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やる気スイッチについての考察

ここ数ヶ月の私は、ものすごく不調だった。といっても、別に体調を崩しているとかではなくて、なんというかこう、何事にもやる気が湧かないというか、感情の起伏がほとんど無くなったみたいな状態が続いていた。

これがけっこう苦しくて、原因もわからなければ、対処法もわからない。とにかくぼーっとしてしまって、途端にいろんなことがくだらなく感じてくる。人生とはお金を稼いでは使ってを繰り返して、寿命を消化していくだけの日々、これに何の意味があるねん、と昔の文豪みたいなことを考えてしまう時もある。その勢いですごめの小説が一つや二つ生まれてしまいそうになる。そして、まいど、その辺までくると私は、永沢くんが自宅が家事になった時みたいな顔になっている。

私は他人に合わせすぎるきらいがある。自覚はちゃんとある。折に触れてツノを出してくるエゴみたいなものを、うまく交渉してやりこめる術を知っている。思えば物心ついた時からずっとそうやって生きてきた気がしないでもない。そして、そのせいで自分の中の判断基準とか価値水準みたいなものが、ワケが分からなくなってきて、自分の現在地を見失うことがよくある。それが加熱しすぎると、定期的にこんな症状になることがあるのだ。そんな風に分析できてきたのも実はつい最近の話で、それまではわけもわからないまま、こんなげんなりした気分に襲われることが年に一回くらいあった。

ただ、いつも特に手当てをするわけでもなくほったらかしていたし、適当に友達と酒を浴びていれば時間が解決してくれていたので、これは別にそんなに深刻に捉えてもらうような話でもない。

ただ今回は、これもいい機会と思い、能動的に解決してみようと試みた。どこかで同じような目に合っている人がいるかもしれないと思ったからだ。そういう人の役に立てばと思い、文字に起こして共有してみようと思った次第である。

この人そんな真面目な話もできるんだなぁと、定期的に示しておかなければ、ただのおふざけおじさんになってしまうからな、という打算的な意図もある。

さて、結果から述べると、動物的に正しいであろう生活リズムに、力ずくで寄せていけば、とりあえず体は元気になることがわかってきた。そうしてまず身体的に無理やりに健やかになること。そうすることで、勝手にメンタル的な部分はほとんど自動的に上方修正されていくので、あとはそれをできるだけ実生活とバランスをとりながら維持していけばなんとなくハツラツとした状態をキープしていけることがわかってきた。

この目指しているハツラツ感を説明するとすればなんだろう。例えば木曜日の夕方くらいの気分といった感じか。金曜の夜まではいかないが、木曜日の夕方くらいの、いい意味で軽い気持ちで毎日が過ぎていく。そんな感じだ。

要するに、人間は所詮動物であるし、自然の摂理に従っておけば、なるほど健全に生きていけるものである。

では「動物的に〜」とはなんぞや、という話になると思うので、以下、経験談を項目ごとに述べていくとする。

①睡眠時間

睡眠は生活において重要なファクターである。そんなことを言うと「いやいや自分、それあれやで、『おにぎりはお米からできてるねんで』って言うてるようなもんやで。わかりきったあるねん」と、大阪の南の方にすむ人たちからキツめのツッコミをあびたりしそうだが、口で言うほど人はこの意味をわかっていないと感じる。

睡眠時間も長けりゃいいわけでもないし、ただ単に時間を確保できていればいいというわけでもない。同じくらい"質"も重要なのである。現代社会で普通に生きていると、これがけっこう睡眠の質を阻害するファクターに溢れているので、それなりに意識的に取り組む必要があるのがこの睡眠の質の問題だ。

ご飯は寝る2時間くらい前には済ませた方がいいし、風呂も1時間前には済ませたほうがいいし、なんなら22時には布団に入っている方がいい。そんなことを言うと「自分それあれやで、仕事しとったらそない自由に時間の調節きかんのやわ」と、大阪の南の方の変なタワーがそびえたつ地域の人たちからキツめのツッコミをあびそうだが、まあそれも一理あるので、この辺は必ずしも守れなくてもいいと思う。ただ、経験上は、このあたりの時間間隔は守れればベターだ。なんなら、夕食は時間がなければもう食べないほうがいいくらいのレベルだ。その食欲は翌朝に回した方がずいぶんと有意義である。

しかし、ひとつだけ、これだけは守れると睡眠の質が爆裂に上がるファクターを発見した。

ブルーライトである。

スマホ・PCから発せられる、あの忌々しき光線である。

寝る1時間前くらいから、ブルーライトをシャットアウトしてみる。すると、めっきりわかるのだが、眠りのつき方が全然違う。どのくらい違うかと言うと、幼い頃にお習字を習っていた子とそうじゃない子のその後の人生くらい違う。そんなに違うの?と思う人は子供に習字習わせてみてはどうだろう。(そっち)

