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幸田文『木』の藤のエピソード。お金を守ることで失うものがあって、でもその大きさに気がつかない。

幸田文『木』に出てくる藤のエピソードが良い。
この本全体の美しく自由な言葉遣いが良い。

子どもが縁日で藤を買ってほしいと言い、親としては値段に気が引けて違う植物を勧める。
それを知って父の幸田露伴は怒る。

一番の花を選んだなら確かな見る目をもっていたということなのになぜ応じてやらなかったのか。
そのとき金が足りなかったのなら財布を手当にすれば済むものを、子どものせっかくの選択も無にして平気でいる。
値の張る買い物だったとしても、その藤をその子の心の養いにしてやろうとなぜ思わないのか。
その藤をきっかけにどんどんと興味や愛情を深めていくかもしれない。
その藤をきっかけにどの花をもいとおしむことを教えてやれば、この子の一生の心のうるおいになるのに。
それはお金に替えられないのに、安い方を選んだことで永久に失われてしまうかもしれない。
なんと浅はかな心か-。

同じ判断をしてしまいやすい気がする。
お金を守ることで失うものがあって、でもその大きさに気がつかない。
心に留めておきたい話だった。

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お読みいただきありがとうございます。

毎日の日記の中から一部を抜き出して、こちらに載せています。

明るい考えも暗い気分も、毎日なにかあって、日々とはすごいものですね。それをちゃんと受け取りたいなと思います。

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