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ドローイングとは「前兆」或いは「予兆」のようなもの

彫刻家の大黒貴之です。

今回は僕のドローイングについて述べたいと思います。テキストは2020年、東京のMARUEIDO JAPANで開催された個展に合わせて執筆したものの一部です。

インスタグラムにアップしている作品データも踏まえながら紹介したいと思います。

ドローイングは日本語で素描と翻訳され、ドイツ語ではツァイヒヌング、フランス語ではデッサンとなる。2002年にベルリンで知り合ったドイツ人作家に「君は彫刻家なんだから、ドローイングができたほうがいい。ヨーロッパでは芸術家がドローイングを描くことは伝統的なことなのだから」と言われた。それがドローイングを描き始めるきっかけであった。

私のドローイングは、作品のための図面のようなものではなく、作品が姿を現すずっと以前にある「前兆」或いは「予兆」のようなものだと考えている。あるドイツ人ギャラリストは、私のドローイングを「作品の本質的特徴」だと論じている。


そしてもう1つの特徴は、ドローイングによって自分が知らない未知の領域のイメージを発見できる手掛かりになるということである。特にスランプに陥った時には、ドローイングを徹底的にやったほうがいいと教えてくれた。ドローイングはシンプルが故に作家の実力が見事に現れるという。

サルバドール・ダリはドローイングの魅力を次のように表現している 。
「Drawing is the honesty of the art. There is no possibility of cheating. It is either good or bad.」(ドローイングは美術における良心だ。なぜならば、一切のごまかしがきかない。いいか悪いかのどちらかでしかない。 )

今、もしくは過去に描いたドローイングとそのドローイングが下となって30年後に具現化した彫刻が面前に向かって展示されることがあればどれだけ感慨深いことだろうか。今、この瞬間に捉えた作品の本質的特徴であるドローイングと彫刻、そして鑑賞者の間には、時間を超えた揺らぎのようなものが発生するのではないかと予想している。

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