あとこれも意外だったのが、夜にタンパク質を取ること。もうプロテインを飲むとかでいい。運動してなくてもいい。プロテインを飲んでみてほしい。あんま美味しくないけど。苦手じゃなければ牛乳とかでもいいんだろうか。知らんけど。

現代人は特に意識していなければ、タンパク質が不足していると考えてよいと思う。そんでもって、タンパク質が不足すると睡眠の質が低下するらしいのだ。タンパク質を構成するアミノ酸のうちのGABAだかなんだかいう成分が、いい感じに、こう、作用してくれるらしい。この辺の科学的なエビデンスが知りたい人はぜひググってください。

リモコンの物理的な仕組みを知らなくても、8を押せば8chが見れるということを知っておけばいいのと一緒で、タンパク質とっときゃ調子が良くなるということだけ頭に置いておいてもらえれば十分だと思う。

②運動

これもかなりいわずもがな的な話ではあるが、運動は相当大事だ。私は思い立って仕事終わりにランニングと簡単な筋トレを始めた。実は、筋トレは今年の年初から習慣としていたのだが、いろんな条件が重なって中断してしまっていた。のを、再開した。強引に。

トレーニングの内容や、負荷の度合いはきっとなんでもいい(知らんけど)。とりあえず、少なくともかるく汗ばむ程度には心拍数を上げてやることが大事で、これは二つの面から効果がある。
一つは、圧倒的に寝つきがよくなること。これも当たり前の話で、体を疲れさせたらそらぐっすり眠れまんがな、という話だ。
二つ目は、ストレス発散。おそらく、テストステロンがどうとかこうとか、ホルモン的なメカニズムで、きっと科学的な根拠があるはずだ。このあたりは是非「筋トレが最強のソリューションである(Testosterone, 文響社」を参照されたい。

ただ、運動するのはいかんせんしんどいし、色々めんどくさい上に、めんどくさいので、なかなか始めるのも難しいし、初めても継続するのが難しい。でも継続しないと、あまり効果は感じにくいので、極力は継続されたい。

そこで悩んだ上にたどり着いたのが、他人に宣言すること。SNSで言ってしまうのが一番いい。「わたし◯◯時から△△しますねん」それだけでいい。あと運動中はできるだけ音楽を聴いた方がいい。気が紛れるから。

そんな感じで初めの方は頑張って、二週間くらい続けていれば、そのうちやらない方が気持ち悪くなってくるので自然と習慣になっていく。ヒトはかくも習慣動物なのである。

③学習

資格を取ろうとかそういう話ではなくて、新しいことを1日1個でいいので学ぶと、精神衛生上も結構よさそうでっせ、という話である。

これは単純に自分が興味あることでいいと思う。そんな経済とか、歴史とか、無理に高尚な学問の扉をあえて叩く必要もないと思う。ただ、能動的に何か疑問を持ち、能動的に調べ、「へぇ〜」とか「ふーん」となる。これだけでいいと思うし、一方でこれが、ばちくそ重要なファクターであると感じる。

一番簡単な方法は毎日数ページずつでも本を読むことだと思う。それが面倒なら、ネットでも何でも使って調べるだけでいいとおもう。できれば仕事に直接関係しないことの方がお勧めである。なぜなら、仕事に関することを調べてしまうと、「うっ」となってしまうからだ(?)

かと言って、漫画を読んだり、YouTubeを聞き流したりするのはまた違う。FunnyではなくInteresting的な部分を刺激してやるのが、ここではキモである。

これもめちゃくちゃ体感的な話で申し訳ないが、新しいことを学び、自らが認識する世界が一ミリでも広がる・変化があると、人生に辟易とした気分が、少しだが確実に抜けてくる。世の中にうんざりするようなあの気分が、ぐんと低下する。考えてみればそらそうだという話で、自分の見えている世界に疲弊しているワケだから、自分の見えている世界を広げてやるしかないのである。ナショナルジオグラフィックのチャンネルを見たりするのもけっこういい。

わたしの場合は、ギターを始めたのと、グラフィックデザイン的な本を少し読み始めた。私の場合、もともとけっこう本を読む方だったのでこんなこと実は屁でもない。しかし思い返せば、メンタル的に不調なときは読書の習慣が生活から脱落していたのだ。

日本人にとって、勉強とか学習とか聞くと、ちょっとうんざりしたイメージがついて回ると思うのだが、それは学校の世界の話であって、人間は本来的に何か新しいことを吸収するのが割と好きな方の動物なのだと思う。

