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妄想ショートショート: 価値創造のための妄想物語

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独自の商品やサービス企画創出、将来価値の探索のために 妄想力、空想力でショートショートを紡いでいきます。 呼吸をするように、日常の体験インプットから独創アウトプットを生み出す思考…
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2023年10月の記事一覧

黒い穴通勤 : 妄想ショートショート036

黒い穴通勤 : 妄想ショートショート036

黒い穴(ブラックホール)通勤

遠い遠い、まだ誰も知らない未来のお話しです。
宇宙のあちこちに点在する星々の間を移動することは、この時代の当たり前でした。そして、ある小さな星の都市、グラクトポリスに住むジロウも星間通勤をしていました。

ジロウは、毎朝の通勤の混雑に悩まされていました。ある日、彼は重要なプレゼンテーションを担当することになり、その資料を持って出勤するはずでした。しかし、家を出る際に

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宇宙ステーション歯磨き : 妄想ショートショート035

宇宙ステーション歯磨き : 妄想ショートショート035

宇宙ステーション歯磨き

リコは毎朝と毎晩、宇宙ステーション「ネオガイア」での歯磨きの時間を楽しみにしていた。彼が使用するのは、地球製の歯ブラシや歯磨き粉ではなく、特別に宇宙環境向けに設計された「歯磨きキャプセル」。

これは、小さな透明なキャプセルの中に歯磨き粉と口すすぎ液が組み合わさったもので、リコはそれを口に入れて軽く噛むだけで、キャプセルの中の液体が口の中で広がり始める。液体はすぐに泡立ち

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無重力料理 : 妄想ショートショート034

無重力料理 : 妄想ショートショート034

無重力料理

宇宙ステーション「アルファ・オリオン」上で、シェフのエミリアは特別な挑戦に取り組んでいた。彼女の目的は、無重力環境での究極の料理を作ること。多くのシェフがこの挑戦を試みたが、食材が浮遊する中での調理は容易ではなかった。

エミリアは特製の無重力調理器具を使用し、浮遊する野菜や肉を丁寧に捉えカットした。彼女の技術は、まるでバレエダンサーのように優雅。浮遊する調味料の滴を、正確に料理の上

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再生の選択: 妄想ショートショート033

再生の選択: 妄想ショートショート033

再生の選択: ユウトとケンジとCovid-19

世界は未知のウイルスに恐れを感じていた。このウイルスは一時、感染力の強さとその猛威で「殺人ウイルス」とまで名付けられた。ニュースやSNSでの情報は日々更新され、感染者数や死亡者数が増えるたびに、人々の不安は頂点に達していった。街は静寂に包まれ、マスクをしない人の姿は皆無に等しかった。世界中が一種のパニックに陥っていた。

これがCovid-19の始

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共鳴のリンク : 妄想ショートショート032

共鳴のリンク : 妄想ショートショート032

共鳴のリンク

キャロラインは都会の中心で人気のヨガインストラクターだった。最先端のテクノロジーを取り入れた彼女のクラスは、都市の喧騒から逃れるためのオアシスとして知られていた。キャロラインが「リンク」を導入したのは、一つの偶然からだった。彼女がある展示会で、テクノロジーの最先端を体験するチャンスに恵まれたのだ。そこで目にした「リンク」は、彼女の教えるヨガとテクノロジーの融合の可能性を思い描かせる

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影のオペレーター : 妄想ショートショート031

影のオペレーター : 妄想ショートショート031

タイトル:「影のオペレーター」

深海の闇の中で、アバターロボットの「アルタイ」が一人、静かに作業を進めていた。彼の背中には強力なライトがついており、その光の中で奇妙な形のサンゴや小さな生物たちが泳いでいた。アルタイの全ての動きは、地上のコントロールセンターにいるオペレーター、ユウキによって制御されていた。

日常のルーチン作業に疲れたユウキは、コントロールセンターのモニターに映し出される深海の映

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交流の町・ネオライト : 妄想ショートショート030

交流の町・ネオライト : 妄想ショートショート030

交流の町・ネオライト

ネオライト市では、多くの家庭や施設にアバターロボットが1台はいるのが一般的であった。彼らはオーナーのもとで働き、家事や仕事のサポートをしていたが、それだけではなく、日常のコミュニケーションの一部としても存在していた。

