないかもしれない。

アイドルの卒業や引退自体はよくあることだが、いま彼女に少しでも関心がある人にハッキリと伝えたい。早くまりんに会いに行って欲しい。彼女はきっと待っている。

まりんは私の推しメンではない。そしてにわかオタクの私の言葉には説得力がないことなど承知で言おう。まりんはアイドル界隈でも稀有な存在である。

彼女のアイドルとしての魅力は枚挙にいとまがない。端正なルックス、透明感のある声、抜群の歌唱力、柔軟な表現力、洗練されたダンス、豊かな表情、溢れるサービス精神…。chuLaを知る人なら、彼女が大黒柱であり屋台骨であることに異論を唱える者はいないだろう。しかし彼女の存在の大きさはそれだけでは語ることができない。

まりんにはアイドル、ファン、そしてエンターテインメントに対する愛が溢れている。誰よりも広く、高く、深く、近いところで対象を見ている。彼女は自分がファンに愛されることより、chuLaのファンを愛することを大切にしている。少なくとも私の目にはそう見える。

彼女はファンに媚びることがない。実際に彼女に接したことがある人ならこの言葉の本当の意味が分かると思う。彼女はいつのときも、それ以上でもそれ以下でもない等身大の佐藤まりんなのだ。

まりんは表裏のない人間なので、ある意味では中の人そのものである。彼女と言葉を交わす瞬間はアイドルとファンとの関係性を超えているといっていいのかもしれない。

私がまりんと初めて挨拶を交わしたとき「私には遠慮も謙遜もいらないよ」という無言のメッセージを感じとった。直感に従いフレンドリーに話しかけるとまりんはスッと私の懐に入り込み、ごく自然に会話が始まった。初対面にもかかわらず相手をいじって楽しませることも忘れないのがいかにもまりんらしい。最後は満面の笑みで送り出してくれた。ほんの束の間だが実に濃密な時間だった。

私は関西在住で遠征をほとんどしないため、chuLaのライブに行く頻度は月に1~2回である。数週間や数ヶ月会えないことはざらで、さらに推しメンでなければ毎回会うことはない。2度目にまりんに会ったのは3週間後だった。

会いに行くことを当日に決めたため事前には何も伝えていなかったのだが、まりんは私に会うなり「聞きたかったんだけど…」と前回の話の続きのような言葉を切り出してきた。私は印象深い人間でもなければ特別目立とうとしていたわけでもないので、既に認知されていることに驚きを隠せなかった。

きっと、まりんと過ごしてきた時間が長いファンは彼女との間に相当に強い絆があるのだろう。そしてまりんと交流することで人生が豊かになった人がたくさんいるのではと想像する。まりんの言葉には、まるで家族や親友と会話している時のような優しさや思いやりを感じる。そのくらいまりんの愛はストレートで純粋なのだ。

まりんのことを知れば知るほど、その力の凄さに驚かされる。コミュ力が非常に高く、相手の言葉に対する反応が鋭い。頭の回転は速すぎるくらい速い。お笑い芸人であれば「思ったことを口に出す前に何パターンか思い浮かべてから一番受けそうな言葉を使え」とアドバイスしたくなるくらいのトークセンスの持ち主だ。一方で学力テストやなぞなぞが苦手なところが面白い。理屈じゃなく感覚を信じて動く人なのだろう。何でもできそうだけど実際は完全無欠ではない。そんな不完全さもまりんの魅力を引き立てている。

まりんはよく荒っぽい言動をすることがあるがそれは中の人に憑依したキャラクターによるおふざけの延長線であり、おそらく照れ隠しでもある。常に周囲を楽しませることを優先するマインドは彼女の愛そのものだ。私はステージで特典会でスタジオでのびのびとアイドルを愉しんでいるまりんを見るのが大好きだ。勇ましく振る舞っている姿が実に可愛いのである。

chuLaはアイドルユニットの中でもメンバー同士の仲が良さそうに見える。多忙ゆえにメンバーは毎日が試練の連続だと思うが、それでもギスギスした雰囲気を感じないのはまりんの愛がメンバーとスタッフに沁みわたり、結束できているからだろう。単なる「グループ」ではなくスタッフも含めた「チーム」として活動できていることはchuLaにとって重要なポイントだ。弱肉強食、群雄割拠のアイドル業界にあってこのような素晴らしいユニットは少ないと思う。

だからこそchuLaは夢だった武道館ワンマン公演を目標に掲げ、尽力し、実現できるレベルにまで辿り着けたのだと思う。その原動力となったのはチームを包み込んでいる労いと愛であり、まりんの信念そのものだ。

武道館をコンサートホールとして利用したい場合、その審査条件や日程設定の厳しさから考えても、有名プロミュージシャンに比べて興行規模が小さいライブアイドルが単体で公演を開催することがそもそも困難である。だからこそ3月のワンマンライブの決定には大きな意義があるのだ。そのステージを最後にまりんが去ることはとても寂しいが、彼女の強い信念がチームを牽引し、私たちにかけがえのない宝物を遺してくれたのは間違いない。

不世出のアイドル・佐藤まりん。彼女に会える時間はまだ残されている。迷っているなら会いに行って欲しい。その先の道はきっと彼女が導いてくれるから。

☆chuLaは2024年3月をもってメンバー8名全員が卒業し、現体制を終了することが発表されました

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