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【社内報の作り方】デザイン先割ってなんだ?

 社内報で最も悩ましいのが、誌面デザインです。企画や原稿のチェックはうまくいくのにどうしてだろうと悩む発注担当者も少なくないでしょう。それはあることが原因だから。今回はデザインコントロールの方法を紹介します。

器を決めずに料理を作る?

 クリエイティブは料理と同じ。レシピが企画、買出しが取材、調理が編集、盛り付けがデザインです。とにかく美味しい!は大前提ですが、まずそうに盛り付けられてはたまりません。しかしセンスがあるのにいつもイマイチな盛り付けになるのは、おそらく手順が違うからです。
 盛り付けは確かに最後にします。でも器も成り行きで最後に決めていませんか?実はこれが失敗のもと。作りたいだけ作ってもお皿に乗り切らず詰め込んだり、いつもと一緒の大皿に盛ってみたり。本来、美しさにこだわるならお皿はレシピが決まった段階で決めるべきなのです。

器が決まれば、撮影が楽

 お皿、つまりデザインラフを先に作ることを「先割」と呼びます。企画から連想する雑誌のサンプルを探し、レイアウトをダミーを当ててつくります。するとデザイナーはさまざまな制約から自由になるので、良いデザインが生まれるのです。利点はまだあり、器が決まれば、取材時の撮影も撮るべきもの、撮らなくよいもの、構図などが決められます。効率的で且つクオリティも上がります。編集時は、この器に合わせて文字量をコントロールしなくてはいけませんが、無理ではないでしょう。

先割しない場合って?

 ただ世の中、先割しない記事もあります。それは撮れ高重視で、また予測できないような場合です。この場合、取材後に原稿が上がってから、デザインレイアウトを最後に決めます。但し、先割はしないものの、エディトリアルフォーマットは決まっていることと、見た目のデザインに関係なく読みたくなる見出し、そして読み応えある中身がないと成立しません。新聞や週刊誌がこの作り方です。フォーマット無しのフリーデザインで撮れ高重視だと、めちゃくちゃ上手なデザイナーでも、難易度がかなり高いのです。

 社内報では先割せず出来上がった原稿ありきでデザインしている=めちゃくちゃ難しい作り方をしている場合が圧倒的です。しかしそれでクオリティを上げるのは至難の業です。ニュース記事の先割は難しいですが、特集などの企画記事は是非先割を試してください。

今回の一冊

原研哉著

原研哉さんほどグラフィックデザインを考えている人はいるでしょうか。それは東京オリンピックのデザインコンペの際に発表された応募作品を見ても、実感させられます。さて本書。デザインは余白が大事と言われます。が、原さんに語られれば、それはまるで哲学のよう。デザインに関わらない人にも読んで欲しい一冊です。

原研哉

Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。