ただ、ちょっとカタい話をすると、現代においては発達しすぎたSNSのせいで、脳みそが喜ぶタイプの刺激がものすごく手軽に手に入ってしまう。食事に例えるなら、小腹が空くたびに、ちょっとずつおやつを食べてしまっているせいで、肝心なご飯が食べられへん、という状態である。故に、知的好奇心を満たすような作業が億劫になってしまう。その気持ちは相当にわかる。

何の通知も来てないのにSNSを開いてしまうのがそれである。この辺のことに興味がある方は、あの本を読まれるといいと思う、あの、ほら、あれ。ごめん、タイトル忘れた。

ただ結局そうすると満腹中枢だけ刺激されて、胃には何も入っていないので、変な時間にしんどくなってくる。それと同じで、好奇心が刺激された感覚だけあって、実際は自分の中になにも積み上がっていないから、後になって「やば、今日一日なにしてたんやろ」となる。これが、形だけでもなにかタメになるようなことを些細なことでも身につけておくと、何かちょっと、成し遂げた感みたいなものが得られて、それはそれでいい。

④小さな約束を守る

これはもしかしたらあまり重要なことではないかもしれない。でも個人的にはけっこう効果があった気がするので、追記しておく。

要するに、前日に「明日あれしよ」と、未来の自分に約束を課す。そしてそれをちゃんと実行する。それだけである。

ちょっとこれは、マインドセットというかそういう胡散臭い話に聞こえてしまいそうなのであまり掘り下げたくないのだが、これが意外に有益だったんです。ほんとに。

察するに、たぶん、自己肯定感の醸成みたいなことだと思う。過剰な有能感はいらないと思うが、自己肯定感(「おれ/わたし、なかなかええやん」という気持ち)は、ハツラツとした毎日にしていく上で不可欠なファクターであるし、乗ってくると、「新しいことに挑戦してみようかな」とか、ついつい先延ばしにしてしまいそうなことも「さっさとやってしまおう」となるような敏捷性につながってくる。

自分の体を車に例えるなら、食事と睡眠がガソリンだとしたら、運動が車体の整備で、自己肯定感のメンテナンスはタイヤのチェックみたいなものだと思う。タイヤの空気圧とかタイヤのミゾとかすり減っててもあまり気付きにくいし、そのままでも普通に走れるけど、事故のリスクが幾分か上がる。逆に、きちんとメンテナンスして、万全な状態をキープしておいてやると、燃費が随分ちがう。これ、あんまり伝わらないかもしれないな。

そんな自己肯定感に栄養をやって、シャキッとさせる方法は、たぶん人から褒めてもらったり、努力を認めてもらったりすると一番いいのだと思う。しかし、その辺はこちらでどうかできる話ではないので、自分で養う方法としては、自分との些細な約束を守ることを積み重ねる。これでなんとか間に合わせることはできそうだと感じている。

明日は◯◯時に起きて朝ごはんをちゃんと食べる。とか、それこそ、今日は寝る1時間前からスマホは見ない、とか、そういうことでいいと思う。

わたしは今週金曜日まで酒を飲まないことにする。

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以上、大きく分けて4つのことを少し気にかけてやってほしいのである。生活リズムを半ば強引に健康な方に持っていってやると、あとは勝手に良好なサイクルにはまっていって、勝手にハツラツとしてくる。人体は割と都合の良いようにできいるもんである。

人は25歳を過ぎたあたりから、突然、人生について考え、仕事について思い直し、生きるとは何かみたいなことを考えてしまいがちだと思う。私はそれはむしろ健全なことだと思うし、そうやって、自分の生活を構成する要素を棚卸しして、点検していく作業は今後の人生においても定期的にやってやるべきだと思う。

そんなことは、蓋をして、見ないようにして、場当たり的な娯楽に時間やお金を費やすのも間違いではないと思う。でもそれはきっと先延ばしにしているだけで、ある日ふと「あれ?」となる可能性を常に孕んでいると思う。逆に先延ばしにする期間が長くなればなるほど、それは自分の中で膨張していってしまうと思うので、ぶつかってきたときのリカバリーが大変そうだ。それを思うと、むしろ短いスパンで定期的にメンテナンスしてやることの方が大事だと思う。

ただ、残酷なことに、20代そこそこの人間は、社会とか人生の正体を受け止め切れるほど頑丈な心身を持ち合わせてはいないとも思う。しかし、それでもそういうものを平気で突きつけてくるのがこの社会だ。むちゃくちゃ生きづらいことこの上ない。

そんなときの対抗手段は探せば色々あるはずで、その中の一つとして、上に述べたわたしの経験が生かされたなら、幸いである。

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