ルナのオーナーは、カフェ「ムーンライト」のオーナー、アヤカ。彼女はルナを信頼しており、カフェの運営においても彼女の意見や提案を取り入れていた。二人はまるでビ

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静寂の守護者 : 妄想ショートショート029

静寂の守護者 : 妄想ショートショート029

静寂の守護者 : 自律型探索アバターロボット

星の降る夜、研究所のシャトルは惑星イクシオンへと降下した。その中には、アバターロボット・ゼノスが一台だけ乗っていた。イクシオンは未知の惑星であり、その危険な環境に人間は降り立てなかった。しかし、ゼノスはそれを恐れることなく、その土地の調査を行うために送り込まれた。

降下した瞬間から、ゼノスは自らのセンサーとアルゴリズムで環境を分析。彼の目には、人間

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最後の仲間 : 妄想ショートショート028

最後の仲間 : 妄想ショートショート028

「最後の仲間」

砂漠のど真ん中で、リナは古びたロボット、アイザックと対峙していた。彼らはこの荒廃した地球での最後の二人、正確に言えば、一人と一台だった。

「アイザック、君は何を思い出しているの?」リナは風に舞う髪を押さえながら問いかけた。

アイザックの青く輝く瞳がゆっくりとリナを見つめ返し、「君と初めて出会った日、リナ。君がまだ子供だった頃だ。」と返答した。

「私たち以外、何も残っていない

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モノセンス2 : 妄想ショートショート027

モノセンス2 : 妄想ショートショート027

モノセンス: 物の語る物語り

ニューヨークの繁華街にあるアートギャラリーで、特別展示が開催されていた。その名も「モノセンス・エクスペリエンス」。展示のニュースは、ひっそりとしたものだったが、それを体験した人々には驚きとともに受容れられた。

アメリカの古き良き時代のアンティークをモノセンスにかざすと、それらの物から様々な物語が語りかけてきた。50年前の古いギターは、60年代のフリーダムと愛の文化

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モノセンス : 妄想ショートショート026

モノセンス : 妄想ショートショート026

モノセンス : しゃべる古道具

小さな古道具屋「時のささやき」。ある日、店のドアがゆっくりと開き、謎めいた中年の男が入ってきた。彼は、手に持っていた小さなデバイスを健一に差し出しながら言った。「これは、モノセンス。物の心を読み取り、言葉にすることができる装置だ。」

健一は最初は信じがたいと感じたが、興味を抱き、男からそのデバイスを受け取った。男は特に代金を求めず、「これを正しく使うことで、多く

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無限の旅 : 妄想ショートショート025

無限の旅 : 妄想ショートショート025

無限の旅 : 宇宙時代のアイデンティティ

西暦2078年、かつて不可能とされていた宇宙旅行が、今では日常の一部となっていた。技術の進歩がこれを可能にし、人々は新しい星々に住むことで未知の冒険を楽しんでいた。技術の進歩の波は新しい時代を生み出し、星々はもはや遠くの光のきらめきではなく、それぞれが独自の物語を持つ目的地となっていた。

地球上の都市は無限の探求のための活気に溢れる発射台へと進化してい

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静かな楽園 : 妄想ショートショート024

静かな楽園 : 妄想ショートショート024

静かな楽園

西暦2078年、地球上の都市は静寂と平和に包まれていた。人々は遠隔で仕事をし、仮想リアリティでレジャーや文化的な暮らしを楽しんでいた。この静かで平和な世界での生活は、外出せずとも友人との交流や日常の散歩が可能であった。地球上の全ての人々が幸福で満足していた。

かつて人類は地球温暖化の予測を大きく見誤った。その教訓を胸に、新たな道を探求した。哲学者であり科学者のドクター・フェニックス

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逃走の軌跡 : 妄想ショートショート023

逃走の軌跡 : 妄想ショートショート023

逃走の軌跡 - アリアと移動体AI "ノマド"

西暦2078年。かつての緑豊かな地球は今や荒廃の地と化していた。環境汚染と資源の枯渇は、人々に定住の喜びを奪い、絶えず移動し続ける運命を与えていた。この厳しい世界で生き抜くため、人々は資源を求め、危機を避けるために日々移動を続けていた。

アリアは、この過酷な日常の中で仲間と共に移動を続ける若者の一人だった。彼らの移動を支えていたのは、高度に知能化

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