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クラスがしんどい。 その2 教育ではなく、人づきあいをしよう。

 こんにちは。自己紹介は「その1」でやったのでそちらをご覧ください。
 前回の復習ですが、最初の技術を覚えていますか?
 はいそうです、
『ヤバくなったら、逃げるが勝ち。』
 です。自分より大事なものなんてありません。ヤバいなと思ったら、後先考えずにクラスから距離を取る。教師でもしんどいときは学校を休む。これがまず大事です。休みを取るのも大切な技術のひとつなんです。
 学校の先生って真面目です。ヤバいなと思っても、自分よりも周りを優先しがち。だからこそバーンアウトする若い先生が後を絶たないのです。

 これからの話は『ヤバくなったら、逃げるが勝ち。』を前提に話をします。なので絶対無理をしない。約束ですよ。

 さて、今回の小手先の技術を一言で言えば、

教育ではなく、人づきあいをしよう。

ということです。今、あなたがクラスしんどいなあと思いはじめた原因は、おそらくほとんどが人間関係によるものです。そしてクラスの中でいえば、あなたと「気になる生徒」との人間関係です。
 ちょっと嫌かもしれませんが、今クラスでもっともしんどさの原因になっている「気になる生徒」のことを思い出してください。って言わなくても、きっと四六時中その生徒のことが頭から離れないかもしれませんね。ごめんなさい。言うことを聞かない。反発ばかり。授業の進行の邪魔をする生徒です。
 そして、想像してみてください。
『その生徒と、一緒に帰ることができますか?』
『その生徒と、喫茶店で数時間会話することができますか?』
 おい、生徒とそんなことするな!ふざけるな!と思ったかもしれませんが、あくまで想像です。絶対にそんなことしないでください笑
 でも、たぶんこう思うはずです。
「絶対にあんなやつと帰りたくもない。」
「喫茶店に行ったって1分と会話がもたない。共通の話題などひとつもない。」
 私が言いたいのは、多分きっとその生徒も同じことを思うはず、ということです。あなたと話したくもないし、話すことなど何一つないと。

 私たちは教師で、生徒は教育の対象です。もちろん友人と同様に接するものではありません。だけど、です。嫌いな人とふたりでお茶ができないのと同じように、嫌いな人の話など誰も聞きたいと思わないのです。友達でもない会話できない相手に、ましてや何かを教えるなんて、かなりハードルの高いことをあなたはやろうとしているわけです。
 そして、気になる生徒とは普段一切会話しないから、あなたとは授業やホームルームでしか話をしない関係になっているはずです。言うことなど聞くはずもありません。だってそこで起きる関係は、「ちゃんと課題をやりなさい。」「ちゃんと話を聞きなさい。」という様なあなた指示と、それに反発する生徒の言動のやりとりしかありません。

 そこであなたがすべき事は教育ではなく、まず人づきあいなんです。生徒と人づきあいをするために、まずは何をすべきでしょうか?

 かく言う私も、生徒との人づきあいで今でも悩みます。どれだけ関わりをもったとしても、学校だけの関係です。関係性は日々揺れ動きます。昨日話ができていた生徒が何かのきっかけで離れていったり、急に生徒から近づいてきたり。まあ、大人同士でもそんなことはよくあることです。
 だから、普段生徒と接していて、あれ?何か関係性が変わったな。と思った時にやることをいくつか。

  • 休み時間の教室や、教室移動の途中、ホームルームの前後などで、その生徒を含めた数名で雑談する。(いきなり一対一はお互いしんどい)

  • 最近気になっているアニメ、漫画、ゲーム、スポーツ、食べ物など、話題は授業以外ならなんでもよい。とにかくその生徒のことを知ろうとする。関心をもつ。

  • 漫画や食べ物など、その生徒が興味をもっていて、自分でも体験できるものは買ってみてやってみる。意外におもしろいものがあってハマることも。

  • 自分が体験したことの感想を言う。授業の冒頭でちょっと紹介する。「最近〇〇っていうのを知って、やってみたのよ!そしたら・・・。」(その生徒の名前は出さない方がよい)

  • 職員室でその生徒の話題を出し、情報を集める。同じ生徒でも全然違う面が見えたりする。「〇〇さんって、〇〇が好きみたいでー」と話をすると、周りの教員は意外にそのことを知らない。(知ってる教員はたぶんできるやつです)

 こうやって書いてみると、ただの人づきあいなんだなと改めて実感します。「そんなんでうまくいくのか?」と思うかもしれません。もちろんこれだけでうまくはいきません。でも実際、人間関係の基本、相手の好きなものや嫌いなものを知る、興味を共有する、これだけのことすらできていないまま教育のことを語ろうとするから、事態をかえって複雑にしているのではないでしょうか。
 考えてみてください。職員室の教員を眺めても、話しやすい人と話しづらい人がいるはずです。それって関係性の濃淡で、話しやすい人とは仕事以外の話もたくさんしているはずです。
 これだけシンプルなことなのに、教室に入ると分からなくなるのは、やっぱり教師という立場が自分をそうさせているのかなあ、と思います。
 教師としてではなく、少しだけ人として生徒と関わってみてはいかがでしょうか。


 

 



 


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