日本の国家安全保障90年代 76


#多様性を考える

国家安全保障 マス・メディアにおける論議 1990年代


オピニオン・リーダーたちの安全保障論 1990年代



細川護熙・元首相の主張



細川護熙・元首相は

 1998年(平成10年)の「FOREIGN AFFAIRS」3/4月号

「ARE U.S.TROOPS IN JAPAN NEEDED? 米軍の日本駐留は本当に必要か」

において、

北朝鮮、中国の脅威は、

日本、台湾、韓国にとって軍事的優位をうばわれるものではないとし、

実質的に防衛を担っているのは自衛隊で、

アメリカ軍ではないと主張、

アメリカ軍基地撤退を望む国民の声からも、

アメリカ軍は撤退し、同盟関係は続けるべき

主張している。




 日本、台湾、韓国の防衛力は、中国、北朝鮮の強大な軍事力の前には脆弱で、すべての安全保障の事象においてアメリカ軍との協力が必要なのは自明の理である。

日本の防衛は自衛隊だけが担っているのではなく、アメリカ軍との協力によって成立している。

安易なアメリカ軍の撤退は東アジアに動揺を生むだけである。

また、基地撤退を求めながら同盟の維持を求めるのは、多分にアメリカに甘えた主張である。




 細川護熙政権は

平成6年度(1994年)予算の

一般歳出を前年度比伸び率2,3%増加としたが、

防衛費の伸び率は0,855%増加におさえ、

緊迫する東アジア情勢、日本に向けてのあからさまな軍事的示威活動の存在にもかかわらず軍縮傾向政策を鮮明にした。




細川首相は

「これからは軍事という時代ではない」

と常々言っていることが報道された。





 細川首相の私的機関である防衛問題懇談会では、

防衛には素人のアサヒビール会長の樋口廣太郎氏を座長に、政治評論をする秩父セメント会長の諸井文氏を座長代理に任命し、委員はリベラル派の青山学院大学教授の渡辺昭夫氏、反軍・軍縮・平和、融和妥協外交と防衛省昇格反対を主張する上智大学教授の猪口邦子氏、外務事務次官を勤めた経済団体同友会顧問の大河原良雄氏、防衛力増強に反対し、トン制限など防衛政策に規制を強いてきた大蔵省の元・財務官の行天豊雄氏(東京銀行顧問)、日本電信電話株式会社(NTT)特別参与で元・統合幕僚会議議長の佐久間一氏、リベラル派の東京海上火災顧問で元・防衛事務次官の西広整輝氏、神戸製鋼所副会長で元・通商産業事務次官の福川伸次氏が任命された。

安全保障、防衛の専門家ではなく、関心も低く、防衛力整備に否定的なメンバーが多く選んだ。




アメリカ軍の撤退を主張し、

防衛費も削減傾向、

軍事を嫌い

防衛力整備に否定的で自衛隊縮小政策

を考えた細川護熙・元首相。



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